第九章 二時間目①
「いたぞ!!」
始まった途端に誰かに見つかったらしい。
「コイツを使う時がきたか…」
奥村がまたナイフを鞘から出した。
「もうやめろ、六時間目まで逃げ切っても、留置所に送られたら仕方ないだろ」
浩二が奥村に言った。
「大丈夫、殺しはしない」
そう言って奥村は走り出した。
俺達を見つけたのは竹ヤリを持った少年と、パチンコを持った少年だった。
「俺達と同レベルの武器だな…」
「まあ、Aのような立派な武器じゃないだけまだましかもな」
遠くで奥村と少年二人が戦っているのが見える。奥村はなにかスポーツか何かをやっていたのだろうか?竹ヤリやパチンコの弾をよけて尽かさず二人に拳でダメージを与える。数分が経った時、SCYの二人はとうとう奥村の攻撃で地面に倒れてしまった。
「どうだ?なかなか強いだろ?」
俺達に近づいて、奥村は笑いながら言った。
「お前…なにかスポーツをやってたのか?」
「いいや、別に何もやってないが」
それでこの身こなしか…
「まあ、Aや拳銃を使う人とかになったら全く通用しないかもね…」
「奥村…」
俺は奥村に話しかけた。
「俺達…お前と一緒について行っていいか?」
「えっ?」
こんなに強いヤツといったら俺達は六時間目まで逃げ切れるかもしれない…俺はそう考えたのだ。
奥村は少し考えた後、言った。
「足でまといになるなよ…」
そう言って奥村は歩き出した。俺達は顔を見合わせて頷くと、奥村の後を追った。
「ここは…」
奥村についていった所は外にある体育倉庫だった。
「ここなら、いろいろな物があるから、隠れやすいだろう」
奥村はそう言って、跳び箱と跳び箱の間の隙間にスウッと入った。
奥村の言う通り、この体育倉庫は目立たないし、隠れる所ならいくらでもあった。
「よし」
俺は梯子をよじ登り、体育倉庫の奥へと足を運んだ。浩二や今日子も同じようにいろいろな場所に隠れる。
「アッ!!」
俺達が隠れてから数分後、今日子が声を上げた。
「どうした…」
浩二が小声で今日子に聞く。
「私が隠れてた所に…こんな物が…」
今日子が出した物は、時計のような機械だった。
「それは…テレビか何かに出てくる時限爆弾ってやつだな…」
奥村がスッと顔を出した。
「エッ…」
俺達は思わず声を出したが、奥村はあいかわらず落ち着いた表情だ。
「あと五分ほどあるが…どうする?今からここを出るか?それとも爆発する本当にギリギリまでここにいるか?」
俺はこんな所から今すぐにここから逃げ出したかったが、今ここを出たらすぐにアイツらの誰かに見つかってしまうかもしれない。
「…ギリギリまでいよう」
「決まりだな」
五分が経つまで相当早く感じられた。
「あと三十秒………十…九…八…七…六…五…四…三…二…一…今だ!!」
俺達は素早く体育倉庫から飛び出した。
文字にならないほどもの物凄い爆発音が俺達の後ろでして、俺達はその爆風で吹き飛ばされた。
「げほっ、げほっ…皆、大丈夫か…?」
俺は咳をしながらも、煙の中で皆を呼んだ。
「俺は大丈夫だ」
奥村が俺の数メートル離れた所で起き上がった。
「浩二!今日子!」
「ここにいるよ」
俺の後ろで二人の声がした。良かった…無事で…
「それにしても…これからどうすればいいの…?」
今日子が瓦礫となった体育倉庫を見て呆然とした。
「どうしたもこうしたも…こうなったらいろいろな所をいくしかないだろう」
奥村は身も達者だが口も達者だ」
俺達は死体だらけの運動場をブラブラと歩いた。すると突然、今日子が校舎の屋上を見た。
「どうした?今日子」
「なんだろう…あれ…」
俺達も校舎の屋上を見た。
屋上のフェンスの外に、【528】と映し出された大画面が置いてあった。
「あっ」
大画面に映っている数字が【527】になった。
「また減った」
今度は一気に三つ減って【524】になった。
「まさかこれは…この学校の中で生きている生徒の数だ…」
「何っ!?」
「そうなれば…もう八十八人もの生徒が…」
「三堂…君の想像どおりだ」
浩二がそう言ったとき、中庭の方で喉が裂けるほどもの悲鳴が聞こえてきた。
「いくぞ!!!」
奥村が走り出したので、俺達は仕方なく彼の後を追った。




