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第八章 五分休み①

 キーン、コーン、カーン、コーン


「一時間目が…終わったね…」


 この学校では二時間目と三時間目、四時間目と五時間目以外の授業と授業の間に五分間の休憩時間があるのだ。


「アイツら…まさかこの時間にもやってこないよな…」


 俺も四十五分間(この学校の授業の時間は四十五分間ある)走り回ったので、せめてこの時間だけは休みたかった。


「外の空気吸ってこようぜ」


 浩二の提案で俺達は外の方にいく事にした。


 玄関から上靴のままで外にでた俺達は外の光景に呆然となった。


 運動場には首の取れた死体や、腹から臓器がはみ出している死体が五十体ほど転がっていた。


「これが…これが人間のすること…?」


「たしかアイツらSCYとか言ったっけ?一体何者なんだよ…」


 俺達はあたりをグルッと見渡した。


「あっ!」


 今日子が突然声を上げた。何かを見つけたらしい。


「たぶん…生徒みたいな子がいるっ!」


「何!?」


 今日子が先に走り出したので、俺達もその後を追った。


「おっ!」


 たしかにここの生徒らしき女子生徒が歩いていた。


「おーい!」


 浩二が手を振って女子生徒に呼びかけた。


 その女子生徒には俺はあまり興味がなかったが、生きている生徒に出会えて嬉しくなったのだ。


 俺達はその女子生徒の周りに集まった。


「…何ですか?」


 女子生徒は無愛想な様子で言った。


「いや…特に君にようは無いんだが…」


「そうですか」


 女子生徒はそう言うと、クルリと回れ右をして歩き出した。


「まって!」


 今日子が女子生徒を呼び止めた。


「何?今度は…」


 女子生徒の方も段々苛立ってきたようだ。


「私達と一緒にいかない?」


 今日子がそう女子生徒に聞いた。確かにたくさんのヤツといった方がいいだろう。女子生徒は少し黙ったのち、俺達に言った。


「あなた達のお父様は何の職業をしているのですか」


 いきなりそう聞かれたが、俺達は答える事にした。


「俺の親父は大手の会社の部長をやってるぜ」


 これは浩二の父さんだ。


「私のお父さんは工場の工場長をやってるけど…」


 これは今日子だ。


「俺の父さんは参議院議員だ」


 これは俺だ。


 女子生徒はまるで汚らわしい物を見るような顔をすると、走っていってしまった。


「何だよ、あいつ…」


「たしか、あの子は大手の会社の社長の娘さんよ。名前はたしか…鹿塚奈緒美ちゃんだったっけ…」


 俺達は学校のしげみの方にいった。


「こんな所に生徒は…」


 俺がしげみを覗き込んだ瞬間、しげみから何かが出てきて、俺にぶつかった。


「誰だ!!」


 俺達は武器である箒を構えた。


「俺だ、知らないか?」


「お前は…奥村…」


 奥村昭平は六年一組の生徒だ。六年生になるまで俺はコイツと数える程しか話しをした事がないが、噂によると、あまり成績はよくないらしい。


「それにしても、お前ら生きてたのか」


 奥村はニヤニヤしながら言った。


「一時間目なんかで死ぬような俺達じゃねえよ」


「フンッ、それにしてもお前らこんなチャチな武器しか持ってないのか?」


 奥村が俺達が片手に持っている箒を指した。俺達だってこんなの持ちたくて持ってんじゃねえよ。


「俺はこれを持ってるぜ」


 奥村が出したのは、刃渡り三十センチほどものジャックナイフだった。


「おっ…お前こんなの学校に…」


 浩二がたじろいた。


「なあに…ただの護身用のナイフさ」


 奥村が浩二に突き出した。


「やめろ奥村、必要な時以外鞘から出すな」


「…分かったよ…」


 奥村がナイフを鞘にしまった時だった。


 キーン、コーン、カーン、コ-ン


 二時間目が始まった。

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