34-1 イノンドの話し相手
「イノンドって、コモンと会ったことがあったかしら?」疑問を持つバーネット。
「俺の記憶では、二人に接点はないはず」こちらに背を向けて話す二人を見るマーティ。
「なに、聞いてる?」気になるアニス。
「そうだよ。なにを聞いてんだ?」ルベルも気になって振り返る。
「なるほど。なぜ話し相手がコモンなのか、ということか」改めて二人を見るマーティ。「コモンと会ったのが、今日が初めてじゃないということだな」
「どういう意味?」聞きとめるバーネット。
「言葉のとおりだ。イノンドは、前にコモンと会ってるんだ」
「どこで? もしかして、「幻想の星」に行ったとき? 滞在してた「時の宮殿」で会ったというの? だったら、ルーやバリエガータだっていたでしょう? ルー。イノンドと会う機会があった?」
『いいえ。姿を遠目で見たことはありますが、話ができる距離ではありませんでした』
「じゃあ、どこで会ったのかしら?」
「俺に聞くな。とにかく、戻ってきたらコモンに聞けばいい」
「イノンドはコモンを知ってるんだよ」ロイが口を開く。「コモンたちを連れてここに来たとき、イノンドはコモンを見て驚いてたんだ」
「そうなのか?」気付かなかったマーティ。「驚いてた、か」
「ああ。だけど、あの驚きようはちょっと引っ掛かった。たぶん、会ったんじゃないと思う。もし会ってたらコモンが反応するはず。でも、そうじゃなかった。イノンドは、どこでコモンを見たんだろう?」
「そういえばさっき、イノンドに声を掛けられたとき、コモンは『俺か?』と戸惑ってたのに、「少しいいか?」と聞かれたら『わかった』と答え、席を立った。イノンドを知らなければ『なぜ?』と聞き返すだろう?」二人の関係性が見えないマーティが考え込む。
「とにかく、戻ってくるのを待とう」まだ話している二人を見るロイ。
それからしばらくしてイノンドたちが戻ってくると、「では、私もこれで引き揚げます。アキレア指揮官から連絡が来たら声を掛けてください。私も白夜鳥を見たいので」イノンドはにこやかに声を掛け、戻ってきていたエルと一緒に会議室から出ていく。
その後、元の席に着くコモンに「どこでイノンドと会ったんですか?」ロイが聞く。
『ん? ああ、ちょっとな』
「教えてくれないんですか?」
『まあ、いいじゃないか。ちょっと頼みごとをしたことがあるんだ』
「イノンドに! いつ!」一斉にコモンに迫ると『だから、いいじゃないか』さすがのコモンも、少し慌てる。
しかし、「内緒にする理由はなんだ?」さらにマーティが追及するので『……フゥ。わかった。まったく。君たちが「幻想の星」から出るとき、彼にメッセージを送ったんだ。君たちの警護をこれからも頼むと』
「もしかして、あの幻覚を見た空間で、ですか?」確認するロイ。
『そうだ。幻覚を見る作用を利用して、映像を飛ばしたんだ。しかし、ここで会うとは思いもしなかった。私はすっかり忘れてたんだが、向こうは覚えてたということだ』




