34-2 イノンドの話し相手
「それはそうでしょう。コモンを忘れる人なんて、いるわけないもの」呆れるバーネット。
「インパクト、ある」頷くアニス。
「なあ、幻覚ってなんだよ」一人話が見えないルベル。
『どんなことを聞かれたんですか?』話の内容が気になる「時の宮殿」のルー。
『「尋ね人」に渡した黒曜石の指輪を彼にも渡してあるんだが、その使い方がわからないというので、説明してたんだ』
「イノンドも黒曜石の指輪を持ってるんですか?」驚くロイ。
『いざというときの保険だ。君たちになにかあったとき、私に連絡してくれる者がいなければ、手を回して助けることができないだろう?』
「それはそうですけど……」
『まあ、すでに君たちに手を貸してるけどな』
「僕たちに直接手を貸したら、罰を受けるんですよね?」
『そこのところはどうなるかわからないが、今回は手を貸さないと君たちが消されてたし、我々も危ないところだった。そのことを考えたら、ルールなど枷にしかならない』
『私も同じ考えです。今回は今までと規模というか、内容が危険すぎます』「時の宮殿」のルーが同意すると『今回、私が姿を変えてここに来たのも、今回のことを起こす者が、人間界、精霊界全体の消滅を引き起こしかねない者だとわかったからです』「水の宮殿」のクララが爆弾発言をする。『最悪の場合ですが、そうならないようにするために、出向いてきたんですよ』
『どうしてそんな重要なことを今まで黙ってたんだ!』きつい口調で聞く「冥府の宮殿」のコモンに『敵の正体を確認する必要があったからですよ』正面から言い返す。
『それで、確認できたのか?』
『大まかには』
『誰なんだ?』
『それは、インサニアと呼ばれる者が知ってます』
「まあ、そうだろうな」驚かないマーティ。
「今回の容疑者と思われる謎の召喚者が、奴と同じ姿をしてたからな」説明するロイ。
そして、インサニアの名前が出たとき、一瞬、表情が動くバーネットをクララは見逃さなかった。
そんなクララを見ていたのは(いよいよ、リシェルのところに押しかける気なのかな?)黙って話を聞いているシュールだった。
『インサニアだと?』怪訝そうな顔をするコモンが『奴は今、どこにいるんだ?』と聞くので『さあ、どこにいるんでしょうか。あの星から脱出したあと、姿を見かけましたか?』クララがわざとロイたちに話を振ってくる。
「奴の居場所ならわかってます。それで、あなたには、謎の召喚者が何者なのか、わからないんですか?」ロイが聞き返すと『大まかに、と言いましたよね?』言葉を濁すクララ。
「ハッキリとはわからないんですか?」
『そうですね。「陰の神族」ではと、あたりを付けていますが』
『「陰の神族」か……』ため息をついて考える「冥府の宮殿」のコモンに「予測してたんですか?」ロイが聞き返す。




