決意
夜11:00
川口警察署捜索1課
静まり返った部屋
1つの影が部屋に入っていった。
その影は、ラッキーデカ長のパソコンを開くと、電源を入れ、パスワードを打ち込んだ。
ロックは解除された。
目的のファイルを探す。
なかなか見つからない。
周りを警戒しながら探し続けること5分。
見つけた!
USBメモリーを差して、ファイルをコピーする。
コピー完了。
電源を落としてパソコンを閉じる。
USBメモリーを握りしめ部屋を出ると、
壁にもたれ掛かって腕組みをしているラッキーデカ長がいた。
「それをどうするつもりだ?」
ホヘトは真剣な顔で言った。
「本庁の上層部に持っていきます」
「やめとけ。俺が預かる」
「ラッキーデカ長、『愛國者』のメンバーですよね。この裏帳簿が表に出るとマズいんですよね」
「お前がどうこう出来る問題じゃない」
ラッキーデカ長が手のひらを出す。
ホヘトは聞いた。
「命令ですか?」
「命令だ!」
ホヘトはUSBメモリーをラッキーデカ長に渡した。
「見損ないましたよ!」
ホヘトは足早に立ち去った。
USBメモリーを見つめるラッキーデカ長。
その姿を影から見ている人物がいた。
深夜12:30
カクテルバー
“AZiTO”
ラッキーデカ長が、カウンターで1人カクテルを飲んでいる。
「いらっしゃいませ」
ラッキーデカ長がドアに目をやると、
そこに、鑑識のボス、バンが立っていた。
「お、バン!めずらしいな。こんなとこ来るんか?」
「たまにはな」
バンが捜査1課にいた頃、ラッキーデカ長とは、コンビを組んでいた仲なのである。
ラッキーデカ長の隣にすわるバン。
「ここいいか?」
「もう座ってるだろ」
バーテンダーが聞いた。
「ご注文は?」
「えっと、ドライマティニィ。ステアでなくシェイクで」
「かしこまりました」
ラッキーはグラスを回しながら聞いた。
「何の用だ?」
「え?」
「何か用があって来たんだろ?」
「あぁ、まあな」
タバコに火をつけてから喋り出すバン。
「お前、『愛國者』をどうするつもりだ?」
「どうって?」
「1人で『愛國者』を潰す気か?」
「何の事だ?」
「責任を全部背負って、辞める気だろ?」
ラッキーデカ長は黙っていた。
「俺はそんな事ゆるさねえからな!」
「ドライマティニィ、お待たせしました」
バンは、ドライマティニィを一気に飲み干すとラッキーデカ長に言った。
「勘定は俺が払っとく。貸しを作っとくからな」
1万円を置いて、バンは出て行った。
ラッキーデカ長は深くため息をついた。
翌朝
7:00
川口警察署捜索1課
連日の捜索で疲れきっている捜査1課の面々。
ラッキーデカ長が部屋に入って来てみんなに言った。
「お~い、目を覚ませ~。たった今、タクからの要求が来た。
今日の午前11時までに2億円用意しろ。金を持って来れば人質は解放する。
金が用意出来なければ、人質は殺す。場所は、荒川運動公園。以上だ」
ホヘトはあきれ顔で言った。
「また2億?そんなに金がほしいの?」
ユオは人事の様に言った。
「ってゆうか~あと4時間で2億って無理じゃね?」
モリモリは心配そうに言った。
「まだ人質生きてるんスかね?」
ボッサンは難しい表情で言った。
「なんかすっきりしね~な。あと4時間で2億。無理ってわかってるのに。
それに荒川運動公園って、あんなだだっ広いとこ、金の受け渡しには向いてないし‥」
本庁のカズヘーが部屋に入って来た。
「今回の身代金2億円は払えない、と言うのが上層部の答えだ。そして、SITの出動要請を出した。
ダミーの2億円で、受け渡しの瞬間をSITの狙撃班に狙ってもらう。以上だ」
ボッサンが険しい表情になった。
「ろうじょうや人質事件のスペシャリスト、特殊捜査班のSITのお出ましか!」
同時刻
鬼怒川温泉
タクと一馬が宿泊している宿
部屋に戻ってきたタク。
一馬が布団から起き上がって聞いた。
「おじさん、どこ行ってたの?」
「ちょっと電話して来た。さて、朝ご飯食べて東京に帰ろう」
タクは何かを決意したような表情で、
暗く厚い雲が垂れ込めた今にも泣き出しそうな空を見つめていた‥




