第2星 天使は奇跡と言った。
内野を怒らせたその帰り道。
1人で帰宅していると見かけたことのある人を見た。まだ若く20代前半という近所のお姉さん。
「歌さん。こんにちわ」
「あら、裕香じゃない」
歌さん。僕の家の近所に住んでいる人で昔からずっと遊んでくれた優しい人だ。その分怖いけど・・・。
「今日は散歩ですか?」
「私はそんなに暇じゃないの。あなたのようにゲームばかりやっている時間はないわ」
「手厳しいですね」
「前にも言ったけどあなた、年齢が私の弟とかなり近いの。だから遠慮なんてしないわよ」
「なんて理不尽!」
弟さん。弟さんはもう亡くなってしまったらしい。
僕は会ったことがあるのかもしれないけれど覚えてはいなかった。
もし生きてたらだいたい僕と同い年ぐらいらしい。だいたいやらぐらいやららしいやらアバウトすぎるとは思うけれどね。
「あれ?彼女さんは?」
「誰ですかそれは」
「明日香ちゃんに決まってるじゃない」
「あぁ、内野ですか。彼女じゃないんですけど、今日は先に帰っちゃいました」
「薄情な奴ねぇ」
「いや、僕じゃなくて内野が」
「明日香ちゃんが?よし、謝ってきなさい」
「なんで僕が悪いと判断する!?」
いや、あってるんだけども!でも納得いかねぇぞ!理由は!?根拠は!?
きっと理由も根拠もないだろうけれど一応聞いてみる。
「え?だいたい男が悪いでしょ?」
「なんて理不尽!」
この人には考えるということができないのだろうか。結果、僕が悪いのでそれ以上何も言えないのだけれども・・・・・。
「んじゃ、私はこれで」
「はい、ではまた明日」
そんな感じで僕は帰宅した。僕はここでもまた明日を使っていたのだ。
〇
翌日。僕はいつも通りに起き、いつも通りに登校した。
ここまでは何も変化のない日常。日常を謳歌しているような絵に描いたような日常である。ここまでは・・・。
「おう、内野おはよう」
「ふん、知らないもん」
「もんとかふんとかお前は僕を萌え殺すために誕生した女子か何かか!?」
人を自分の人生で縛りあげようする最低人間がそこにいた。
昨日もこんなやりとりをしたはず。
「昨日は悪かった」
「・・・・・・」
「僕もね、一晩考えたんだ。怒られた理由」
それも分かってないの?という目をされたがまぁ、いい。続けよう。
「いや、ね。もしかしてなんだけど・・・」
「う、うん・・・」
「お前・・・・・」
「うん・・・・・」
「本当にサキュバスだったんだな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あったのは長い無言だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
僕も無言だった。
というかスベったみたいな空間になってしまった。
「ゆかゆかなんて・・・・・」
「え?またなんか現実的なことで傷つけられるの?」
「どっかいっちゃえーー!」
「子供か、お前は!」
その瞬間だった。
「どっかとは他の世界でもいいということでしょうか?」
「!!」
「!?」
そこにいたのは白いワンピースを着た女の子。髪まで白く肌まで白い。
しかしその眼は金色だった。
いや、ここまでなら強いて100歩譲ってコスプレ人間だと思えるかもしれない。カラコンカラコン。カラーコンタクト。
でもそいつは・・・・・。
「浮かんでる・・・・・!?」
「ゆかゆか・・・これどういうこと・・・?」
宙にいた。浮かんでいた。小さな白い羽を生やして。そしてそれはどうみても・・・。
「て・・・天使・・・?」
「ふむ。人間が私を認識できるとは驚きました。ふつうはパニックを起こすものですが・・・。でも都合はいいですね。すぐに話題に入れる」
そのパニックを解く手段も色々考えていたんですけどね。と残念そうに言った後天使は地上に舞い降りた。
ふわりと。
ふわりとが似合う落ち方で。
「いかにも、私は『天使』です」
「何を言ってるの・・・?」
意味が分からない。
天使?何を言っているんだこいつは?
仮に天使だとしてもなぜ俺の前に降り立つ。ここには内野もいるのに、こいつは内野を見ていない。
確実に僕をみている。
視ている。
「一度ここで証明しなければなりませんね、私が天使だということを」
そういうと天使(仮)が僕に手をさしのばしてきた。
何をどうしてそういうふうになるのか分からなかったが僕はとりあえずその手を握ろうとした。
したところで僕は吹き飛ばされていた。
空に。
地面から5メートルの位置に。
「ゆかゆか!」
「な・・・んだこれ・・・?」
「これで信用してくれましたか?」
「ゆかゆかをどうするの?」
「私がどうこうするわけではないのです。決めるのは全てあなたですよ」
そう言って僕を見る。すると天使(仮かどうか揺らいできた)は僕をおろした。
地面にふわりと。
「あなたが紺野裕香ですね。挑戦しますか?天使の奇跡に」
天使の奇跡?
いや、まてまて僕はまだお前を天使だとは思っていない。
ここまで落ちついているのは逆に脳が驚きがついてきてないことだというのはさすがに分かる。
けれども。
だけれど。
「くだらない」
僕はそう言い切った。
「どこの誰だかしらねぇが、朝っぱらから御苦労だな。なんのイベントだ?なんでもいいけど僕はこれから学校がある。お前の悪ふざけには付き合ってられない」
「そうですか・・・やはり人間はこうでもしないと信じてくれないのですね」
と言った天使(仮)はおもむろに白いワンピースを脱ぎ始める。
「ちょっとあなた何やってるの!?」
「いえ、人間の男にはこれが一番だと・・・」
「ゆかゆかもう行こうよ、この人何かおかし・・・」
「ワタシテンシシンジル」
「単純!」
「信じてもらえましたか」
「違うよ!これたまたまゆかゆかが色仕掛けに弱いだけだから」
「行方不明記憶喪失事件」
天使はその事件の名前を口にした。
「・・・・・やっぱり人間なんじゃない。その事件を知ってるってことは少なくとも日本人ということだよ!ね、ゆかゆか」
「あ、あぁ、そうだとも」
「話聞いてた?」
「若干」
「若干?」
「若干聞いてなかった」
「・・・」
「その事件は日本中で騒ぎになっている事件です。しかし犯人はおろか証拠もなにも見つからない。それはなぜか、理由は簡単です。それは天使の仕業だからです」
「なんで天使が人を行方不明にさせたり記憶喪失にさせたりしてるんだよ」
「行方不明については説明可能ですが、記憶喪失については説明不可能です。行方不明の期間だけの記憶がなくなるなんて都合がいいと思いませんか?」
「いや、だって・・・その時ある程度の恐怖を与えられたら・・・」
「それだけじゃ証拠になりません。それは【精神的証拠】というものですが、あなたにはまだ【物的証拠】が足りない。その程度の推理力では2年前の犯人を捕まえることも難しいですよ」
「!」
「ん?2年前ってなに、ゆかゆか?」
「全ての謎を解き明かしたいのなら学校が終わった後に霧ヶ岬公園に来てください。ちなみに解き明かすのはあなた自身で私はあくまでサポートですが」
霧ヶ岬公園。
学校の近くの大きな公園だ。
「なぜお前が2年前について知っている」
「それは私が天使だからです」
そう言い残し急に消えた。
「ゆかゆか・・・?」
「ん、なんでもねぇぜ!学校へ行こうか」
「え?・・・うん」
何も分からない。全てが謎だ。だがしかしこの時点で分かっていることは僕は壊滅的に作り笑顔が苦手ということだった。
1日に2回更新。他のも更新しているので大分大変でした。
ちなみにタイトルの第〇星の星ですがこれは惑星の星をさします。
世界と言ってもいいでしょう。そんな感じです。
アバウトです。
でわ




