第六章 原初の門が閉じるとき
原初銀河の中心に、巨大な門が現れた。
門の向こうには、何もない。
しかし、その何もない空間から、黒い霧が絶え間なく流れ出していた。
名を持たぬ者は、その門の前に立っていた。
「この門を閉じれば、すべての出会いは終わる。誰も誰かを求めず、誰も誰かに傷つけられない」
ニジは叫んだ。
「それは平和じゃない。ただ、心を閉じ込めているだけだ!」
名を持たぬ者は、静かに答えた。
「では、なぜ君たちは傷つくと知りながら、誰かを大切にする?」
ニジはすぐには答えなかった。
代わりに、ルミナが一歩前に出る。
「誰かを大切にすることは、相手を自分の思いどおりにすることじゃないよ。違うまま、一緒にいられることだと思う」
ユイが続けた。
「つながりは、相手を縛るものではないの。離れていても、互いを想うことができる。それが縁なんだよ」
ハジメは、白紙の本を開いた。
「ぼくは、何も書かれていないページが怖かった。でも、今は分かる。そこには、まだ誰も知らない物語が待っているんだ」
アマネが創世の光を広げる。
トワが永遠の記憶を重ねる。
二十四人の守護者たちは、それぞれの季節の光を解き放った。
クロノスとバラグも、過去の過ちを受け止めながら、門の闇へ立ち向かう。
セレスは、円環の紋章を胸元から取り出した。
「私は、あなたをひとりにしてしまった。あなたが望んでいた言葉を、もっと早く伝えるべきだった」
名を持たぬ者の動きが止まった。
「……今さら何を言う」
「あなたも、最初の光から生まれた大切な存在です。あなたが誰かに選ばれなかったのではありません。あなた自身が、まだ自分の存在を受け入れられなかっただけなのです」
黒い霧が、大きく揺れた。
「私は……何者でもない」
ハジメが答えた。
「ぼくも、最初はそうだったよ。でも、何者でもないことは、何にもなれないという意味じゃない」
その言葉とともに、白紙の本が光り始めた。




