第四章 誰とも出会わなかった世界
ニジが目を開けると、そこは四季彩星だった。
けれど、何かがおかしい。
星は美しく輝いているのに、そこには仲間たちの姿がなかった。
桜花隊の声も、蒼海隊の笑い声も、紅葉隊の歌も、銀雪隊の静かな足音も聞こえない。
ニジはひとりで、広い大地に立っていた。
「みんな……どこにいるの?」
返事はない。
彼は、かつてクロノスと戦った場所へ向かった。
そこには、誰もいなかった。
虹色銀河へ向かっても、ニジと出会うはずだった仲間はいない。
時空銀河にも、幻色銀河にも、交差銀河にも、誰もいなかった。
ルミナも、ユイも、アマネも、トワも、ハジメもいない。
ただ、世界だけが存在していた。
美しく、静かで、何ひとつ失われていないように見える世界。
けれど、そこには笑い声がなかった。
誰かを心配する声も、励ます言葉も、再会を喜ぶ涙もなかった。
ニジは、ひとり空を見上げた。
「こんな世界が、本当に幸せなのかな……」
そのとき、遠くから小さな声が聞こえた。
「ニジ……」
振り返ると、そこには仲間たちの姿があった。
しかし、彼らはニジを知らないようだった。
「あなたは、誰?」
その言葉に、ニジの胸が痛んだ。
けれど、彼はゆっくりと微笑んだ。
「ぼくは、君たちと出会いたかった者だよ」
ニジの胸元に、二十五番目の光が灯った。
「たとえ、君たちがぼくを知らなくても、ぼくは君たちと出会えたことを大切に思っている」
その瞬間、世界に小さな風が吹いた。
花が揺れ、空に一筋の虹が架かった。
ニジの前に、仲間たちの記憶が浮かび上がる。
出会った日の笑顔。
一緒に乗り越えた困難。
互いを信じた瞬間。
そして、別れを越えて再び出会えた喜び。
それらの記憶が、ひとつの光となって世界を照らした。
「出会いは、失うことを恐れるためにあるんじゃない。出会えたことを、未来へつないでいくためにあるんだ!」
ニジの光が広がり、幻の世界にひびが入った。
仲間たちの姿が、少しずつ本来の姿へ戻っていく。
「ニジ!」
ルミナの声が聞こえた。
「ここにいるよ!」
その声を合図に、三十人の光が再び結ばれた。




