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四季彩インベーダー24 ――四季彩星の24人の小さな宇宙戦士たち――  作者: さざ波和音


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第三章 名を持たない影

 原初銀河の奥深くに、黒い霧が広がっていた。


 その霧は、光を飲み込むのではなく、光と光のあいだにあるつながりを消していく。


 手を伸ばしても、誰かに触れた感覚がない。


 声をかけても、言葉が届かない。


 仲間の姿は見えているのに、その人が大切だという気持ちだけが遠ざかっていく。


「これは……心のつながりを消している!」


 ユイが叫んだ。


 彼女の光の糸が、次々とほどけていく。


 ルミナがユイの手を握る。


「大丈夫。私たちはここにいるよ」


 けれど、その声さえも、霧の中ではかすかにしか届かなかった。


 やがて、黒い霧の中央に、ひとつの人影が現れた。


 姿は定まらず、見る者によって違って見える。


 ある者には少年に、ある者には老人に、ある者には何もない空間に見えた。


「私は、名を持たぬ者」


 その声は、いくつもの声が重なったように響いた。


「出会いは、別れを生む。違いは、争いを生む。願いは、失望を生む。ならば、最初から何も結ばなければよい」


 ニジは前へ出た。


「君は、最初の約束を消そうとしているのか?」


「約束など、必要ない。存在は孤独であるべきだ。互いを求めなければ、傷つくこともない」


 クロノスが、厳しい表情で告げた。


「それは、かつての私と同じ考えだ。色を奪えば争いがなくなると思っていた」


 バラグも続く。


「私は物語を断ち切れば、悲しみが終わると思っていた。だが、どちらも間違いだった」


 名を持たぬ者は、二人を見つめた。


「過ちを犯した者が、何を語る?」


 クロノスは目をそらさなかった。


「過ちを知った者だからこそ、語れることがある」


 ニジは、名を持たぬ者に手を差し伸べた。


「君にも、誰かと出会いたいと思ったことがあるんじゃないの?」


 その問いに、黒い霧がわずかに揺れた。


 けれど、影は何も答えず、さらに深い闇を広げた。


「ならば、君たちに見せてやろう。出会いがなかった世界を」


 三十人の足元が、黒い光に包まれた。


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