第二章 最初の約束
セレスは、三十人を原初銀河の中心へ案内した。
そこには、大きな円環が浮かんでいた。
円環の内側には、何もない。
しかし、その周囲には、無数の光の文字が刻まれていた。
「これが、最初の約束です」
セレスは語り始めた。
「遠い昔、宇宙には、まだ色も時間もありませんでした。存在するものは、ただひとつの静かな光だけ。けれど、その光はひとつでは寂しいと感じました」
「光が……寂しいと?」
ルミナが小さく問いかけた。
「そうです。光は、自分と違うものに出会いたいと願いました。そこで、ひとつだった輝きは、無数の可能性へと分かれていったのです」
セレスの指先から、小さな光が生まれた。
それは、やがて赤、青、黄、緑、紫、白、金へと姿を変えていく。
「色が生まれ、時間が流れ、星々が生まれました。やがて命が生まれ、命は誰かと出会い、物語を紡ぐようになりました」
アマネが静かにうなずく。
「つまり、創世の始まりには、出会いたいという願いがあったのね」
「その通りです。最初の約束とは、異なる存在が互いを拒まず、それぞれの輝きを認め合うこと。誰もが、自分だけの光を持って生きてよいという約束です」
ニジは、仲間たちを見渡した。
春の桜花隊、夏の蒼海隊、秋の紅葉隊、冬の銀雪隊。
それぞれ違う色と力を持ちながら、ひとつの旅を歩んできた仲間たち。
「ぼくたちが守ってきたものと、同じですね」
セレスは、ゆっくりとうなずいた。
「けれど今、その約束を消そうとする者がいます」
その瞬間、円環の光がひとつ消えた。
続いて、もうひとつ。
光の文字が、音もなく崩れ始める。
セレスの表情が曇った。
「約束が失われれば、すべての世界は、互いに出会う意味を失います。色はただの色となり、時間はただ流れるだけのものとなり、命は誰かを想うことを忘れてしまうでしょう」
ニジは拳を握った。
「そんなことは、絶対にさせない!」
その声に応えるように、三十の光が輝いた。




