第七章 三十番目の奇跡
ノクスの胸元に灯った光は、白紙の本へと流れ込んだ。
本の表紙に、初めて文字が浮かび上がる。
『まだ何者でもない者の物語』
ページが開き、真っ白な紙の上に、小さな光の粒が生まれた。
アマネが驚いたように目を見開く。
「これは……新しい命が生まれる瞬間!」
トワが静かにうなずく。
「過去の記憶でも、未来の予言でもない。今この瞬間に、選び取られた物語だ」
ルミナがノクスの手を握った。
「あなたの光は、あなた自身のものだよ」
ニジは微笑んだ。
「名前をつけるのは、君自身だ。どんな名前で、どんな物語を始めたい?」
少年は、しばらく考えていた。
そして、白紙の本を見つめながら、ゆっくりと答えた。
「……ハジメ」
その名を口にした瞬間、白紙の本から、まばゆい光があふれ出した。
少年の身体を包んでいた黒い衣がほどけ、淡い金色と乳白色の光へと変わっていく。
髪は夜明け前の空のような薄紫色に輝き、瞳には、まだ色の定まらない星々が映っていた。
背中には、小さなページのような光の羽が広がる。
ハジメは、自分の手を見つめた。
「これが……ぼくの光?」
「そうだよ」
ニジがうなずいた。
「君が自分で選んだ、君だけの光だ」
白紙の本のページに、新しい紋章が描かれた。
それは、二十九の光の輪の外側に、そっと寄り添う三十番目の光だった。
ハジメ
称号:白紙銀河の始まり手・三十番目の奇跡
- 属性:始まり・可能性・物語の誕生
- 能力:白紙創章 — まだ形のない願いや可能性に、最初の一歩を与える。
- 必殺技:白紙銀河・無限初光
- 決めゼリフ:「どんな物語にも、最初の一ページがあるんだ!」
- 特徴:淡い紫と乳白色の髪、星を宿す瞳、ページのような光の羽。まだ何者でもない存在の可能性を守る。
ハジメは、白紙の本を胸に抱いた。
「ぼくは、ずっと誰かに続きを書いてほしかった。でも、今は分かる。自分の物語は、自分でも始められるんだね」
ニジは優しくうなずいた。
「そうだよ。そして、ひとりで書かなくてもいいんだ」
ユイが光の糸を差し出す。
「みんなで一緒に、未来を結んでいこう!」
三十番目の光が、二十九の光と結ばれた。
その瞬間、交差銀河の紋章が完成した。




