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四季彩インベーダー24 ――四季彩星の24人の小さな宇宙戦士たち――  作者: さざ波和音


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第一章 題名のない銀河

 翌日、二十九人は白紙の本を囲んでいた。


 本は大広間の中央に置かれ、誰が触れても、どのページにも文字は現れなかった。


 ニジが表紙に手を添える。


「この本は、ぼくたちに何かを伝えようとしている。でも、無理に開こうとすると、光が消えてしまうんだ」


「まるで、心を開くのを怖がっているみたいだね」


 ルミナが小さな声で言った。


 ユイは、本の周囲に漂う光の糸を見つめていた。


「この本には、たくさんのつながりがあるよ。でも、その糸はどこにも結ばれていない。誰かが結んでくれるのを待っているんだ」


 そのとき、アマネの胸元にある創世の紋章が、淡く光った。


「みんな、聞いて。これは、物語が生まれる前の場所につながっているのかもしれない」


 アマネは、創世銀河で出会った生命の始まりを思い出していた。


 何もない宇宙に、最初の光が生まれる瞬間。まだ星も、海も、命も存在しない世界。それでも、そこには確かに、未来へ向かう可能性があった。


「この本は、誰かの過去を記録するためのものではないのかもしれない。これから生まれる物語を受け入れるための本なのよ」


 トワが静かに続けた。


「けれど、未来の物語にも、過去から受け継ぐものがある。記憶がなければ、出会いの意味も分からなくなってしまう」


 その言葉に、ニジは本を見つめた。


「創世と永遠。始まりと受け継がれる想い。その両方が、この本には必要なのかもしれないね」


 すると、本のページが再び開いた。


 今度は、白いページの中央に、ひとつの星の絵が浮かび上がった。


 星の名前はなかった。


 その周囲には、無数の小さな点が描かれている。どの点も、まだ色を持たず、どの点も、まだ形を決めていなかった。


 そして、ページの下に、短い文章が現れた。


『まだ生まれていない物語が、帰る場所を探しています。』


 バラグは、その文字をじっと見つめた。


「帰る場所……。それは、かつての私が奪ってしまったものと似ている」


 彼は、断章王だったころの自分を思い出していた。


 物語を途中で切り捨て、悲しみや別れを消そうとした日々。誰かの続きを奪うことが、どれほど残酷なことだったのかを、今では知っている。


「もしこの本が、まだ誰にも読まれていない物語を守ろうとしているのなら、私たちはその物語を探しに行かなければならない」


 ニジは力強くうなずいた。


「行こう。まだ出会っていない誰かのために」


 二十九人は、白紙の本が示した星へと旅立った。


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