第六章 それぞれの物語に宿る光
バラグが腕を振るうと、交差銀河の空に無数の黒い文字が走った。
文字は鋭い刃となり、守護者たちに襲いかかる。
春の桜花隊は、舞い散る花びらを盾にして仲間を守った。
夏の蒼海隊は、青い水流を操り、黒い文字を押し流した。
秋の紅葉隊は、黄金色の炎で闇のページを焼き払った。
冬の銀雪隊は、白銀の結界で仲間たちの進む道を切り開いた。
ニジは虹色の光を放ち、ルミナはそれぞれの力を結び合わせる。
アマネは、新たな未来の可能性を呼び起こした。
トワは、仲間たちの大切な記憶を守った。
クロノスは時間の力で黒い刃の動きを遅らせ、アカシアは交差銀河の時空を整えた。
ヴェイルは幻色の力で、見えなくなっていた道を照らした。
ゼロムは創世の光を放ち、消えかけた星々に命の輝きを取り戻していく。
しかし、バラグの力は強かった。
彼は、守護者たちの過去の失敗を映し出した。
ニジの前には、守れなかった世界の幻影が現れた。
ルミナの前には、名前を持たずに孤独だった頃の自分が現れた。
アマネの前には、生まれることのできなかった星々の悲しみが現れた。
トワの前には、失われた記憶が次々と映し出された。
「忘れたくない!」
トワが叫ぶ。
「大切な思い出を、消さないで!」
バラグは答えた。
「ならば、すべてを過去に閉じ込めてしまえばよい。新しい物語など必要ない」
その言葉に、ニジは気づいた。
バラグは、物語を憎んでいるのではない。
物語の中で誰かが傷つくことを恐れているのだ。
ニジは、武器を下ろした。
「バラグ。君も、誰かの物語を持っていたんじゃないの?」
バラグの動きが止まった。
「何を言う」
「君も、昔は誰かに読んでもらいたかったんじゃないの?」
黒いページが、一枚だけ、静かに揺れた。
そのページには、小さな文字が残っていた。
『ぼくの話も、誰かに聞いてほしい』
バラグの身体が震えた。




