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四季彩インベーダー24 ――四季彩星の24人の小さな宇宙戦士たち――  作者: さざ波和音


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第七章 王が失った、最初の一冊

 バラグの身体から、黒い霧が少しずつ剥がれていった。


 その奥から、古い記憶が浮かび上がる。


 かつて、バラグは一人の小さな少年だった。


 彼は、交差銀河の片隅にある村で暮らしていた。


 村の人々は忙しく、少年の話に耳を傾ける者はいなかった。


 少年は、毎日、小さな本を書いていた。


 そこには、花と鳥と星が登場し、誰もが笑顔で暮らす世界が描かれていた。


 ある日、少年は村の広場で、その本を読んでもらおうとした。


 しかし、人々は忙しく、誰も立ち止まらなかった。


 少年は、何度も声をかけた。


「ぼくの物語を聞いてください」


 けれど、返事はなかった。


 やがて少年は、物語を書くことをやめた。


 そして、誰にも読まれない物語は、交差銀河の片隅で忘れられていった。


 その寂しさが、長い年月をかけて大きくなり、断章王バラグという存在になったのだった。


「私は……」


 バラグは、初めて自分の過去を思い出した。


「私は、誰にも読んでもらえなかった」


 その声は、王のものではなかった。


 小さな少年の声だった。


「誰も、ぼくの物語を必要としていなかった」


 ノエは、バラグの前へ歩み出た。


「わたしも、誰にも覚えてもらえなかったよ」


 バラグは顔を上げた。


「お前も……?」


「うん。物語の途中で忘れられて、帰る場所がなくなった。でも、ニジたちが一緒に続きを探してくれたの」


 ノエは、胸に手を当てた。


「誰かに見つけてもらえたら、もう一度歩き始められるんだよ」


 バラグは、何も言わなかった。


 ニジは、少年が書いた小さな本を拾い上げた。


 その本には、まだ最後のページが残っていた。


 ニジは、そこを開いた。


 白いページに、そっと手を触れる。


「この物語の続きを、一緒に考えよう」


 バラグの瞳から、黒い光が消え始めた。


「私の物語にも……続きがあるのか」


「あるよ」


 ニジは笑顔で答えた。


「物語は、誰かが続きを信じてくれたら、また始められるんだ」


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