第四章 交差する思い出
ノエの光の糸をたどっていくと、二十八人は不思議な場所へたどり着いた。
そこには、巨大な透明の扉がいくつも並んでいた。
扉の向こうには、懐かしい世界が映し出されている。
四季彩星の桜並木。
虹色銀河の光の海。
時空銀河の古代神殿。
幻色銀河の透明な花畑。
創世海の光の波。
永遠星の桜の庭。
「みんな、覚えている?」
ニジが尋ねた。
仲間たちは、それぞれの世界での出来事を思い出していた。
桜花隊の一人が、最初の冒険で助けた小さな花の精霊のことを語った。
蒼海隊の一人は、虹色銀河で出会った海の民の歌を思い出した。
紅葉隊の一人は、時空銀河で過去の自分と向き合った日のことを話した。
銀雪隊の一人は、幻色銀河でヴェイルと交わした約束を思い出した。
クロノスは、かつて自分が敵だった頃の姿を見つめていた。
「私は、あの頃の自分を思い出すたびに、胸が痛む」
ニジは言った。
「でも、今のクロノスがいるのは、過去と向き合ったからだよ」
「そうだな。過去を消そうとするのではなく、これからの行動で意味を変えていく。それが私にできる償いなのだろう」
ヴェイルも、懐かしい幻色銀河の景色を見つめた。
「私は違いを恐れ、色を消した。しかし、今はその違いこそが、世界を美しくしていると分かる」
ゼロムは、創世海の光を見ていた。
「私は、何も生まれなければ悲しみもないと思っていた。だが、何も生まれなければ、喜びも生まれない」
そのとき、ノエが一つの扉の前で立ち止まった。
扉の向こうには、見知らぬ小さな村が映っていた。
村には、夕焼けが広がっている。
一人の子どもが、誰かを待つように道端に立っていた。
ノエは、震える声でつぶやいた。
「この子……わたしを知っている気がする」
扉に触れた瞬間、映像が消えた。
代わりに、黒い文字が浮かび上がった。
「その物語は、もう終わった」
ノエの表情が曇った。
「そんな……」
ニジは、扉を見つめた。
「終わったかどうかは、まだ分からないよ」
その言葉に応えるように、扉の向こうで、小さな灯火が一度だけ瞬いた。




