第四章 永遠の庭に眠る少女
エターナスは、二十七人を庭園へ案内した。
そこには、一本の大きな桜の木が立っていた。
枝には淡い桃色の花が咲き、無数の花びらが空中に浮かんでいる。
木の根元には、白い服を着た少女が座っていた。
少女の名前は、リリア。
かつて永遠星の王女だった。
エターナスが、まだ一人の父親だった頃、何よりも大切にしていた娘だった。
リリアは、病に倒れ、幼いまま命を落とした。
王は、その悲しみに耐えられなかった。
「私は、あの子を守れなかった」
エターナスの声が震えた。
「もっと早く気づいていれば。もっと強い力があれば。あの子を失わずに済んだはずだ」
彼は、少女の頬に触れた。
しかし、少女は動かない。
「だから、私は時間を止めた。あの子が笑っていた最後の日を、永遠に残すために」
ルミナは、そっと少女の隣に座った。
「リリアちゃんは、どんなことが好きだったの?」
エターナスは答えた。
「春の桜が好きだった。花びらが風に舞うのを見ると、いつも笑っていた」
「夏は?」
「海で遊ぶのが好きだった」
「秋は?」
「落ち葉を集めて、小さな冠を作っていた」
「冬は?」
「雪が降ると、私の手を握って、星の形を探していた」
エターナスの声は、少しずつ優しくなっていった。
「私は、あの子との思い出を忘れたくなかった。笑顔も、声も、ぬくもりも……何一つ失いたくなかった」
ニジは、静かに答えた。
「忘れなくていいよ」
王は顔を上げた。
「何?」
「思い出は、時間が流れたからって消えるわけじゃない。大切な人と過ごした時間は、心の中で生き続けるんだ」
アマネは、桜の枝を見上げた。
「花は散るから、また咲くことができるんだよ」
その言葉に、エターナスは目を閉じた。
そして、初めて涙を流した。




