第一章 時の止まった星
永遠星に近づくにつれ、四季彩号の周囲から音が消えていった。
エンジンの響きも、仲間たちの話し声も、船体を包む風の音さえ聞こえない。
まるで、宇宙そのものが息をひそめているようだった。
「変だな。時計が動いていない」
夏の守護戦士が計器を確認する。
「こちらの時計だけじゃない。星の周囲を漂う光も、同じ場所に留まっている」
冬の守護戦士が窓の外を見つめた。
そこには、銀色の巨大な惑星が広がっていた。
四季彩号が着陸すると、二十七人は静かに地面へ降り立った。
星の大地は、白い水晶のように透き通っている。
遠くには美しい都市が見えた。
尖塔は空に向かって伸び、広場には噴水があり、街路には色とりどりの花が咲いている。
しかし、そこに住む人々は動いていなかった。
少女は母親に花を渡そうとした姿勢のまま。
少年は友達に手を振ったまま。
老人は窓辺で本を開いたまま。
すべてが、ある瞬間に閉じ込められていた。
「みんな、眠っているの?」
ルミナがそっと近づく。
そのとき、アマネの胸に小さな光が灯った。
「違うよ……この人たちは、眠っているんじゃない。時間を止められているの」
ニジは、噴水の前に立った。
空中に浮かんだ水滴は、一粒も落ちていない。
花びらは風に舞う途中で止まり、鳥は翼を広げたまま空に留まっていた。
「誰が、こんなことを……」
すると、広場の中央にある大きな時計塔が、かすかに光った。
その時計盤には、針が一本もなかった。
代わりに、中央に小さな文字が刻まれていた。
「一秒も失いたくない者だけが、この星の住人となる」
アカシアは、その文字を見て表情を曇らせた。
「ここは、永遠を願った者たちがたどり着く場所なのかもしれません」
そのとき、時計塔の扉がゆっくりと開いた。
中から現れたのは、白銀の衣をまとった一人の女性だった。
長い髪は星の光のように淡く輝き、瞳には深い悲しみが宿っていた。
「ようこそ、永遠星へ」
女性は静かに頭を下げた。
「私は、この星の記憶を守る者。名をセレスと申します」
ニジが尋ねた。
「どうして、この星の時間は止まっているのですか?」
セレスは、遠い過去を思い出すように目を閉じた。
「それは、この星の人々が、愛するものを失うことを恐れたからです」




