第六章 創世を拒む者、ゼロム
アマネが目覚めた瞬間、創世海全体が大きく揺れた。
神殿の壁に亀裂が走り、星の種が次々と闇に包まれていく。
そして、海の中央から巨大な黒い影が現れた。
その姿は、人の形をしているようでありながら、輪郭が定まらない。
黒い外套のような闇が全身を覆い、顔には何もなかった。
ただ、二つの暗い光が浮かんでいる。
「私はゼロム」
その声は、凍りついた夜のように冷たかった。
「すべての始まりを終わらせる者」
ニジは仲間たちの前に立った。
「どうして、創世海を壊そうとするんだ!」
ゼロムは答えた。
「生まれたものは、いつか失われる。美しい星も、愛する命も、すべては消えていく。ならば、最初から何も生まれなければ、悲しみも存在しない」
ルミナは静かに首を横に振った。
「でも、出会えたからこそ、幸せになれた命もあるよ」
「幸せなど、儚い幻想にすぎない」
ゼロムの闇が広がった。
「お前たちが守ってきた世界も、いずれ滅びる。色も、記憶も、友情も、すべて消える」
クロノスが一歩前へ出た。
「確かに、失うことはある。私も多くを失わせた。だが、それでも命は未来を望む!」
ゼロムはクロノスを見た。
「お前は過去を悔いている。ならば分かるはずだ。何も生まれなければ、過ちも起こらない」
クロノスは拳を握った。
「過ちを犯したからこそ、私は学んだ。過去を悔やむことと、未来を捨てることは違う!」
その言葉を合図に、戦いが始まった。
春の桜花隊が花びらの嵐を放つ。
夏の蒼海隊が青い波動を解き放つ。
秋の紅葉隊が黄金の炎をまとい、冬の銀雪隊が白銀の結界を張る。
ニジは虹色の光を放ち、ルミナは仲間たちの力を結び合わせた。
しかし、ゼロムの闇は強かった。
放たれた攻撃は、闇に触れるたびに消えてしまう。
「どうして効かないんだ!」
ニジが叫ぶ。
アマネは小さな手を握りしめた。
「わたしのせい……? わたしが生まれたから、ゼロムが目覚めたの?」
「違うよ!」
ルミナがすぐに答えた。
「あなたが生まれたことは、間違いなんかじゃない!」
その声に、アマネの瞳が揺れた。




