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順番はシュニック・シュヌック・シュナックで

 オリエンテーション合宿も早くも2日目の夕方を迎えていた。朝の地引網や昼間の山の中の散策といった2日目のイベントを終えてから宿泊先のホテルに帰って来ると、入浴時間のまでの時間は各自での自由時間となっていた。


 この時こそカトリたちの班にとっては、お待ちかねの肝試しのための時間だった。宿泊先のホテルからこっそり抜け出して来て、今や、カトリたち6人は宿泊先から離れた場所にある廃ホテルの前に集合していた。


 「いったい肝試しはどういうルールでやるんだ?」


 もう待ち切れない、といった様子の剛介が参加者たちを見回しながら口を開いた。


 「そうね… まずは一組目がこのホテルの奥の方に目的の場所を決めて目印を置いて来るっていうのでどうかしら?」


 エマが肝試しのやり方をスマホを器用に指でスライドさせて検索しながら返事をした。


 「次に二組目はその目印を見つけに行って証拠の写真を撮って帰って来るの。そして最後に三組目が目印の本体を持って戻って来るっていうのは、どうかしらね?」


 陽二を除いた全員がその話を聞いてうなずき合った。


 「じゃあ、もう組合わせは決まっているから、順番を決めましょうよ! ねえ、ジャンケンはどうかしら?」


 「ところで、ジャンケンってなに?」


 興味津々のカトリが質問をしてきた。


 「順番とかを決めるときに、グーとチョキとパーをみんなで一緒に出して勝ち負けを決めることだ」


 グーとチョキとパーを見せながら、ヤレヤレといった顔をして剛介が説明した。


 「グーは石で、パーは


 「それ、知ってる! シュニック・シュヌック・シュナックでしょ! 石とハサミと紙だよね! でも私たちのは二人でやるゲームなんだ。それに紙のときは手の指はそろえるんだよ」


 自分でも知っていることだったので、カトリはゴキゲンになった。


 「それでは、女子3人でジャンケンして決めましょう!」


 なんとか緊張する陽二から離れてきた志織が掛け声をかける。



 「「「ジャン、ケン、ポン!」」」



 1番目はエマに決まった。次に志織、最後はカトリになった。



 「1番は私たちだね… えーと、目的場所に置いてくる目印は何にしたらいいかしら? うーんと… 私はスマホとか懐中電灯しか持って来ていないし…」


 困り顔のエマを見て、カトリがモジモジしながら声をかけた。


 「もしコレで良かったら、どうぞ…」


 子猫のキャラクターが海女さんの格好をしたキーホルダーだった。


 「あ、これ、ホテルのおみやげ屋さんで売ってた限定品よね… ホントにこれを使っていいの、カトリ? 本当は大切なモノじゃない?」


 志織がカトリに念押しの確認をしている間、剛介の顔はこわばっていて、隼人の方は嬉しそうな恥ずかしそうな表情をしていた。


 “どうして、カトリのキーホルダーのことで剛介と赤城はあんな両極端な顔をしているのかしら? 同時に二人して変な顔をしてるって、どんな理由かチョットわからないわね…”


 目ざとく二人の相対する表情を見て取ったエマは、不思議に思っていた。


 「ウン、ダイジョウブ! これがみんなの役に立つならワタシは嬉しいの。さあ、どうぞ!」


 カトリは目印にするキーホルダーを隼人に手渡した。


 「オ、オウ、わかった! このキーホルダーは大切に扱うからな、任せておけ!」


 キーホルダーを受け取り、明るくて恥ずかしそうな返事をする隼人を剛介は目で殺していた。


 「では、第一組のエマと赤城、肝試しに行ってまいります!」


 元気よく宣言したエマは、急に服の袖を力強くひっぱられて態勢を崩す隼人にはお構いなしに、廃ホテルの入口の方に向かって行った。


 「あんな調子で、あの二人は大丈夫なのかしら?」


 固まっている陽二に付き添っている志織は、自分のことは横に置いてエマと隼人のことを心配していた。


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