非道なる一族と対峙
ヴァイス・フラワー。
それは長年グレイトアウラやその卵を狩猟することで生計を立ててきた一族であり、グレイトアウルが絶滅危惧種に指定されて狩猟が禁止された後も商人の国であるドライ王国を含めた一部の国では変わらずグレイトアウルを買い取ってもらうことができたので今でも昔の暮らしを続けていた。
ちなみにヴァイス・フラワーというのは一族全員が共通して名乗る名前であり、彼らにとっては誇りそのものである。
彼らはこれまでもこの先もこの生活を続けていくと思っていたし、自分達が滅ぼされる側に回るなんて考えたこともなかった。
だが――
『見つけたぞ悪党共! オレはお前達悪党の敵!! そして虐げられる者達の味方!!!』
『剣帝フランメ・ライオット!! これ以上の悪事はオレが許さんぞ!!! ヴァイス・フラワー!!!!』
――そんな彼らにも年貢の納め時がやってきた。
悪の敵であるフランメにアジトへカチコミをかけられて1000人もいた一族の生き残りは僅か6人のみ、どう考えてもヴァイス・フラワーの滅亡は避けようがなかった。
何よりも一族をたった1人でここまで追い込んだフランメのことが恐ろしくてしょうがなかった5人はヴァイス・フラワーの名前を捨てて生きていく決意をし、1から更生して頑張ったので後々フランメに見つかったが命は取られなかった。
「――クソッ、フランメ・ライオットめ!! 絶対に許さんぞォォッッッ!!!!」
一族の中でフルールと呼ばれていたこの女性だけはフランメへの復讐を誓い、ヴァイス・フラワーの最後の血族として運命に反旗を翻した。
だがフランメへ真っ正面から挑んだところで絶対に勝てないことを理解していたヴァイスは一か八かでグレイトアウルの巣へ侵入し、グレイトアウルの幼体を誘拐することに成功した。
グレイトアウルは愛情深い生き物であり、一万個もある卵を一つ盗んだだけで地の果てまで下手人を追いかける生態をしている。
なのでグレイトアウルの幼体を誘拐しても割に合わないから止めるようヴァイスは教えられて育ったが、もう仲間であり家族でもあった一族は滅んだのだから知ったことではなかった。
そしてフランメの父親であるデュランの親友が建国した国をグレイトアウルへ攻撃させて滅ぼすため、ヴァイスはグレイトアウルの幼体を連れたままスミス王国に侵入し。高みの見物をしていたのだが、ここで予想外の自体が起こった。
「なんだこの結界は!! クソッタレガァッ!!!」
スミス王国全体を半透明の結界が覆い、グレイトアウルの攻撃から都市を守ったのだ。
ヴァイスは誰が結界を使ったのか分からなかったが、グレイトアウルを直接攻撃しなかったため。その生態を知っている人物であることは分かった。
そのためすぐにフランメから逃げるときにも使ったパスポートで裏世界へ逃げようとした。
しかし――
「刹那一条――紫電ッ!!」
「何ィッ!? ――グワァッ!!!」
――一条の雷光に斬き裂かれて失敗した。
ヴァイスにとって不運だったのはその雷光の正体がデュランであり、過去に空間へ干渉する敵と闘った経験があったためその行動を逆探知されてしまったことだろう。
現代では魔王達は全滅しているためそんな芸当ができる人物はデュランとその弟子達しかいない、その知識不足がヴァイスの命を奪った。
……結果論だけど普通に走って逃げた方がよかったな、他の人間の気配へ混じって隠れられた可能性が高かった。まあそれはそれとしてざまぁっ! たっぷり苦しんでから死ね!!
「クソ野郎が!! 地獄へ墜ちろ!!!
……グレイトアウルの餌にするには服が邪魔だな、斬るか」
「デュラン! こんな人の服を斬らされるなんて天晴ちゃんが可哀想!! 僕が脱がすから少し待ってて!!!」
「分かったアリス、任せた。
――俺と同じ人族が迷惑をかけたな、お詫びになるか分からねぇが。これでも食っててくれ、お前の母ちゃんを止めてくるからよ」
「ホー?」
デュランはグレイトアウルの赤ちゃんにお詫びとして巨大な肉の塊を創り出してプレゼントしてからグレイトアウル目がけて飛び上がり、その体へ掌底を叩き込んで意識を奪った。
そうして一時的に気絶したグレイトアウルの体を予め呼び出していたスペースドラゴンが受け止めてからゆっくりと地上へ降ろした後、デュランは結界を攻撃し続けたことでヒビ割れている爪以外外傷がないことを確認し。爪のヒビ割れを治してやってからアリス達を呼びに行った。
「ホーホー!?」
「心配しなくて大丈夫だ、お前の母ちゃんを殺しやしねぇよ」
「ホーホ?」
「あぁ、嘘じゃねぇよ。母親が目覚めるまで近くにいてやりな」
「ホー!!」
デュランがそう言うとグレイトアウルの赤ちゃんは母親の側へ座り込み、そわそわしながら母親が起きるのを待った。
その光景を目にしたデュランはヴァイスの死体へ向き直り、やっぱりグレイトアウル達の餌にする価値もないなと思い。その死体を塵一つ残さず消し飛ばした。
「ホォ!! ホーホー!!!」
「ホォ? ホーホー??」
「ホーホ!」
「ホー、ホーホー!」
どういう会話があったのか知らないが少しの間話していたグレイトアウルの親子は何かを決断したようで、母親はデュラン達へ頭を下げてから赤ちゃんを置いて飛び去っていった。
デュランはその光景を目にしてグレイトアウルの赤ちゃんが母親から巣立ったことを悟り、ため息を吐いてから一応赤ちゃんへその意思を確認するため話しかけた。
「……お前、母親と一緒に帰らなくてよかったのか? もう二度と会えないかも知れないぜ。いいのか??」
「ホーホ! ホーホー!!」
「ハァッ、意思は固いか。それじゃあこれからよろしくな、どれくらいいるか知らねぇけどしっかり育ててやるよ」
「ホー! ホーホ!!」
デュランはそう言ってからグレイトアウルの赤ちゃん――後にオーブと名付けた――と一緒にアリス達の元へ行き、オーブが旅の一員へ加わったことを報告した。
アリス以外はメチャクチャ驚いていたがなんだかんだ受け入れられ、ルイズ達と合流してからスミス王国を旅立った。
そしてこのメンバーで各地を旅しながら仲間を増やし――二年の月日が流れた。
デュラン達は最後の国であるフォレスト王国の王であるクラウンの元を訪れ、いつも通り結婚式の招待状を渡してから事情を説明してその協力を取り付けた。
その後デュランはアリス達へ少しクラウンと2人で話したいことがあるから先に宿へ帰るよういい、全員が帰ったのを確認してクラウンと二人きりになってから天晴の鯉口を切った。
「お久しぶりでござるなデュラン殿ww、フォレスト王国へようこそでござるよww。それで我が輩と2人で話したいことってなんでござるかww、なんでも答えちゃうでござるよww」
「そうか、じゃあ単刀直入に言うけどよ――お前がカオスとか言うクソ野郎だろう? 殺してもいいか??」
「な、なんのことでござるかww、怖いでござるよデュラン殿ww――と我が輩としては言いたいのだが、どうやら確信しているようだな。
やはりヴィンデに情報を喋らせるとこうなるか、まあ分かっていたことだが。
答えはイエスだ、殺れるのならば殺ってみるがいい」
「――ッ!!? なるほど、確かに強いな。まだ絶対に勝てないから今回は止めとくわ」
デュランは本気の殺気を向けてきたクラウン――いや、カオスへ対してそう軽口を叩いてからその場を立ち去ろうとしたが、足が鉛のように重くあまり動かなかった。
だがそれらを一切表に出さず、黙々と歩き続けた。
「フフフッ、殺気だけとは言え本気だったのだがな。流石は剣神だ、恐怖に押し潰されないとはな。
――故に褒美をやろう、受け取れ」
「――ッ!」
『カウントスタート!』
デュランはカオスが何かをしようとしていることに気がつくとすぐにアクセルブースターのボタンを押し、天下無双を――
『リミットオーバー!』
「何ッ!?」
――使えなかった。
そのことに驚いて体のバランスを崩し、倒れそうになったが。気がつくとフォレスト王国で泊まっている宿の前に立っていた。
「……はははっ、これはちょっとワクワクしねぇなぁ」
デュランは思わずそうぼやきながらその場へ座り込み、敗北を噛み締めながらリベンジを誓った。
……反骨精神の塊かな?
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ちなみにオーブはメスです、やっぱりたらしですねぇ(笑)




