生きた証と襲撃
「スカイさん、最高のおもてなしをありがとうございました。それでは僕達はここで失礼します。
これからも経営を頑張ってくださいね! 応援しています!!」
「そんな、とんでもない! オレの思い人であるフランメ様のご両親をお世話できて感無量です!! 旅の最中にフランメ様と会ったらスカイは何時でも待っていますと伝えてください!!! お願いします!!!!」
「へぇ、アンタみたいなしっかりしてるヤツが惚れているってことはフランメはいい女なんだな。
少し会うのが楽しみになったよ、ありがとうな!! フランメにもし会えたらスカイの言うとおりに伝えておくぜ!!! またな!!!!」
「はい! また機会があれば草津の湯に立ち寄ってください!! 待っています!!!」
デュラン達は草津の湯の入り口で手を振っているスカイの見送りを背に旅立つと、再びスミス王国を目指して修行をしながら歩き出した。
そして太陽が天頂を通過するタイミングでスミス王国に辿り着き、デュランのかつての親友であるルイスとノアの墓参りを全員でした後。
デュランは「悪いんだけどよ、ちょっとの間だけでいいから1人きりにしてくれないか。2人と話したいことがあるんだ」と無理を言って一人きりにしてもらった。
そしてルイスとノアが人生を生き抜いた証であるスミス王国を少しの間見渡してから、今は冥界にいるだろう2人へ語りかけ始めた。
「……よう2人とも。お前らよりも早死にした俺がお前らの墓参りをするなんてな、なんか変な感じだ。
ヴィンデが言うには俺は冥界で魂を洗われず、カオス? とかいうヤツに転生させられたらしい。おまけにこの世界で起こっていた全ての事件や災害はそのクソ野郎が黒幕として裏で糸を引いていたらしい、ムカつくよな」
「お前ら分の借りも俺がキッチリ百倍にして返してやるからよ、俺の闘いを応援してくれたら嬉しい。
まあ、もしも俺が負けたら冥界で一杯やろうぜ――なんてな。
俺の強さは知ってるだろ、この国も含めてお前らの大切なものは全部俺が守ってやるから安心しとけ。そんじゃあまたな、ダチ公」
デュランは1人での墓参りを終わらせてアリス達と合流してから登城し、スミス王国の国王へ結婚式の招待状を渡してから事情を説明して協力を得ると二人の孫であるルイズとメディスンへ会いに行った。
予め写真で目にしていたとおりルイズとメディスンはデュランの親友であるルイス達の生き写しであり、もしかしたら本当に2人の生まれ変わりなのかもしれないと思ってデュランは少し嬉しかった。
「おいおい、なんで俺達を見ながら笑っているんだよ剣神様。
俺も変革の剣神は愛読してるしヘルト様から連絡受けてっから理由は見当がつくけどさ、初対面でそれは失礼だと思うぜ。なんか変なことを言ってるか?」
「……いや、言ってないよ。すまない、初対面で失礼なことをしてしまって。
俺の名前はデュラン――デュラン・クラインハルトだ、これからよろしく頼む」
「分かった、俺の名前はルイズ! これからよろしくな、デュラン!! ……だけど小さい強いか、なんかまるでデュランが今みたいに転生することが分かっていた誰かがこの名字を目にしてクラインハルト家を転生先にしたみたいで変な感じだな!!! けど今のデュランに合っててとてもいいと思うぜ!!!!」
「……そうか、褒めてくれてありがとう」
デュランは恐らくルイズの言うとおりの理由でカオスがクラインハルト家を転生先として選んだのだと理解して一瞬真顔になってしまったが、今はルイズ達と話しているのだからとすぐに表情を取り繕った。
そのまましばらくの間ルイズと会話していたが、いい加減ルイズの背後に隠れているメディスンと話したかったので彼へ視線を向けながら「なあメディスンくん、俺のことが嫌いじゃなければ少しだけ話してくれないかな? 何もしないからさ」と語りかけた。
「――あぅ」
「ウエェッ! 大丈夫かメディスンッ!! 空狐!!! 今すぐ見てくれ!!!!」
するとメディスンは少しの間彫像のように固まっていたかと思ったら小さい呻き声を上げてから気絶して倒れたので、デュランは超速で移動して彼を抱き止め。布団一式を創り出してからそこへメディスンを寝かせた。
「メディスンはどうしたんだ!! 何かの病気なのか空狐!!! 教えてくれ!!!!」
「……ただの失神ですね、慌てなくても大丈夫ですよデュラン殿」
「――えぇっ、マジで? 本当に??」
「悪いなデュラン! メディスンは少しコミュ障でな!! いつもこうなんだぜ!!!」
「……マジでそんな人間いるんだ、カカポかよ」
デュランはメディスンのあまりの貧弱さに天敵のいない絶海の孤島で暮らしていたため、か弱く警戒心の薄いカカポを連想してそう言ったが。カカポは気絶しないのでカカポ以下だなと結論を出した。
思わずため息をついてからデュランはルイズへ事情を説明し、メディスンと2人で少数精鋭の特殊部隊に入って欲しいと伝えた。
「うん? メディスンはこんな調子だがいいのか、役に立たないかも知れないぞデュラン??」
「べつに役に立たなくてもいいよ。俺があいつらの孫を守りたいから入れたいのもあるからな。
守るものが彼方此方にあったらやりづらいんだよ、俺が。だから2人にはできれば部隊へ入って欲しいんだよ」
「おう! そういうことなら構わないぞ!! メディスンには俺から言っとくから安心してくれ!!!」
「あぁ、よろしく頼んだ。俺達は三日ほどスミス王国へ滞在する予定だから、その間に準備を済ませてくれ――じゃあまた三日後にくる」
デュラン達とルイズはそう会話してから別れ、約束の三日後までそれぞれ準備していた。
だが約束の三日後、スミス王国をグレイトアウルという巨大なフクロウが襲撃した。
アリスが襲撃前に気がついてスミス王国全体を結界で覆い、なんとかグレイトアウルから守り切ったが不可解な状況だった。
本来ならばグレイトアウルは人類の生活圏へ入ってくることのない温厚な性格で、執拗に結界を攻撃し続けるようなことはしない。
つまり――
「……密猟者だな、グレイトアウルの子供に手え出したな。
何処のどいつか知らねぇが! とっ捕まえてグレイトアウルの餌にしてやる!! 行くぞアリス!!!」
「うん!! 密猟者は絶対に許さないんだから!!!」
――人類がグレイトアウルへ先に手を出したということだ。
そのことに気がついたデュランとアリスは親友の国を巻き込んだことに怒りながら駆け出していった。
「……活け作り?」
……バケモノ夫婦がブチ切れてしまったので、剣の言うとおりの結末になりそうである。なんまんだぶ、なんまんだぶ。




