計画通り
「リーベありがとうな! スペースファルコンでアリスとドライブデートしたけど色々と最高だったぜ!!
――そんでさ、ちょっと相談なんだけど。このアクセルブースターと同じものをナハト用に作れないか? ナハトも俺と同じ病気だからよ、頼めねぇかな」
「……別に作るのは構わないが、そのアクセルブースターは完全にデュランのデータへ合わせて作ったものだからな。
ナハトにそのデータを流用するのは不可能な以上、全く同じものを作るとなると十年ほど時間がかかる。だがそれだと時間がかかりすぎてるだろう。
なので普段の魔力の流れを操りやすくして天下無双の負担軽減するだけの簡易的なものにしようと思うがそれでもいいか? それならば一週間ほどナハトのデータを直接取れば可能だが」
「おう! それでいいぞ!!
そんじゃリーベ、俺とアリスはギガント王国のドラゴン牧場で今の状態に慣れる修行をしながら過ごしているから後はよろしく! みんなもまたな!! 一週間後にまた会おうぜ!!!」
「――またね! みんな!!」
デュランがそう一方的に言ってからアリスをお姫様抱っこしながら秘密基地を出て行ったので、リーベは思わず頭を押さえながらため息を吐いた後。
「別に、全員が泊まるのを許可した覚えは無いのだがね」と愚痴りつつもステラ達を客室に案内してから、ナハトを連れて部屋を出て行った。
ステラは二人を死んだ魚のような目で見送った後、魔法で手元にナイフを創り出し――それで自分の首を切ろうとしたが。なんでか死ぬ気にはなれず、ナイフを手元から消した。
「……私何で生きてるんですかね、もう何もかもなくしたのに」
ステラはアリスの殺意を宿した目を思い出しながら涙を流した後、もしもあの時。アリスの言うとおり父親であるデュランへの誘惑や告白をもうしないと約束しておけば、恋心を奪われることもなかったのだろうかと少しの間考えてみたが。
すぐに無駄な想定だなと、鼻で笑った。
例え一時的なものだと分かっていても、例え死ぬとしても、絶対にそんなことをしないと思ったし。だからこそアリスは恋情を奪ったのだと理解していたから。
「あ~あ、負けたのか私。みっともなく百年以上も片思いをしたのに――ほんっ、とうに、みっとも、ない」
ステラはなんでか出てしまう涙を拭うとベッドへ入って目を閉じ、そのまま寝てしまった。
しばらくして色々なデータを取り終わって部屋へ戻ってきたナハトは涙の後があるステラの顔を目にし、驚きながらも何かを決意するとその日はベッドへ入って寝た。
そして次の日。起きたステラへ「その洗脳、私が解いてやろうか」と話しかけるのだった。
「……洗脳? 何のことですか??」
「とぼけても無駄だ、その能力は元々私がデュランに殺させたアグリという魔王のものだ。
アイツはクズだからデュランに殺させたが、それはステラが生まれる前だ。
なのにステラへ洗脳が使われた形跡があるということはやったのはアリスだろう? 何があったのかは知らないが。私ならその洗脳を解いてやれ――」
「――止めてください!!」
ナハトは洗脳を解く許可をステラにもらおうとしたが、泣きそうな顔で止めるようステラが言ってきたため「……なぜ?」と短くそう質問した。
するとステラは「間違っていたからです、何もかも」と言った後、懺悔でもするかのように語り出した。
「――私は子供の頃からずっと父親であるデュランのことが大好きで、お父様と結婚するのを目標にずっと頑張ってきました。
お母様からしたら横恋慕だし、お父様が困っているのは分かっていたけどお父様へ毎日告白するのを止められなかった。
だけどその行動自体が間違いだったとはお父様への恋情を失った今でも私は思えていないんですよ、だから私は最初から間違えていたのだと思います」
「最初から? 何が言いたい」
「まだ分かりませんか? 私がお父様に恋をしたこと――それ自体が間違いだったと、私は言っているんです」
「……なるほどな、そういうことか」
ナハトが何かを理解したかのようにニヤリと笑ったのを目の当たりにし、なんでかステラは自分の心臓が高鳴っていくのを感じて目を見開いた。
また繰り返すつもりかと自己嫌悪しながらも、ナハトが何に気がついたのか知りたかったステラは「何を理解したのですか」と短く質問した。
そしてステラは――
「何、簡単な話だよステラ。君はデュランに恋をしたことを間違いだったと結論づけたようだがな、君がデュランへ恋をしたのは決して間違いなんかじゃない。
何故なら私はデュランに恋している君のことを愛しているから――だから、今までの自分を否定するようなことを言わないでくれ。頼む」
――恋に落ちた。
「えっ、それ、え」
「あぁ、そうだ。私はステラのことが大好きだ、愛している、結婚してほしいと思っている。
だが、今のデュランへの恋情のないステラに選ばれても嬉しくもなんともない。
だからお願いだ、君の洗脳を私に解かせてくれ。そしてその上で――私を選んでほしい」
「は、はひ」
「ありがとう――じゃあ洗脳を解くよ?」
「あ、ま、まって――」
ステラはあまりに色々な衝撃を受けたため、口から出てしまった変な声をナハトが了承だと勘違いしたと気がつき。なんとかナハトが洗脳を解くのを止めようとしたが、間に合わなかった。
そうして洗脳を解かれたステラの中にデュランへの恋情が戻ってくる――
「あ、あぅぅ……」
――なんてことは当然なく。ナハトへの恋情が際限なく湧き上がり、色々と限界突破したステラは目を回して気絶した。
そうしてステラを見事に落としたナハトは悪い顔をしながら倒れてくる体を受け止めた後。
「――計画通り」と呟いてからステラをベッドまで運び、そのまま何食わぬ顔で部屋を出た。
それから表情を元に戻すと今日もデータ取りのため、リーベの研究室へ向かうのでした。
……お前が黒幕かよッ!!? 黒幕は前作で卒業しとけや!!!! マジでビビったわ!!!!!




