秘密基地
ギガント王国の王都アトラスレグノム。
巨人族を創造した巨神オーディンが最初に生み出した巨人アトラスから取られた名前が特徴的なこの都市は、巨人族が住んでいるだけあってありとあらゆるもののスケールが大きい。
ジャイアントフォレストほどではないが果物の木なども大きいし、家畜として飼われているドラゴンの群れも間近で見られるので巨人族以外の種族から大人気の観光地である。
ウィンクルム連合王国を出発してから二日後。
デュラン達は巨人族の王フリーダムに結婚式の招待状を渡して巨人族へ協力をお願いするため、王のいる城を目指してアトラスレグノムの町中を歩いていたが。
都市が広いため時間がかかり、城へ着いたのは昼過ぎになってからだった。
「なるほどな、それで俺達巨人族に協力を要請したいっつうわけか……一つだけ条件を呑んでくれるのなら協力してもいいぞ」
「条件ってのはどんなのだ、フリーダム」
「――ちょっとデュラン!! 初対面の相手にその言葉使いはダメだよ!!!」
「ガハハッ、別に構わねぇよ! 俺も剣神のファンだからな!! 後で色紙にサインしてくれ!!」
フリーダムへの言葉使いがあまりにも酷すぎたのでデュランはアリスから注意されたが、フリーダムは気にしてないと言ってからサインをお願いしてきたので。デュランは「いいぞ」と返事をしてからサインを書いた。
それから条件へついてきいてみるとフリーダムの息子であるバーンと闘って勝てばいいと言われたので、アリスに夢の世界へ連れて行ってもらってから戦闘を開始することにした。
「初めまして剣神様、俺の名前はバーン。まだまだ若輩者だが、この国だと父親である王の次に強い剣士だ。
そっちの方が若いが胸を借りるつもりで挑ませてもらう! よろしく頼む!!」
「……多分、今の弱体化した俺よりもバーンの方が強いだろ。謙遜も過ぎると嫌みになるぞ? まあ、別に気にしないが。
それに殺し合いは強い方が勝つほど単純なものじゃないからな、そっちがそういうのならこっちも遠慮なく行かせてもらう――全力で殺し合おうぜ!!」
「はい! よろしくお願いします!!」
バーンはそう言ってから凶暴な笑みを浮べながら高速でデュラン目がけて突撃し、手にした巨大な刀を振り下ろした。
バーンからしたらデュランの体の大きさは虫のように小さいにも関わらず、その体を両断する軌跡を描いて迫る刃。デュランは横へ一歩分だけ移動することで避けた。
「――嵐流刃ッ!!」
「ムッ、吹き飛ばされたか」
そのままカウンター気味に天晴から巨大な魔力の刃を伸ばし、バーンにぶつけて吹き飛ばしてからデュランは天下無双の詠唱を開始した。
「――勝利だけを願うなら剣は牙と変わりなし、貫き難き仁の道。守り抜くもの人という」
「なるほど天下無双の詠唱時間を稼ぐために吹き飛ばしたのか、だったらこちらも魔法を使わせてもらうことにしよう!! いくぞ!!!」
デュランは詠唱の時間を稼ぐため百体の現し身を創り出して特攻させたが、バーンは即座に全滅させてからデュランの狙いを見破った後。
バーンも炎を身に纏う魔法を使うため、詠唱を開始した。
「我が身は無辜の民がため、剣となりて敵を討つ 」
「我が身は炎となりて敵を討つ――気炎万丈ッ!!」
「――ッ!!?」
短縮詠唱でデュランよりも早く魔法を使ったバーンが身に纏った炎の温度は地面がマグマになるほど高熱であり、生半可な攻撃は溶かして無力化し。その熱によって限界以上まで強化された身体能力での攻撃力は必殺級。
そんな攻防一体の魔法――気炎万丈を使ったバーンの圧力に冷や汗を流しながらデュランはワクワクしていた。
そして放たれた斬撃の雨を回避しきるのは不可能であると悟り、回避できなかった最後の一撃は天晴の鞘を目の前に掲げることで結界を張って防ぎ切った。
「ただ一筋の閃光を、恐れぬのなら来るがいい――天下無双ッ!!」
「――速いッ!??」
デュランは結界が壊れる前に超速で結界から抜けだすと、巨大な山を創り出してからサッカーボールのようにバーン目がけて蹴った。
しかしそれでも傷一つつかないバーンの姿に埒が明かないと真っ正面から突っ込む決意をしたデュランは超高熱から身を守るため、超重力の鎧を纏ってからバーン目がけて突っ込み――瞬く間にバーンの体中を斬り裂いた。
「刹那一条――十連」
「――グアァッッッ!!!! なんの、これしきィッ!!!!」
デュランは超高速の十連斬りを最小限のダメージで防ぎ切ったバーンの姿に目を輝かせた。
「……やっぱりお前は強いなバーン!! こっからはこっちも出し惜しみなしで行くぜ!!! 鳳凰剣ッッッ!!!!」
「――えっ、ちょっ、ま」
「刹那一条――百連ッ!!!!」
超高速の十連斬りを最小限のダメージで防ぎ切ったバーンだったが、その姿を目にしてテンションが天元突破したデュランが鳳凰剣を使い。
更に速くなったデュランの『刹那一条――百連』を防ぎ切ることはできず、バーンはデュランに敗北した。
……容赦なくて草。
「ガハハッ、バーン! 派手にやられたな!! 相手が剣神様だからしかたねぇがな!!!」
「そうですね! 昔見た映像通りの強さでした!!」
「いやいや!? あんなとんでもない魔法を使っといてバーンさんは何をいってるのかな!!? デュランが鳳凰剣を使わなかったら天下無双の時間切れでデュランの負けだったよ!!!!」
「……酒を呑んでるから多分聞こえてないぞ、アリス」
アリスはまるであっさりとデュランが勝ったかのような態度の二人に思わずツッコミをいれたが、二人はもう出来上がっているので聞いてなかった。
もう色々と面倒くさくなったデュラン達は酔っ払い共を放っておくことにし、バカでかい扉から部屋を出た。
それから町中でリーベについて聞き回ってみるとヘルトからの情報通り、やはり山の中で巨大な空中戦艦を創っているようだったので。デュラン達はリーベの秘密基地を訪れることにした。
そうして足を踏み入れたリーベの秘密基地はアトラスレグノムの町並みの広さを持っていたため、デュランは少し呆れていたが。
アリスが目を輝かせながら空中戦艦の写真を撮っているのを目にして考えを改め、こういうのがアリスは好きなのだと知ったので。デュランは今度戦艦の模型をプレゼントすることを強く決意するのでした。
……リア充爆発しろ。




