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第48話:恐怖の封印

第48話「恐怖の封印」



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王都の朝は早い。まだ夜の帳がうっすらと残る午前5時。エレンとジェームズは、セシリアの「準備運動」という名の死のジョギングを終え、地面に倒れ込むように休憩していた。


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#### 王立訓練場(セシリアの訓練所)


ジェームズ「……ハァ、ハァ……。エレンさん、それ。剣、替えたんだ? しかもセシリア様とお揃いの大剣?」


エレン「そうなんですよ〜! 昨晩、セシリア様に紹介された『刀職人(※国王)』さんのところで頂いたんです。この剣、すごいんですよ! 昨晩、セシリア様から思いっきり叩き斬られそうになっても折れなかったし、刀身が体の幅くらいあるから、思いっきり殴りかかられた時にも盾にできたんです〜! 生き延びられて、本当によかったですっ!」


「これで死なずに済む!」という生存本能の喜びからか、エレンは龍王を片手でブンブンと軽そうに振り回して満面の笑みを浮かべる。


ジェームズ(……。……。……。……おかしい。あのデカい剣を、女子が片手で軽々と……。俺ら仲間内では『セシリア様は怖すぎるから、エレンちゃんを彼女にした方が幸せになれるぞ』『ルックスは同じなんだから扱いやすくて優しいエレンちゃんに乗り換えた方がいいぞ』なんて冗談を言っていたけど……。この子、中身はセシリア様並みのバケモノなんじゃないか……?)


ジェームズの背筋に、セシリアの鉄拳とはまた違う、本能的な恐怖が走り抜けた。


---


#### フルーレの剣士道場


一方、フルーレの道場では、不穏な「実戦訓練」が始まろうとしていた。


フルーレ「……あー、めんどくさいっす。帝国がまた動き出したみたいだから、今日から実戦形式をやるっすよ……」


フルーレが本当に、心から気怠げに呼び寄せたのは、頭の先から足の先まで、隙間なく重厚な甲冑で覆われた「歩く鉄塊」のような騎士だった。


フルーレ「副師団長のサーヴェルさんっす。カムストックさんとサンチェスさん、彼女と実戦形式で稽古してもらうっすよ」


サーヴェル「……サーヴェルです。よろしくお願いします(籠手越しに響くこもった声)」


カムストック&サンチェス(えっ、これ……中身、女性なのか!?)


---


#### 昼休憩:禁じられた開放


激しい稽古の後、三人は共に食事をとることになった。だが、サーヴェルは一向に鎧を脱ごうとしない。


サンチェス「サーヴェルさん、ご飯食べる時くらい鎧脱いだら? 流石に食べにくいでしょ」


カムストック「そうだよ。この暑さでフルプレートはキツいって」


サーヴェル「で、でも……脱いだらフルーレ様に叱られます。『定時内は絶対に脱ぐな、仕官時間はそのまま仕事しろ』と固く言われていますので……」


カムストック「今は俺たちだけだし、絶対チクらないから大丈夫だって!」


サンチェス「フルーレ様には内緒にするからさ、な?」


サーヴェル「……。ぜ、絶対ですよ……?」


観念したサーヴェルが、重たい兜と胸甲を取り外した瞬間――。


カムストック&サンチェス「…………っ!!!」


そこに現れたのは、汗ばんだ長い髪をかき上げる、驚愕するほどの美女だった。しかも、フルーレが「100kgのパッド」を詰め込んでようやく到達しようとしていた領域を、彼女は天然の造形で遥かに凌駕していたのである。


サーヴェル「ふぅ、暑かった……。……フルーレ様には、絶対、絶対に内緒ですよ?」


カムストック&サンチェス(……。……。……。……分かった。フルーレ様がこいつを『鉄の箱』に閉じ込めた理由が……。これ、見つかったらフルーレ様の怒りが爆発して、俺たちが八つ裂きにされる案件だ……!)


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#### 魔道研究所:リノの居室


マキ(……フルーレ。お前という奴は。部下に自分よりスペックの高い美人がいるからといって、鎧で封印して隠蔽するとは……。騎士団の風上にも置けぬが、その執念だけは認めてやろう)


リノ「うふふ、マキ様。サーヴェルさんの素顔の写真、『お色気担当、交代ですねっ☆』ってメッセージを添えて、フルーレ様に誤爆送信してみましょうかぁ?」


マキ(やめろ!! 王都が火の海になる!! フルーレが発狂して、サンチェスたちが肉片になる未来しか見えん!!)


リノ「えへへ、ジョークですよぉ。……さて、エレンさんの龍王、そしてサーベルさんの美貌。戦力は揃ってきましたねぇ。……そろそろ、帝国の鼻っ柱をへし折りに行きましょうか」


---


王都アレクサンドの「被害者の会」は、その領域を密かに広げていた。ハナの拠点である武家屋敷では、今日も今日とて理不尽な精神的圧力がかかっている。


---


#### ハナの武家屋敷


ハナ「帝国もバカだよねー。大敗してもすぐまた狙ってくるなんてさ。今までよっぽどマキ様が怖かったって言ってるようなもんだよ。……ボクの方が怖いって、分からせてあげたくなっちゃうよねー(クッキーをかじりながら)」


ジェームズ&ガリクソン「はぁ……。そうですね……(※否定したらクッキーの代わりに手裏剣が飛んでくる)」


ハナ「というわけで! 二人には今日から『真面目に』実戦訓練を教えるから、やってもらうよ?」


ジェームズ&ガリクソン「……はい。(……今までのお菓子作りや雑用は、真面目じゃなかったのか……っ!?)」


ハナ「おーい、ヒナギクさーん」


ヒナギク「はっ。ここに」


次の瞬間、音も気配もなく、全身を分厚い鎖帷子と頭巾で完全に覆い隠した「鉄壁のくノ一」がハナの前に跪いていた。


ジェームズ&ガリクソン(!!!!! どこから出た!? 全く気配がなかったぞ……!)


ハナ「ボクのとこの副師団長、ヒナギクさんだよ。今日から二人は彼女と実戦訓練をやってもらうからね」


---


#### 昼休み:忍びの休息


午前中の過酷な隠密・実戦訓練を終え、三人は縁側で食事をとることにした。しかし、ヒナギクはガチガチの鎖帷子と頭巾をつけたまま、不自然な手つきで食事を口に運んでいる。


ガリクソン「ヒナギクさん、その頭巾とマスク……外さないとご飯食べにくくない?」


ジェームズ「それに、その鎖帷子。重くてキツいでしょ。休憩時間くらい外したら?」


ヒナギク「……。ご心配、痛み入ります。しかし、ハナ様から『勤務時間は絶対に外すな』との厳命が出ておりますので……」


ジェームズ「今は俺たちしかいないし、外していいですよ。ハナ様には内緒にしますから!」


ガリクソン「そうそう。俺たち一応諜報部隊だから、口は硬い方ですから。ね?」


ヒナギク「……。そ、それでは、お言葉に甘えて……。……絶対に、絶対に内緒ですよ?」


観念したヒナギクが頭巾を解き、分厚い鎖帷子を脱ぎ捨てた瞬間――。


ジェームズ&ガリクソン「**…………(絶句)**」


そこにいたのは、しどけなく汗を拭う、超弩級のお色気美女だった。さらに、ゆったりとした隊服の上からでもはっきりと分かる、暴力的なまでの豊満な胸……。


ヒナギク「ふぅ……。生き返ります。……本当に、内緒ですよ?」


ジェームズ&ガリクソン(ハナ様……。あんた、自分の『子供っぽさ』を際立たせないために、自分よりスタイルの良い美人は全員、鉄壁の装備で封印してるのか……!? 怖すぎる。この騎士団、幹部が一番怖い……!)


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#### 魔道研究所:リノの居室


マキ(……。……。フルーレに続いてハナまでもか。自分のコンプレックスを隠すために、副師団長クラスの精鋭を『着ぐるみ』同然の重装備で隠蔽するとは。アレクサンド騎士団の風紀はどうなっているのだ……)


リノ「うふふ、マキ様ぁ。ハナ様のあの徹底ぶり、職人芸でちゅねぇ☆ でも、マキ様も以前『ハナは実力だけなら私より上かもしれない』って褒めてましたよね?」


マキ(**それは隠密スキルの話だ! 自分よりおっぱいが大きい部下を鎖帷子でグルグル巻きにする技術を褒めた覚えはない!!**)


リノ「えへへ。でもこれで、フルーレ様のとこの『サーヴェルさん』、ハナ様の『ヒナギクさん』。……隠された美女軍団が揃ってきましたね。帝国軍が攻めてきたら、彼女たちの封印を解くだけで、兵士たちは鼻血を出して全滅するんじゃないでちゅか?」


マキ(……そんな勝ち方は嫌だ。……。だが、待てよ。この調子だと、セシリアやカレン、シルフィの影にも、誰か『封印された被害者』がいるのではないか……?)


騎士団のコンプレックスは、想像以上に深かった。


---


###リノの魔道研究所


ハイドンの胃壁は、もはや戦場跡地のようにボロボロだった。シルフィの「深淵の苦味」に耐え抜くため、あらかじめ強力な胃薬を流し込み、彼は草むらから近づく足音に身構えた。


---


#### 魔道研究所・裏庭(地獄の待ち合わせ場所)


セイラ「……すみません。今日は師団長シルフィが会議で不在なので、代わりに私が来ました」


目の前に現れたのは、特殊支援師団の副師団長、セイラ。彼女もまた、シルフィの影に隠された「もう一人の聖女候補」にして、別のベクトルの狂気を宿す者だった。


聖女のような優しく美しい美貌に加え、隊服の上からでもハッキリと分かるぐらいの大きく豊かな胸。


ハイドン「あなたはいったい……?」


セイラ「セイラと申します。……今日は、私の試作品を持ってきました。ぜひ、ハイドン様に飲んでいただきたくて……」


ハイドン「セイラさんも、青汁を作られているのですか……(……お前もか、という絶望)」


セイラ「はい。……でも、シルフィ様とは意見が合わなくて。私の青汁は、どうしても認めていただけないんです。……青汁は苦くないといけない、なんてルール、ないはずですよね?」


ハイドン「(……ほう?)。……ええ、そうですね。人それぞれ視点は違います。スムージーのように飲みやすい青汁があってもいい。料理の数だけ正解はあるものです」


ハイドンの騎士らしい誠実な慰めに、セイラの伏せがちだった瞳が、パァァ……と不気味なほど明るく輝き出した。


セイラ「ハイドンさんは、本当にお優しい方ですね。……心が、救われました。では、私の自信作を……どうぞ」


ハイドン「あ、はい……(……苦くないなら、あるいは……!)では、いただきます……。…………ッ、ごふぅぅ!!??」


口に含んだ瞬間、脳を直接殴打するような「暴力的な糖分」が襲いかかった。砂糖をそのまま液体にし、ハチミツの樽に突き落としたような、ドロドロとした致死量の甘さ。


セイラ「……苦くないでしょう? まだまだたくさんありますから、いっぱい飲んでくださいね!!(とびきりの笑顔)」


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#### 数刻後:ハイドンの部屋


激しい胸焼けと、急激な血糖値の上昇で視界をチカチカさせながら、ハイドンは何とか自室に帰り着いた。


サンチェス「あ、ハイドンさん帰ってきた! さっさと飯作って食べようぜ! 今日はガリクソンのフィナンシェがデザートだ!」


ハイドン「……。……。……甘いものは……もう……見たくも……ない……(嘔吐感)」


その時、絶望のメロディのような、控えめなノックの音が響いた。


ドアを這うようにして開けたハイドンの前に立っていたのは、月明かりを浴びたセイラだった。その両手には、シルフィと同じく「家出娘」のような巨大なクーラーバッグ。


セイラ「ウフフ、来ちゃった♡」


ハイドン「……(白目)」


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#### 魔道研究所:リノの居室


マキ(……。……。……終わったな。ハイドンの膵臓すいぞうが、ついに限界を迎えるぞ。シルフィの『劇物苦味』と、セイラの『致死量糖分』……。こいつら、二人合わせて『毒物混入師団』に改名しろ!!)


リノ「うふふ、マキ様ぁ。セイラ様は、シルフィ様への対抗心で『甘さの限界』に挑戦してますからねぇ。……あ、ハイドン様が甘すぎて喉を押さえて悶絶してのたうち回りだしましたよ?てへっ☆」


マキ(笑い事か! 騎士団の希望であるハイドンが、糖尿病で戦線離脱したらどうするのだ!! ……おい、サンチェス! お前ら、さっさとその女を追い返せ!!)


サンチェス「(小声)……この子、コート脱いだらフルーレ様の副官並みの『隠れ巨乳』だった……。男として、追い返せるわけねーだろ……」


マキ(……。……この騎士団、やっぱり一度滅びたほうがいいかもしれん……)


今回もご覧いただいた方がおられましたら、本当にありがとうございます。


フルーレ様とハナ様、本気でお色気担当の座を狙っていたという恐ろしいお話でした。そしてシルフィの腹心も‥‥


今後とも何卒長くお付き合いくださる事と、もし気に入られられたらブックマークして頂けると嬉しいです。

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