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第44話:どこに行けば俺は辿り着けるのだろう

第44話「どこに行けば俺は辿り着けるのだろう」



深夜、ハイドンの部屋はもはや物理的な破壊を通り越し、精神的な地獄へと変貌していた。


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#### 三人娘の格付けテーブル:地雷踏み抜き大会


ハナ「ねえ、サンチェスさん。質問を変えるよ。この三人の中で、おっぱいが『三番目』に大きいのは誰?」


サンチェス「それはフルーレ様……って! ハナ様、いったい何の誘導尋問なんですか!?」


フルーレ「……。……。……フフフ……。サンチェスさん……。……ちょっとこっちに来るっすよ? ……小さいかどうか、その身をもって確かめる価値はあるっすよね? ……力ずくで見てみるっすか?フフフ」


サンチェス「ひいいっ!!! だ、誰か助けてっ!! フルーレ様の包丁の角度がおかしい!! 死ぬっ、僕の人生、微塵切りで終わるっ!!」


ガリクソン&カムストック「(遠い目)……無理に決まってるだろ。墓は建ててやるから、安心して切り刻まれてこい」


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#### 宴会中央:朝まで生女子トーク


夜が更けるにつれ、酒(とリノの魔力飲料)が回った女子たちは、ついに「自己矛盾の嵐」を巻き起こし始めた。


ハイドンと隊長ズは、一列に並んで正座させられ、その言葉のナイフを全身に浴びている。


ハナ「ボクはお菓子系とか言われてるけど、れっきとした硬派なんだよ? 誰が言い出したのか知らないけど、失礼だよねっ?(もぐもぐと最新作のクッキーを食べながら)」


シルフィ「わたしは癒やし系と言われてチヤホヤされてますけど、心外です。わたしが真心込めて作った『特製・地獄の苦味青汁』、誰も飲みたがらないんですよ? あ、今持ってるんですけど、ハイドンさん、一杯いかがですか?(ニコッ)」


フルーレ「わたしはさっき、そこのサンチェスから『童顔で胸が小さい』と侮辱されたっすけど……。本当は、私が一番のお色気系だと思うんすよね。……どう思う?(包丁を研ぎながら)」


セシリア「ふん。私が一番嫌いなのは、ぶりっ子というか『あざとい女』だな! 男を騙すようなポーズをする奴を見ると、本気でぶん殴りたくなるぞ!!なあお前たち!?」


ハイドン&隊長ズ(……。……。……。)


彼らは、プロの兵士である。だからこそ知っている。


ここで「お前が一番あざといポーズしてたろ!」とか「ハナ様は完全にお菓子好きの子供だろ!」などとツッコミを入れた瞬間、この部屋が爆散することを。


エレン「(虚空を見つめながら)ツッコんだら負け、ツッコんだら負け、ツッコんだら負け……。これは幻覚、これは幻覚……」


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#### リノの膝の上:マキの諦観


マキ(……地獄だな。戦場のど真ん中に放り出された方が、まだ生き残る確率が高いぞ。……おいカレン、お前はなぜ黙ってニコニコとブキャナンの胃をキリキリ痛めつけているのだ。一番タチが悪いぞ)


リノ「うふふ、マキ様。皆さん、素が出てて素敵ですねぇ。あ、セシリア様が『あざとい女を殴る』って言った時の表情、写真を撮って、あとでセシリア様に見せてあげたいですねー、てへっ☆」


マキ(……やめろ! それは戦争の火種だ! 国家統一の前に、身内で核戦争が起きるぞ!!)


リノ「大丈夫ですよ。……さあエレンさん、現実逃避は終わりです。そろそろ私の『秘密の魔導レッスン』を始めましょうかぁ?(ねっとり)」


エレン「ひぃぃぃ! そっちも地獄だぁぁ!!」


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ハイドンの部屋の空気は、もはや呼吸するだけでMPを削られる毒沼と化していた。


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#### 氷点下のブキャナン・シート


ブキャナンは、カレンが注ぎ続けるシャンパンを震える手で飲み干しながら、必死に脳内避難所シェルターへ逃げ込んでいた。


ブキャナン(……耐えろ、俺。今、目の前で微笑んでいるこの『冷徹な死神』は幻覚だ。本庁の門の前で、天使のような笑顔で俺を励ましてくれてるカリンちゃん……。あの娘こそが真実、あの娘こそが光……! 同じ銀髪で、同じ声質かもしれないが……あんな性格の悪い生き物と、カリンちゃんが同一人物なはずがないんだぁっ!!)


カレン「あら、ブキャナンさん。なんだか遠い目をしているけれど……。カリンっていう新人の子のことでも考えているのかしら?……」


ブキャナン(**ひいいっ! 組織的に俺を包囲してるのかぁぁ!!**)


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#### ハイドン&隊長ズ:ツッコミ禁制の荒野


部屋の中央では、女子たちの「自己評価」という名の猛吹雪が吹き荒れていた。


セシリア「……大体、女としての武器をあざとく使う奴は、騎士の風上にも置けんのだ! 私は常に正々堂々、実力だけで生きてきたからな! なあ、ハイドン!」


ハイドン「……(さっきまで『応援しちゃうぞ☆』のポーズで私を脅していただろうが。……いや、言ってはならん。言えばモーニングスターが何個になるかわからん)」


シルフィ「そうですよ。あざといのはいけません。それより皆さん、私の特製青汁、栄養のバランスを考えすぎて色が『深淵の闇』みたいになっちゃいましたけど、今すぐ飲んで健康になりましょう? 拒否権はありませんよ?(ニッコリ)」


ガリクソン「……(癒やし系とは。聖女とは。……ああ、神よ)」


フルーレ「だからっ、私がお色気担当で、ハナが子供担当っすよ! 誰がなんと言おうと譲れないっす!」


ハナ「失礼だなぁ、ボクの方が絶対お姉さんに見えるよ! ほら、このクッキーの焼き加減を見てよ、この母性を!」


カムストック&サンチェス「……(どっちもどっちだなんて、口が裂けても言えない……!)」


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#### リノの膝の上:賢者タイムのマキ


マキ(……地獄。まさに生き地獄。かつて私が厳格な規律を求めていたのは、こいつらを野に放つとこうなることを本能的に察知していたからかもしれんな。……おいリノ、いつまでこの地獄絵図をニヤニヤ眺めている。早く私を連れて、この異常空間から脱出させろ)


リノ「ウフフ、マキ様。エレンさんはもう、現実逃避しすぎて瞳のハイライトが消えちゃいましたねぇ。」


リノは、糸が切れた人形のようにガタガタ震えているエレンの首根っこを掴むと、そのままずるずると部屋の外へ引きずり出した。


エレン「あ……あう……。ツッコんだら……負け……。青汁……おいしい……(虚ろな目)」


マキ(……。……。……ハイドンよ。隊長ズよ。お前たちの犠牲は、私が元の姿に戻った時に、三階級特進ぐらいで報いてやるからな。……今はただ、カレンの笑顔とセシリアの熱弁に、無言で頷き続けるのだ……)


夜は、まだ明けない。


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翌朝。ハイドンの部屋の床には、昨夜の嵐の爪痕が生々しく残っていた。


散乱した空き瓶、シルフィが飲み残したどす黒い青汁のコップ、そして魂を吸い取られたような顔で転がっている隊長ズ。


ハイドンは、バキバキと音を立てる体に鞭打ち、幽霊のような足取りで部屋を片付け始めた。


ハイドン「……いやはや、酷い目に遭った。何なのだあの無茶苦茶な女子トークは……。朝方まで続いた挙句、最後はフルーレ殿が包丁でサンチェスを追い回して終わるとは……。戦場ですら、これほどの恐怖を味わったことはないぞ……」


その時、ハイドンの唯一の安息の地であるドアが、昨日と同じ勢いで激しく蹴破られた。


セシリア「ハイドン! やっと起きたか!?」


ハイドン「げえぇぇぇっ!?(悲鳴)」


セシリア「肩慣らしの『ジョギング・デート』も終わったから、体は十分に温まっておる! さあ、本番の訓練を始めるぞ!!」


そこには、爽やかな朝の光を背負い、「エイエイオー!」のポーズで上目遣いをする、可憐すぎるセシリアの姿があった。


……だが、その背後には、ジョギング・デートで全MPとHPを使い果たし、口から魂を半分はみ出させたジェームズとエレンが、虚ろな笑みを浮かべて立っている。


セシリア「エレンも、もう完全にジョギングについてこれるようになったな! あと一週間もすれば、ジェームズみたいに楽しく会話しながらジョギングできるようになるぞ?」


キャピキャピとした可愛らしいポーズで、「一緒にジョギングできる喜び」を全身で表現するセシリア。


その輝きが眩しければ眩しいほど、背後の二人の「死相」が際立つ。


セシリア「よし! 行くぞハイドン!! さっそく朝からモーニングスターだ! ……朝だけに(キリッ)!」


セシリアは、自分で言ったギャグがよほど会心だったのか、顔を赤らめて「テヘペロ☆」と舌を出した。


そして、「今のは面白かっただろう?」という無言の圧力を、瀕死の部下たちに叩きつける。


ジェームズ「……ア、アハハ。面白いや……(乾いた笑い)」


エレン「……スゴク……オモシロイデスネ……アハハ(瞳のハイライト消失)」


セシリア「よし、返事も上々だな! さあ練習場に行くぞ、ハイドン!!」


ハイドン「……。……はい(もはや抵抗する気力すら湧かない)」


---


#### 魔道研究所:リノの居室(同時刻)


リノの膝の上で、魔道探知でその惨状を見ていたマキは、小さな手で顔を覆った。


マキ(……セシリア。お前のその「あざとさ」と「暴力」の同時多発テロは、もはや禁呪レベルだ。ハイドンの精神防御力が、ついにゼロを割り込んだぞ)


リノ「うふふ、マキ様。セシリア様のテヘペロ、破壊力抜群でちたねぇ。……あ、今のシーンもバッチリ撮影して、ハイドン様の精神攻撃用……じゃなくて、福利厚生用の画像リストに入れておきました☆」


マキ(やめろ! 奴をそれ以上、精神的に追い詰めるな! 奴が壊れたら、誰がモーニングスター二個の実験台になると思っているのだ!!)


リノ「大丈夫でちゅよ。……それよりマキ様、今日は昨日言った通り、『猫耳帽子』を被っての離乳食タイムですよぉ〜。さあ、可愛く『にゃーん』って言ってみてくだちゃいねぇ?」


マキ(**貴様ぁぁぁ!! ……おいセシリア! 戻ってこい! モーニングスター四個を使って、私をこの変態の『にゃーん』から救え!!**)


王都の朝は、今日も平和(絶望)に満ちていた。


今回もご覧いただいた方がおられましたら、本当にありがとうございます。

個々の登場人物に思い入れが出てくると、いろいろイメージが浮かんでくるものなんですね。

今後とも何卒長くお付き合いくださる事と、もし気に入られられたらブックマークして頂けると嬉しいです。

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