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第11話:天才軍師の帰還

第11話「天才軍師の帰還」


西側諸国随一の精鋭、十万を超える王国騎士団。その頂点に君臨し、近隣諸国にまでその勇名を轟かせた騎士団長マキ・クロフォードの「不在」は、国家の根幹を揺るがす事態であった。


表向きには「国家機密の最重要特別任務」。副長セシリアが、マキの離脱を悟らせぬよう苦渋の決断で「代理」を務めているが、騎士団の内部では不穏な噂が絶えない。


「マキ様がいなければ、この国は……」

「一体、どのような任務なのだ? 我々も出撃の準備をすべきか?」


団員たちが固唾を呑んで状況を見守り、緊迫した空気が王都を覆う中――。

当の「国家機密」そのものであるマキは、リノの私室という、別の意味で最高難度の戦場にいた。


マキ「はうぅ!!! リノやめろ!! やめるのだ!! 百烈全身キス??? バカなことはやめ……んはぁぁぁ!? !!!!」


一歳半の小さな肉体が、シーツの上で弓なりに跳ねる。


二十三歳のマキが築き上げてきた鉄の意志は、リノの容赦ない「百烈キス」によって無残にも粉砕されていた。


リノ「うふふ……マキ様ったら、こんなに跳ね回られて可愛らしい‥‥三位一体の攻撃はお気に召したみたいですね〜」


マキ「はぁ、はぁ、はぁ……」


(……この……変態……魔道士め……。十万の兵を……指揮する……私を……赤ん坊として、ここまで……っ!)


マキの瞳は快楽の涙で潤み、視界は白く染まっている。


ようやくセシリアたちが退出し、騎士団長としての「威厳」を取り繕う必要がなくなった瞬間、リノの独占欲という名の魔力が爆発したのだ。


リノ「ふふっ、気持ち良すぎて喋れないみたいですね? 可愛らしいです。まあ、ようやく二人きりになれたんですから、誰にも邪魔されず、たっぷり、たっぷり可愛がってあげますからね? マキ様大好きです!! チュッ」


マキ「むぐうっ!」


強引に塞がれる唇。

騎士団員たちが「団長は今頃、暗闇の中で国を救う孤独な戦いに身を投じているのだ」と確信し、決意を新たに鍛錬に励んでいるその頃――。


マキは確かに、ある意味で「国家機密レベル」の、誰にも見せられない凄絶な任務(リノの愛撫に耐えること)を、一歳半の肉体で必死に遂行し続けていた。



マキが「赤ん坊」という抗えない肉体の枷に嵌められて五日。


午前中のリノによる過酷な「百烈キス」で神経をすり減らしたマキは、不本意ながらも幼児特有の睡魔に屈し、昼寝の淵に沈んでいた。


だが、夢の中に現れたのは、かつての凛々しい自分と、その傍らで淡々と報告を行う「冷徹な知性」の影だった。


『――マキ様、聞いているのですか? 同盟国の国境が……移動を含め六日もあれば帰還できるでしょう。私が不在だからといって、くれぐれも不摂生なきよう……』


マキ「う、うわあ!」


跳ね起きるように目を覚ましたマキ。全身を嫌な汗が伝う。


目の前には、添い寝しながら魔導書をめくるリノの、のんびりとした顔があった。


リノ「マキ様どうしたのです? 恐い夢でも見たんですか? 大丈夫でちゅよ〜? リノはずっとマキ様のそばにいるから、こわい、こわい、はないでちゅよ〜?」


マキ『貴様ー! その言葉使いはやめろと言っておるだろうが!! 何が「こわい、こわい」だ!? 貴様が一番恐いわ!!』


リノ「私は悲しいです。こんなにマキ様のことを思って、身体の隅々まで百烈キスで尽くしてあげているのに……くすん」


マキ『……っ、そんなことはどうでもいい! 忘れていた! ヤツが、カレンが明日には帰ってくるぞ!!』


その名が出た瞬間、リノの手がわずかに止まり、部屋の空気が微かに震えた。


**カレン・シュナイゼル。**

二十一歳にして王国騎士団の頭脳を司る大軍師。


セシリアが「動」の信頼なら、カレンは「静」の絶対。小柄で可愛らしい風貌とは裏腹に、数万の敵の動きを一手で封じ込めるその慧眼は、味方ですら恐れるほどに鋭い。


マキ(セシリアやフルーレたちは、私への憧れが強すぎて盲目的になっている部分がある。だが、カレンは違う! あの冷徹な観察眼に、今のこの「リノの不自然な献身」が通用するはずがない!)


もしカレンにこの状況を「異常」だと見抜かれれば、リノの変態的育児(蹂躙)生活は即刻終了し、マキは軍師の管理下で厳格な「検体」として扱われることになるだろう。


リノが魔導書を閉じ、ふっと怪しく目を細めた。


リノ「……軍師殿、ですか。確かにあの人は、セシリア様たちのように『団長が可愛いから』という理由で思考停止はしてくれませんね。……これは、明日までにマキ様をさらに『しつけて』おかないと、すぐにバレてしまいそうです」


マキ『しつける……だと!? 貴様、何を……っ、やめろ、来るなリノ!!』


リノ「うふふ、カレン様にバレないように、赤ん坊としての『純粋な反応』を身体に叩き込んであげますね。さあ、お勉強の時間ですよ?」


大軍師帰還まで、残り二十四時間。


マキの肉体とプライドは、カレンの鋭い眼光を前にして、果たして持ち堪えることができるのか――。



リノ「まずは赤ちゃんとしての純粋な表情、動き、そしてリアクションを徹底的にマスターしていただきます。いいですね?」


リノが魔導書を置き、冷酷なまでの「教育者」の瞳でマキを見下ろす。


マキ『ま、待てリノ。……その訓練を、全裸で行う必要はあるのか!? なぜ服を脱がせる!?』


リノ「当然です。カレン様はわずかな筋肉の強張り、皮膚の紅潮も見逃しません。全身で『無垢な幼児』になりきらなければ、一瞬で見破られますよ。……もし不自然だった場合は、私から『罰ゲーム』という名のお仕置きがあるだけですから、安心してくださいね?」


マキ『貴様!! それの何が安心だというのだ!? お仕置きが目的なだけだろうが!』


リノ「マキ様はやれば出来る子です。……まずは指しゃぶりからですよ〜? 赤ちゃんはおっぱいが恋しくて、いつも指をちゅうちゅうするんです。さあ、どうぞ?」


マキは屈辱と羞恥に顔を歪ませ、涙をボロボロとこぼしながら、自らの小さな指を口に含んだ。


マキ(私は……王国騎士団長……十万の兵の長……。それが今、部下の前で指を……ん、ちゅ……)


リノ「はい、よくできまちたね〜? ……でも、まだ『おっぱいへの執着』が足りません。次は、私の胸をちゅうちゅう吸う練習でちゅよ〜?」


マキ『なっ……!? 貴様、何を……ふぐぅっ!?』


無理やりリノの柔らかな胸に顔を押し付けられ、吸い付かされるマキ。しかし、慣れない動作に戸惑い、つい拒絶の反応を見せてしまう。


リノ「あーあ、マキ様。今のは『赤ん坊』の反応ではありませんね? はい、お仕置き確定〜。マキ様、連続百烈キスの刑です〜」


マキ『やめ……ひぎぃっ! あ、ああぁぁぁーーっ!!』


リノの容赦ないキスが、マキの小さな身体全体をまんべんなく高速で……、意識が飛びそうになるほどの快感が脳を焼き、マキはベッドの上で魚のように跳ねるしかなかった。


――数時間後。


リノ「んっ……ふふ、マキ様……私の胸を吸うの、とっても上手になりましたね……? あんっ、そんなに強く吸われたら、私まで変な声が出ちゃいます……」


マキはもはや、理性など欠片も残っていない状態で、本能のままにリノに縋り付いていた。


カレン対策という名の「しつけ」は、いつの間にかリノの欲望を満たすための濃厚な時間へと変貌を遂げていた。


マキ(はぁ……はぁ……カレン……。早く……早く帰ってきて、私を……この魔女から助けてくれ……)


マキの切実な願いを嘲笑うかのように、夜は更けていく。


ぐったりとイキ果て、指一本動かせないマキを、リノは手慣れた手つきで拭き上げていく。


その無駄のない動きでシーツを交換する姿は、先ほどまでマキを蹂躙していた変態魔道士とは別人のように事務的だ。


リノ「夕食の支度をしますね。セシリア様たちにもこの部屋に集まってもらいますので」


リノはふうっ、と短く息をつき、真剣な眼差しで窓の外を見つめた。


リノ「もう時間がありません。昨日のシークレット会議でもその話が出て、大臣やセシリア様たちは『あと三、四日は猶予があるから対策を考える』と楽観視していましたが……。私は、軍師殿が移動時間を含めて最短六日で帰還する可能性があると、何度も進言したんですけどね」


マキは、リノの言葉に戦慄した。


マキ(リノ、貴様もか……。セシリアたちの甘い見通しをよそに、私と同じ「最悪の事態」を予測していたというのか)


カレン・シュナイゼル。彼女もまた、リノと同じくマキがその才能を見抜き、自らの手で推薦状を書き、鍛え上げてきた。


そしてマキの想像を遥かに超える「怪物」に育った天才軍師の帰還。目の前にいるこの天才魔道士は正確に読み切っていたのだ。


マキ(目の前にいるこの娘も……変態的な性癖さえなければ、カレンに匹敵する、いや、それ以上の怪物だったのか……)


マキが改めてリノという存在の底知れなさを実感した、その時。


マキ「むぐうっ! むぐぐ!!」


感傷に浸るマキの唇を、リノの唇が強引に奪った。


リノ「ふふ、セシリア様たちが来る前に、いっぱいいっぱいキスしときますねっ。じゃないと、明日からは軍師殿の目が厳しくて、なかなか隙が作れませんから!」


もとい。

彼女は「類まれなる天才」であると同時に、救いようのない「超弩級の変態」でもあったのだ。


リノに唇を吸われ、鼻を鳴らしながら、マキは迫りくる明日への恐怖に身を震わせる。

そして、その夜――。

ついに王国騎士団の正門に、一騎の馬が砂埃を上げて到着した。


「ただいま戻りました。……それで、団長はどこにいおられるのかしら?」


鈴を転がすような、しかし感情を排した冷徹な声が、夜の騎士団本部に響き渡った。

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