第100話:それぞれの明日
わたしが初めて書いた小説が
まさか100話を迎えるとは‥
ひとえに皆様の応援のおかげです
本当にありがとうございます!
こんな駄作を読んでくださってる方々に
心から感謝です!!!!
まだまだ物語は続きますので、今後とも
お付き合いいただけたら幸いです!
第100話「それぞれの明日」
17時。カレンの号令により、熱狂の渦に包まれていた「三英雄ファンミーティング」は強制終了となった。
怒号に近い惜しむ声が響く中、軍師の表情はこれまでになく晴れやかだった。
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カレンはブキャナンから受け取った「売上・収支報告書」に目を通し、満面の笑みを浮かべていた。
その微笑みは、目撃した山賊たち曰く「後光が差す天使のようだった」という。
一日の物販と握手会だけで、アレクサンド王国の数ヶ月分の予備費に匹敵する軍資金が叩き出されたのだ。
この資金があれば、占領地(同盟地)のインフラ整備も、兵士たちのボーナスも、そしてカレンの新作衣装代も、すべてお釣りがくる。
一方、ならず者たちはカレンの指示に従い、大広場に巨大な祝祭会場を作り上げていた。
* 店舗運営: 元・博打打ちや詐欺師(接客のプロ)。
* 料理: 山賊たちによるワイルドなジビエ・山菜料理。
* 警備・防犯: 元・凶悪犯たち(「同業者」の動きを熟知している)。
カレンは、社会の爪弾き者たちを「高効率なイベント運営会社」へと再生させたのである。
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皇居の休憩室では、幹部たちが夜の宴に向けて息を整えていた。
ラーズ「カレン、ならず者たちの件、本当に礼を言うぞ。彼らに居場所と役割を与えてくれるとは……」
カレン「頭領のドワルソンと話したら、思いのほかキレ者で使えそうだったから。ただそれだけよ。……あ、エレン。念のため、たまに大広場の様子を見てきてくれる?」
エレン「い、い、いえ……わ、私は勘弁してください……。行ったら間違いなく暴動が起きます(物理的な意味で刺されます)!」
全世代の女性ファンから「親の仇」のように睨まれている自覚があるエレンは、ガタガタと震えながら拒絶する。
セシリア「それなら私が行ってやってもいいぞ? 暴れる奴は片っ端から投げ飛ばしてやる」
カレン「あんたはダメよ。あんたが行ったら『逆に』暴動が起きるでしょ!」
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時計の針が19時に近づく。
皇居では高級なワインと静かな音楽が用意され、大広場では山賊たちが樽酒を割り、ジビエの焼ける香ばしい匂いが漂い始めていた。
リノの思念(……楽しみですね……。どんな『ハプニング』が起きるのか……てへっ♡)
マキ(……お前は、一体誰の不幸を願っておるのだ……)
マキは確信していた。
歴史的な和解。平和への第一歩。
そんな美しい言葉だけでは終わらないのが、アレクサンド騎士団という「不協和音の塊」であることを。
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狂騒の大広場とは対照的に、皇居の祝賀会場は厳かな、しかし確かな信頼に満ちた空気で満たされていた。
上座に並ぶのは、西のアレクサンド王国国王ラーズと、東のゼッターランド帝国皇帝シャルロット。
一ヶ月前まで死線を越えて殺り合っていたとは信じがたい、穏やかな対話が交わされる。
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誰も手が打てなかった「超短期決戦」の裏側
シャルロット「ラーズ王、明日はもう帰還されるのですね」
ラーズ「ええ。あまり長くロザーリア(王都)を空けるわけにはいきません。アスランとグラドがこの異常事態に気づき、動く前に戻らねば」
シャルロットは手元のグラスを見つめ、今回の戦争を振り返る。あまりにも早すぎた。
北のアスラン帝国も南のグラド王国も、普通なら漁夫の利を狙って介入してくるはずだった。
シャルロット「……諜報員はいたはずです。それでも彼らが沈黙を守ったのは、カレン軍師の采配があまりに電光石火だったから。そして、もう一つ……」
シャルロットはラーズを真っ直ぐに見据えた。
シャルロット「ラーズ王、貴方が北と南、同時に進軍の構えを見せていたから……ですね?」
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ラーズ「ハハハ、バレていましたか。カレンの手紙の指示通りに動いただけですよ。王都の十万の軍を四万五千ずつ南北に展開し、王都に残ったのは一万のみ……。カレンからは『もし強襲されても王様が追い払ってください』なんて無茶な追伸が来ましてね。酷いでしょう?」
シャルロットは戦慄した。
軍師カレンは、ゼッターランドとの最前線で指揮を執りながら、同時に本国の「国家存亡級のブラフ」すら完璧にコントロールしていた。
「北と南に展開した四万五千の軍には、それぞれラーズ王とマキが潜んでいる」――カレンとハナが流したその偽情報が、北と南の大国を釘付けにしたのだ。
シャルロット(……カレンという軍師の深淵、そして、マキやラーズ王、セシリア……それぞれが一個の「軍」に匹敵する武神であるという事実。それらすべてを賭けた、あまりに危うい、しかし高潔な綱渡り……)
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ラーズ「リスクは承知の上でした。ただ、そうしてでも私は貴方方と、ゼッターランドと、この形を作りたかったんです」
気取らず、心からの言葉を口にするラーズ。その笑顔には、征服者としての傲慢さは微塵もなかった。
シャルロットは胸に熱いものが込み上げるのを感じた。
シャルロット「……ありがとうございます……」
自分が剣を交え、敗れた相手がこの「王」で良かった。
初めて、シャルロットは心の底から敗北を受け入れ、そして新時代への希望を抱くことができた。
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だが、この王たちの高潔な対談の裏で、祝賀会場の隅々には「不穏な影」が忍び寄っていた。
ハイドン(……ラーズ王と皇帝陛下が良い雰囲気なのは素晴らしい。……が、あそこでワインをジョッキで飲み干し始めたセシリア様の目つきが、既に『獲物を探す獣』のそれになっているのが非常に気になるな……)
エレン(……王様たちが真面目な話をしている間に、私はこの隙に……ならず者たちが作ってくれたジビエを懐に……)
感動の歴史ドラマのすぐ隣で、アレクサンド騎士団の「不協和音」は、静かに、しかし確実に音量を上げつつあった。
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祝宴の華やかさの中、三英雄とアレクサンドの幹部たちは一つのテーブルを囲んでいた。
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ショパン「ラーズ王と同盟の話をしてからは、皇帝陛下も元気になられた。本当に良かった……」
メンデル「それまで、騎士団の皆が色々元気付けてくれていたのも大きいよね」
シューベルト「それに巻き込まれた俺様は、散々だったがな(不機嫌)」
セシリア「何を過去形で言っている。お前達はこれからずっと巻き込まれるのだぞ? お前は私の手下なんだからな」
シューベルト「はあ? 俺様はテメエらとは行動しねえと言ってるだろ! さっさとアレクサンドに帰りやがれ!」
そこへ、いつの間にか背後に立っていたシャルロット皇帝が、凛とした声でシューベルトに告げた。
シャルロット「シューベルト。あなたは今日で私の直轄を解任です」
シューベルト「あ? シャルロット、テメエ何言ってやがる?」
シャルロット「明日からあなたは、セシリアの直轄部隊に配属。これは決定事項です」
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驚愕するシューベルトを余所に、シャルロットはカレンへと向き直る。
シャルロット「カレン殿。アレクサンドはこれから南のグラド王国との戦いに入るつもりですね?」
カレン「……ええ、そうですよ」
シャルロット「ですので、我々ゼッターランドは北のアスラン帝国に対する防衛を一身に引き受け、アレクサンドの背中を守らせてほしいとラーズ王に頼みました」
カレン「お心遣い、ありがとうございます。こちらからお願いするつもりでしたのに……」
シャルロットの瞳には、かつての迷いはない。
シャルロット「そんな大事な時期に、英雄を自分の膝元に置いて身を守るなど、皇帝のすることではありません! シューベルト、あなたもアレクサンドの苦境を見捨てて、私の守りだけに徹するのが英雄のすることですか!?」
シューベルト「……だが、俺様は……」
シャルロット「……シューベルト。今まで本当にありがとう。わたしがここまで頑張ってこれたのはあなたのおかげ‥‥でもね、あなたはセシリアとの戦いであんなに生き生きとしていた。輝いていた、そして、もっともっと強くなる可能性に満ちていた……だからこれからは、自分の夢を叶えて。最強の剣士になってきなさい」
その飛びっきりの優しい微笑みに、毒気を抜かれたシューベルトは、ぶっきらぼうに顔を背けた。
シューベルト「……仕方ねえ。そこまで言われたら、なってやるよ。……最強にな」
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主従の絆を超え、一人の男として夢を追いかけることを許された感動的なシーン。
その光景を、同じく「飛びっきりの優しい微笑み」で見守っていたセシリアが、静かに口を開いた。
セシリア「シューベルトよ。これでようやく、ロリコンは卒業だな?」
……。
静寂。
感動の余韻が、音を立てて崩れ去る。
マキ「(頭を抱えて)……最後に、最後の最後に‥‥全てを台無しにしおったわ、あの女……」
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隣のテーブルでセシリアとシューベルトが「ロリコン卒業式(物理)」の火花を散らし、モーツァルトが「誰かボクの胃薬になってよ……」と嘆き悲しんでいる中、反対側のテーブルには、かつてないほどの穏やかな時間が流れていた。
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エレン「おいしい! どれもご馳走ですよ! それに凄く平和ですっ!! あ、残ったらタッパに入れて帰らなきゃ」
フルーレ「エレン、いつもタッパ持ち歩いてるっすけど、何でっすか?」
エレン「私、フィギュア代で給料天引きされてお金ないですから……食べ物はストックが基本です! 幸せです!」
満面の笑みで高級食材を口に運ぶエレン。だが、その光景を眺める面々の視線は、もはや「余命宣告」を見守る医師や家族のそれであった。
シルフィ(……必ず何かしら反動の不幸がありますわね。ウフフ)
リノ(幸せな姿を見れば見るほど、その後の不幸が輝くんですよね。てへっ♡)
ハナ(……不憫だけど、不幸じゃないエレンは、もはやエレンではないもんね)
フルーレ(胸の大きな女はみんな不幸になればいいっすよ、エレンは特にっすよ)
マキ(こいつら、自分の仲間を何だと思っておるのだ……)
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そこへ、上座からラーズ王が思い出したように声をかけた。
ラーズ「あ、そうだ。カレンにこの場で報告するように言われたんだった! エレン、君に褒美があるんだよ!君は正式に『師団長』に任命されたよ。特攻師団のトップだ。少し前までセシリアがやっていたポジションだよ」
エレン「ええっ!? 私が師団長!? 無理ですよ! というか特攻師団って何ですか!?」
ラーズ「大丈夫、大丈夫。まあ、戦の時は常に一番先頭で、敵陣のど真ん中に突撃するだけの簡単なお仕事だよ?(ニコッ)」
エレン「なんだ、それなら私にもできるかな……って、できるわけないじゃないですか!! 殺す気ですかーーーっ!?」
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カレン「あら、別に今までやってた仕事そのものじゃない。それのスキルアップバージョンよ。給料も上がるからフィギュアも買えるわよ?」
セシリア「まあ特攻隊長みたいなものだ。思いっきり暴れられるぞ?どうした、エレン? 泣くほど嬉しいのか?」
エレン「ぐすん……。私、事務員の応募で、事務員として入隊したはずなのに、どうして敵陣のど真ん中に投げ込まれる役職になるんですかぁ……うわぁあん!!」
幸せの絶頂から、わずか数分で「公式生贄」へと叩き落されたエレンの慟哭が、祝賀会場に響き渡る。
シューベルト「……ふん、泣くほどのことか。まさにこいつの天職じゃねえか」
ショパン「‥‥まさに今までやってた事(やらされてた事?)じゃないか」
メンデル「……まあ、世の中には色んなキャリアアップの形があるんだよ(遠い目)」
マキ「流石はへっぽこエレンだな。やはり、期待を裏切らん、凄まじい不幸のキレ味だ……」
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エレンの涙をツマミに、宴はさらに盛り上がりを見せる。
事務員から龍神へ、そして今や「軍公式・特攻師団長」へ。エレンの履歴書は、本人の意志とは無関係に、破滅的な輝きを増していくのであった。
マキ(これで明日以降のグラド王国との戦いでも、我々は迷わずエレンを先頭に投げ込め……ゴホッ、突撃させられるな)
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この場をお借りして
いつも読んでくださってる皆様にあらためてお礼を‥
本当にありがとうございます!!!
涙が出てきました‥‥




