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追放された無能修復師、実は世界そのものを直せるチートでした  作者: 山奥たける


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第18話 壊している側

 空間が、さらに歪んだ。


 逃げ場がない。

 上下も、距離も、意味を持たない。


「……来い」


 踏み込む。


 向こうも同時に動く。


 ぶつかる。


 今までとは違う。


 完全に“対等”だ。


「――っ!」


 衝撃が走る。


 拳が交差する。


 だが、すぐに分かる。


「……重いな」


 単純な力じゃない。


 “構造”で押してくる。


 空間ごと、押し潰す。


「……いい」


 笑う。


 面白い。


 ここまで来ると、やりがいしかない。


「……まだやるか」


 “それ”が言う。


「やめる理由がない」


「……」


 一瞬だけ、沈黙。


 次の瞬間。


 空間が、切り替わる。


 足元が消える。


 上に引っ張られる。


「――っ!」


 だが、落ちない。


 位置が変わるだけだ。


「……やっぱりな」


 これも“繋ぎ”だ。


 なら。


 直せる。


 空間の端に触れる。


 ズレを探す。


 だが。


「……ないな」


 さっきと同じ。


 個にはズレがない。


 なら――


「全体か」


 視点を変える。


 空間全体。


 その中で。


 “何か”が、ずれている。


「……そこだ」


 見つけた。


 ほんのわずか。


 だが、確実に。


 全体を歪めている“芯”。


「触るな」


 “それ”が言う。


 今度は、明確な焦り。


「そこは――」


「分かってる」


 即答する。


「壊れてる場所だ」


「違う!」


 初めての、強い否定。


「それは“維持点”だ!」


「同じだ」


 踏み込む。


 距離が消える。


 手が届く。


「維持して壊れてるなら」


 そのまま、触れる。


「直すだけだ」


 押す。


 全体のズレ。


 それを――


 合わせる。


 ぐ、と。


 手応えが変わる。


「――やめろ!!」


 叫びが響く。


 だが、止まらない。


 カチ。


 今までで一番、はっきりとした感覚。


 次の瞬間。


 すべてが、変わった。


「――!」


 空間が崩れる。


 白が消える。


 水が流れる。


 空気が戻る。


「……」


 気づけば。


 元の地下。


 水の中に戻っていた。


「……戻った?」


 ミアの声。


 少しだけ震えている。


「……ああ」


 周囲を見る。


 水は、流れている。


 完全に。


 止まっていない。


「……成功だな」


 小さく呟く。


 だが。


 すぐに、違和感に気づく。


「……軽いな」


 空気が。


 さっきまでとは違う。


 圧がない。


「……消えた?」


 ミアが呟く。


「いや」


 首を振る。


「消えてない」


 ただ。


「……離れたな」


 “それ”の気配が、遠い。


 完全に。


「……逃げた?」


「違うな」


 目を細める。


 さっきの感覚。


 あれは。


「……引いた」


 意図的に。


「……どういうこと?」


「分からない」


 正直に答える。


 だが。


 一つだけ、確実なことがある。


「……変わった」


 村が。


 構造が。


 全部が。


「……カイ」


 ミアが、少しだけ近づく。


「これ、もう大丈夫なの?」


「一部はな」


「一部?」


「全部じゃない」


 水面を見る。


 流れている。


 だが。


 奥に、まだ“影”がある。


「……まだある」


「……」


 ミアが黙る。


 だが、逃げない。


 いい。


 それでいい。


「……戻るか」


「え?」


「上だ」


「……あ、うん」


 少しだけ安心した声。


 だが、完全じゃない。


 全員、分かっている。


 終わっていない。


 上へ向かう。


 水を抜ける。


 地上へ。


「……っ」


 ミアが大きく息を吸う。


「……明るい」


「そうだな」


 村を見る。


 さっきとは違う。


 空気が、動いている。


 水も流れている。


「……戻ってる」


 リオナが小さく言う。


「……全部?」


「いや」


 首を振る。


「まだ途中だ」


 そのとき。


 空気が、揺れた。


 さっきまでとは違う。


 もっと遠く。


 だが、はっきりと。


「……来るな」


 小さく呟く。


「え?」


 ミアが振り向く。


 空を見る。


 何もない。


 だが――


「……上だ」


「上?」


「もっと上」


 空の、さらに先。


 見えない場所。


「……増えるな」


 思わず笑う。


 やっと終わったと思ったら。


 今度は、上からだ。


「……いい」


 むしろ。


 ちょうどいい。


「全部、直す」


 それだけだ。


 やることは、変わらない。


 だが。


 規模が、変わる。


 この村だけじゃない。


 もっと広い。


 もっと上。


 その先で。


 何かが、こちらを見ていた。

第1章、ひとつの区切りです。


ただ、物語としてはここから広がっていきます。


もしここまで読んで「面白い」と思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです。


次章、舞台が広がります。

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