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追放された無能修復師、実は世界そのものを直せるチートでした  作者: 山奥たける


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第17話 境界の向こう側

 空間が、完全に歪んだ。


 上下も、前後も、意味を失う。

 視界が引き裂かれ、繋ぎ直される。


「――っ」


 体が持っていかれる。


 だが。


「……慣れたな」


 小さく呟く。


 これも“ズレ”だ。


 なら、やることは同じ。


 掴む。

 合わせる。


 カチ。


 歪みが、わずかに収まる。


「……」


 視界が戻る。


 だが、場所が違う。


 水の中じゃない。


 地下でもない。


「……ここは」


 何もない。


 ただ、白い。


 空間だけがある。


「……カイ!」


 ミアの声。


 振り向く。


 すぐ後ろにいる。


 リオナも、男もいる。


「……全員来たか」


「ここ、どこ?」


「分からない」


 正直に答える。


 だが。


「……境界だな」


「境界?」


「切り替わる場所だ」


 さっきの“それ”の内側。


 あるいは、さらに奥。


 どちらにしても。


「……核心に近い」


 そのとき。


 空間が、揺れた。


 白が、歪む。


 そこから――


 “それ”が現れる。


 さっきまでとは違う。


 はっきりとした“形”。


 人に近い。


 だが、どこか曖昧。


「……来たか」


 小さく呟く。


 今度は、逃げない。


「……お前」


 “それ”が言う。


 声は、はっきりしている。


 今までで一番、明確だ。


「なぜ、ここまで来た」


「簡単だ」


 一歩前に出る。


「直すためだ」


「……」


 沈黙。


 だが、敵意は消えない。


 むしろ、濃くなる。


「ここは“調整層”だ」


「調整?」


「下と上を繋ぐ」


 なるほど。


 少しずつ見えてきた。


「……じゃあ、ここがズレてると」


「全部が歪む」


「そうか」


 なら、簡単だ。


「ここを直す」


「やめろ」


 即座に返ってくる。


「ここは、触るな」


「無理だな」


「なぜだ」


「壊れてるからだ」


 それだけだ。


 理由は変わらない。


「……理解できない」


「だろうな」


 軽く返す。


 だが、会話は終わりだ。


「……来るぞ」


 小さく呟く。


 “それ”が動く。


 今までとは違う。


 速さも、精度も、別次元。


「……いいな」


 笑う。


 これなら。


「直しがいがある」


 踏み込む。


 ぶつかる。


 拳が来る。


 だが、軌道は読める。


 ずらす。


 かわす。


 触れる。


「……ここか」


 ズレを探す。


 だが。


「……ない?」


 驚く。


 ズレがない。


 完全に“合っている”。


「どうした」


 “それ”が言う。


「見つからないか」


「……珍しいな」


 初めてだ。


 直す場所がない。


「ここは“完成している”」


「……」


「お前のやることは、ここにはない」


 なるほど。


 そういうことか。


「……違うな」


 一歩、下がる。


 視線を変える。


 全体を見る。


 個じゃない。


 構造だ。


「……ああ」


 見つけた。


「お前じゃないな」


「何?」


「ズレてるのは、“繋ぎ”だ」


 空間の端。


 上と下を繋ぐ部分。


 そこに――


 わずかな歪み。


「……そこか」


 “それ”が反応する。


 初めての焦り。


「触るな」


「無理だな」


 即答する。


 踏み込む。


 “それ”が止めに来る。


 だが、遅い。


 手が届く。


「終わりだ」


 そこを、合わせる。


 カチ。


 確かな感覚。


 次の瞬間。


 空間が、震えた。


「――!」


 白が、崩れる。


 繋ぎが、変わる。


 流れが、整う。


「……成功だな」


 小さく呟く。


 だが。


 “それ”は、消えない。


 むしろ。


 さらに、はっきりと形を持つ。


「……お前」


 声が、低くなる。


「やはり、危険だ」


「そうか」


「ここまで触れるなら」


 空気が、変わる。


 完全に。


「排除する」


「来い」


 一歩前に出る。


 ここからは。


 “調整”じゃない。


 完全な、対立。


「……いいな」


 思わず笑う。


 やっと。


 本気でぶつかれる。


 空間が、再び歪む。


 今度は――


 逃げ場がない。

ついに“核心の一歩手前”まで来ました。


ただ、ここからはもう“調整”では済みません。


完全に対立です。


もし少しでも「続きが気になる」と思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです。


次話、本気でぶつかります。

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