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追放された無能修復師、実は世界そのものを直せるチートでした  作者: 山奥たける


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第15話 本体に触れる

 水が、完全に止まっていた。


 流れも、揺れも、音もない。


 ただそこに、“在る”だけ。


「……来るな」


 小さく呟く。


 だが、足は止めない。


 一歩、前に出る。


 ミアの手が、わずかに伸びるのが見えた。


「……カイ」


「下がってろ」


 振り返らずに言う。


 今は、集中する。


 目の前の“それ”。


 形がない。


 だが、確実に“核”がある。


「……そこだな」


 感覚で分かる。


 ズレがある。


 深い。


 だが、確実に存在する。


「触るな」


 声が響く。


 頭の中に直接。


「お前には扱えない」


「よく言われる」


 軽く返す。


 だが、今回は少しだけ違う。


 圧が強い。


 今までのどれよりも。


「……いいな」


 思わず笑う。


 ここまで来ると、さすがに面白い。


「最後だろ」


「違う」


 即答だった。


「ここは“入口”だ」


「そうか」


 なら、なおさらだ。


 一歩踏み込む。


 手を伸ばす。


 その瞬間。


 空間が、歪んだ。


「――っ!」


 視界が崩れる。


 上下が分からなくなる。


 だが。


「……無駄だ」


 ズレを掴む。


 空間の歪み。


 それを、少しだけ戻す。


 カチ。


 視界が戻る。


「……!」


 向こうが、初めて明確に反応した。


「お前……」


「これも同じだ」


 軽く言う。


「ズレてるだけ」


「……違う」


「同じだ」


 即答する。


 迷いはない。


「壊れてるなら、直す」


 それだけだ。


 手を、さらに伸ばす。


 あと少し。


 そのとき。


「やめろ!」


 ミアの声。


 珍しく、強い。


 だが、止まらない。


 止める理由がない。


 指先が、“それ”に触れる。


 冷たい。


 だが、同時に。


 “重い”。


「……っ」


 思わず、少しだけ力が入る。


 今までとは違う。


 ズレが、深すぎる。


「……いいな」


 口元が上がる。


 これが本体だ。


 ここを直せば――


「終わる」


 押す。


 ズレの中心。


 そこを。


 だが。


 動かない。


「……重いな」


「当然だ」


 声が返る。


「それは、“下を繋ぐ核”だ」


「知るか」


 もう一度、押す。


 ぐ、と。


 少しだけ、動く。


「――っ!」


 水全体が揺れる。


 空間が歪む。


 だが、止まらない。


「……いい」


 さらに力を込める。


 ズレが、少しずつ動く。


「やめろ!!」


 今度は、はっきりとした叫び。


 初めての感情。


 焦り。


「遅いな」


 そのまま、押し切る。


 カチ。


 確かな感覚。


 次の瞬間。


 すべてが、動いた。


「――!」


 水が流れる。


 空気が動く。


 止まっていたものが、一斉に“進む”。


「……成功だな」


 小さく呟く。


 だが。


 その直後。


 “下”から。


 何かが、上がってきた。


「……」


 今までとは違う。


 圧が違う。


 存在が違う。


「……出るぞ」


 低く呟く。


 ミアたちが、一斉に後ろへ下がる。


 水が、割れる。


 その奥から。


 “それ”が現れる。


「……」


 言葉が出ない。


 形がない。


 だが、明確に“巨大”。


 今までのすべてとは、別次元。


「……これが」


 ミアが震える声で言う。


「下?」


「そうだろうな」


 視線を外さない。


 逃げる理由がない。


「……いいな」


 思わず笑う。


 やっと来た。


 本体の、その先。


「……お前」


 声が響く。


 今までとは違う。


 はっきりとした“意思”。


「何をした」


「直しただけだ」


「……愚かだ」


「そうか」


 軽く返す。


 だが、目は逸らさない。


「なら」


 “それ”が、ゆっくりと動く。


「消す」


「来い」


 一歩前に出る。


 ここから先は。


 ただの修理じゃない。


 だが。


 やることは変わらない。


 壊れているなら、直す。


 それだけだ。


 空気が、完全に変わる。


 ここからが――


 本番だ。

ついに“下”が出てきました。


ここからは、これまでとは一段違う領域に入ります。


もし少しでも面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです。


次話、本体との正面衝突です。

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