表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された無能修復師、実は世界そのものを直せるチートでした  作者: 山奥たける


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/20

第13話 潜る理由

 水面の奥から、“それ”はまだこちらを見ていた。


 揺れているのに、目だけはぶれない。


「……潜る」


 もう一度、口に出す。


「いや無理でしょ!!」


 ミアが即座に叫んだ。


 さっきより声が大きい。

 いい反応だ。


「呼吸できないし! 暗いし! 絶対なんかいるし!」


「全部合ってるな」


「合ってるならやめて!?」


「やめる理由がない」


 軽く返す。


 ミアは頭を抱えた。


「……なんでそんな平気なの」


「壊れてるからだ」


「それ万能すぎない!?」


 少し笑う。


 だが、実際それだけだ。


 壊れているなら、直す。

 それが下にあるなら、行く。


「……カイ」


 リオナが静かに言う。


「本気なの?」


「本気だ」


「……死ぬかもしれないよ」


「そのときは、そのときだ」


「軽いな」


「重く考えても変わらない」


 リオナは少しだけ目を細めた。


 だが、止めない。


 それでいい。


「……ミア」


「な、なに」


「上に残れ」


「え?」


「ここから先は、水だ」


「……」


 ミアが固まる。


 迷っている。


 怖いのは当然だ。


「無理に来る必要はない」


「……」


「ここで待ってろ」


 そう言うと。


 ミアは、少しだけ俯いて――


「……行く」


 小さく言った。


「は?」


 思わず聞き返す。


「行く」


 今度ははっきり。


「どうせ、ここまで来たし」


「いや、危ないぞ」


「知ってる!」


 少しだけ強い声。


「でも……」


 言葉を探す。


「……カイが行くなら、行く」


 その一言で、十分だった。


 理由としては雑だが。


 気持ちは分かる。


「……そうか」


 それ以上は言わない。


 決めたなら、それでいい。


 リオナを見る。


「お前は」


「言わせる?」


 即答だった。


「止める気ないし」


「だろうな」


 後ろの男も、無言で頷いた。


 全員来るらしい。


「……面倒だな」


 小さく呟く。


 だが。


 嫌じゃない。


「いいか」


 全員を見る。


「水の中は、流れが違う」


「……うん」


 ミアが頷く。


「見えてるものを信用するな」


「え?」


「ズレてる」


「……またそれ」


「またそれだ」


 少しだけ笑う。


 緊張が、ほんの少し抜ける。


「離れるな」


「うん」


「触るな」


「……できるだけ」


「それでいい」


 深くは説明しない。


 今は、動くほうが先だ。


 水面を見る。


 静かだ。


 だが、奥に“流れ”がある。


「……行くぞ」


 そのまま、足を踏み入れる。


 冷たい。


 だが、問題ない。


 そのまま沈む。


 視界が、揺れる。


 光が歪む。


「……」


 水の中。


 だが、完全な水じゃない。


 “層”がある。


 何層にも、重なっている。


「……やっぱりな」


 思わず呟く。


 ただの水じゃない。


 構造がある。


 後ろから、ミアたちも入ってくる。


「……っ」


 ミアが息を呑む音。


 だが、すぐに落ち着く。


 いい。


 適応が早い。


 下へ進む。


 だが、距離感がおかしい。


 深いはずなのに、すぐ近い。


 近いはずなのに、遠い。


「……ズレてるな」


 手を伸ばす。


 空間の歪み。


 それを、少しだけ合わせる。


 カチ。


 次の瞬間。


 視界が、変わる。


「……っ!?」


 ミアの声。


 景色が、一気に近づく。


 さっきまで遠かったものが、目の前にある。


「……これ」


「位置を戻した」


「それでそんな変わる!?」


「変わるな」


 軽く答える。


 さらに下へ。


 やがて。


 底が見えた。


「……あれ」


 リオナが呟く。


 そこには。


 “何か”があった。


 巨大な、塊。


 水の中にあるのに、動かない。


 完全に、止まっている。


「……これが」


「本体だな」


 直感で分かる。


 ここが中心だ。


 ここが止まっているから、全部が止まっている。


「……でかい」


 ミアが小さく言う。


 確かに大きい。


 だが。


「単純だ」


 構造を見る。


 ズレを探す。


 ある。


 深い。


 だが、はっきりしている。


「……ここだ」


 手を伸ばす。


 その瞬間。


 “それ”が動いた。


「――っ!」


 反射的に避ける。


 塊の一部が、形を変える。


 今までとは違う。


 もっと滑らか。


 もっと速い。


「……来るな」


 小さく呟く。


 だが。


 問題ない。


「……そこか」


 動きを読む。


 ズレを探す。


 ある。


 確実に。


「終わりだ」


 そのまま、触れる。


 ズレの中心。


 そこを――


 押す。


 ぐ、と。


 重い。


 今までで一番だ。


「……いいな」


 少し力を込める。


 ズレが、動く。


 カチ。


 音はしない。


 だが、感覚はある。


 次の瞬間。


 水全体が、揺れた。


「――!」


 流れが、変わる。


 止まっていたものが、動く。


 空気が、変わる。


 全体が――


 “進む”。


「……成功だな」


 小さく呟く。


 だが。


 次の瞬間。


 塊の奥で。


 さらに、何かが動いた。


「……」


 それは。


 今まで見てきたどれとも違う。


 形がない。


 だが、明確に“いる”。


「……いいな」


 思わず笑う。


 まだ、終わりじゃない。


 むしろ――


 ここからが本番だ。

ここまで来ると、もう“ただの村再生”じゃなくなってきました。


でも、やっていることは変わりません。

壊れているものを、直すだけです。


もし少しでも続きが気になると思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです。


次話、核心に触れます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ