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久留島の探訪日誌  作者: 赤とんぼ
東京探訪
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12/14

東京探訪_アキバ編8

 「東京っていつでも賑わってるもんかと思ったけどそうでもないんだなぁ〜」


 昼間と見間違えるほどの輝きに包まれ、誘蛾灯に導かれるかのように歩道をいっぱいにするほどに集まっていた人々はそこにはいなかった。


 東京にもどうやら眠る街が存在するようだ。


 スマホのアラームに起こされ、眠気覚ましに外階段の踊り場に出て落下防止柵越しに動物園にでもきたかのような感覚で朝の東京の理想と現実に言葉を漏らす。


 夜中まで飲みふけって道端に人が転がっているのが日常風景にでもなってるもんかとも思ったがここ秋葉原は東京でもお行儀がいいのかもしれない。


 昨晩はエアコンの効いた部屋でカラッと涼しく快適な夜を過ごしたのだが、熱帯夜だったのだろうか今はじっとりとしてベタつく夏の暑さが身体中にまとわりついてくる。


 これが東京なのだろうか、早くも都会の洗礼を受けているかのようだ。


 昨今ヒートアイランド現象なるものがニュースで流行っている。


 詳細はよくわからないが、このシステムにはどうも太陽光からくる熱をアスファルトに蓄熱し、夜間に本領発揮してくる機能が備わっているらしい。


 非常に迷惑なシステムだ。


 朝から動く気が起きないが、今日も目的地が決まっている。


 早急に動かなければ予定の行動が取れなくなってしまう。







 ブースの料金の元を取ろうと躍起になって読んだ漫画とドリンクの紙コップを片付け、部屋に忘れ物がないかを確認したのち会計を済ませてネカフェを去る。



 さて朝ごはんだ。



 正直東京のお店は全部24時間営業してるものとばかり思っていたのでここまで閑散としているとは思わなかった。


 昨日の夜はあんなに賑わっていたのに目星をつけたどこの店も10時開店と書いている。




 「しまったなぁ、完全に想定外だ」




 人混みに慣れていない私は事前に目星をつけた店に入ることもできず、朝にでも行けばいいだろうと考えていた。


 カールスジュニアがもっともな例である。


 最もあれは空腹に耐えかねた私にも原因があるのだけど。



 周りを見渡していると、ふと疑問が出てくる。



 「朝早くから出勤する人はご飯をどうしているんだろう」



 東京に住めるような人々だ、きっと毎日外食しているに違いないという勝手な妄想に振り回されているわけだが、実際に自炊しない人間が多いと聞く。


 毎日コンビニ弁当は健康に悪いぞ、たまには自分で作らないと。


 なんてコロナ禍の「ポテサラくらい作れ」論争にも似た老害発言をしつつ、私自身も晩御飯にスーパーの半額弁当をまとめ買いして冷凍したものを食べていたりするのだけれど。


 話は戻して、そうなると東京の人々はコンビニ弁当だけに傾倒しているわけもなく、どこかでご飯にありついているわけだけど。


 ここ秋葉原は駅前にオフィスビルを構えている程で、朝早いとはいえ白いシャツに身を包んだ会社員がどこかにいるはずだ。


 朝早くから出社する人間が朝から料理なんてするはずもなく、どこかでご飯を食べているはずだ。


 それもそう遠くないところでだ。


 さっきも階段の踊り場で愉悦に浸りながら何人かスーツや作業服を着た人を見ている。


 彼らはどこで食事をとっているのだろうか?




 大通りからパチ屋の大行列を横目に人気のない路地を曲がる。


 するとそこに答えはあった。


 こ、ここか。


 そこには赤の上に黄色の一本線の入った看板が特徴の大手牛丼チェーン、一瞬サークルKが頭をよぎったがあいつはもういない。


 ここにくる予定はなかったため何も下調べを行なっていない。


 故に何が有名だとかうまいだとかの情報は何も仕入れられていないのだが、田舎住みの私の耳にも入ってくる店名。


 公式アプリがないかと探そうともしたが、牛丼にハズレとかないだろうと、そんなことより飯だと私の可愛いぽんぽんが言うので無策で突っ込むことにした。


 カウンター10席に2人掛けのテーブル席が5席、店内にはこれから仕事なのだろうか作業服やスーツを身に纏った男性が4人ほどバラバラに座っていた。


 田舎者の私にはここからどうするかわからなかったものの、それぞれの席にはタブレットが置いてあった。


 これは自由に座っていいタイプだと過去の私の経験則が行ってきたものの違った時が怖くてオロオロしていると外国人の店員さんから


「お好きな席へどうぞ〜」


 と言ってくれた。

 やはり私の経験則は間違っていなかったと安堵し、人がそれほど密集していないテーブル席へ向かう。


 旅行の着替えやら何やらがすべて入ったビジネスバッグを椅子の上に置き、テーブルを挟んで向かいにあるソファー席に座る。


 これで荷物の心配はない。


 テーブル脇のタブレットを手に取りメニューを見る。


 メインの牛丼からセットの味噌汁、カレーに丼もの、定食に鰻重まであった。


 結構幅広く提供してるんだなぁ。


 しかし、牛丼屋にきたのだ、せっかくなら牛丼が食べたいではないか。


 ネット上で流行った3色チーズ牛丼が少し気になるが、この明太高菜も気になる。


 どちらもメニュー表のビジュアルがすごい。


 ビジュアルで言えばネギ玉牛丼もすごい、一面が緑になっている。


 ただ、今から牛丼を食べようとはしているのだけれど、朝から生ネギはきつい。


 あいつは最後まで口の中に残り続ける。


 家の近くにもなく、こういう旅行の時にしか来ないと言うのもあってなかなかに熟考することになりタブレットを開いて10分も経過してようやく明太高菜と味噌汁のセットで決まった。


 大きさは大盛り、キング牛丼を頼もうとも思ったがわざわざ店員さんを呼んでまで注文するのが恥ずかしかったのと、せっかくお安く食べられるのだからと若干豪華で収まる程よい大きさと値段のものを選んだ。


 さて、食べ終わったら次の目的地だ。

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