東京探訪_アキバ編7
カタカタと少し不安になる音を出しながら動き続けるエスカレータ。
今いる最上階はジャンクや真空管がエスカレーターの降り口の前にまで侵食している。
いつ誰かがつまずいて大事故になるのか不安になりながらも下る方向へ動くエスカレータに乗る。
寂れた看板に埃を被った電子部品たちを横目にビルを下っていき、窓際に置かれたこの中では比較的新しい様に見えるクレーンゲームへ向かう。
上って行った時にはあまり詳しく見てはいなかったのだけれど、興奮も少しおさまり周りを落ち着いて見ることができるようになった。
ぱっと見ゴミ入れになっているかのように見えたクレーンゲームの中身は、、、まぁあながち間違いではなかったようで、細かい部品たちが小袋に一つずつ収められシーラーで密封されていた。
おそらく売れ残り品の寄せ集めなのだろう。
内容物に一貫性がなく、すごく小さなネジから素性の知れない半導体部品までが山積みになり、アームがぶつかっただけで穴に落ちそうなほどだった。
つい先ほど勢いに任せて1000円を超える真空管部品を買ってしまった後だから興奮が抑えられていたのだが、このようにランダム性を出されてしまっては、、、。
利用価値はおそらくほぼないからここにあるのだろうけど、確実に何か当たると考えると少し興味が出る。
1プレイ100円、まぁまぁ良心的ではないだろうか?スイッチ系が取れれば元は簡単に取れる気がする。
結果的に足が90度に曲がり横向きに取り付けることができるトグルスイッチとL字ピンヘッダを手に入れた。
なんともいえないラインナップだな、、、そんなに使わない。
これでも一応元は取れているみたい。
複雑な気分だけど、なんとなくだけれど、試されているみたいで若干燃えてくるものがある。
これをどのように使うかで技量を試されている気も、、、いやないわ。
どこで使うんだよ、パーツボックス占有して終わっちゃうじゃん。
しかし、捨てるには若干勿体無い気持ちが勝ってしまう。
・・・まいっか、いずれ使うでしょ。
初めて見るものにあれこれ目移りして観察していると空はすっかり暗くなった。
街の明かりは昼間と打って変わって眩くまるで星々が地上に降りたかのように煌々と輝いていた。
街ゆく人々は海外の観光客から仕事帰りだろうか疲れながらも明日への活力を求め各々趣味を求めて歩き回る人々に変わっていた。
有給を使って朝から観光している日本人はおそらく私だけなのではないだろうか?
そのくらい人の流れは早く、また多くの人間が行き交っている。
今日は次でラストにしようか、まだ明日がある。
久々にこんなに歩き回った。
初めは秋葉原の中心地をもとめてありもしない土地勘に身を任せ上野まで行ってしまったことから始まった。
そのおかげで冷房の効いた屋内で日差しの強い昼間の時間を潰せたのは不幸中の幸いだった。
まぁ昼ごはんが取れなかったのは悲しかったけど、あのまま外を歩き回っていたらきっと熱中症で倒れていただろう。
飯より命、命があればこうやって旅を続けていられる。
何より晩御飯の調達は、朝の新幹線に乗るタイミングでもう済んでいる。
・・・この酷暑を歩き回った後の駅弁を食う方がよっぽど危険な気もするけど。
一旦今日泊まる場所へ向かおう。
予約はしていない、というよりも予約するようなところではないからね。
都会に観光しにいくときにネックになるものがある。
そう宿代、サービスやら清潔感やらを追い求めれば追い求めるほど高くなる底知らずの沼みたいな存在。
都会だとビジネスホテルが田舎の高級旅館の値段に匹敵するほどの暴利を貪っているあれだ。
まぁ需要と供給を考えれば高くなっていくのもわかるような気もするが、田舎者の私としては、、、うん高い!!
そこで一度考えた、宿はなぜ高いのかと、、、私のこの 天 才 的 な頭脳を用いて思考を巡らせたところある結論に至った。
そう! 宿だからこんなに高いのだ!!!
そこからの行動は早かった。
過去に見た旅動画を漁り、彼らがいつも実家と呼んでいた場所の特定に乗り出した。
平均1万かかる宿代を3300円まで抑え込めるそんな魔法みたいな方法があるらしい、、、いや、ないんだが。
宿じゃないから、安いんだが。
私は今から漫画を読みにいく。
そう、漫画を読みにいくのだ。
飲み物が揃い、運が良ければソフトクリームを食べながら一人静かな部屋で一晩中漫画を読み耽るのだ。
その途中で今日の旅の疲れが出てしまって寝落ちすることもままあるだろう。
みんなもないだろうか、疲れ切った状態でカラオケに入りメガハイボール2杯を気の向くままに煽って気づいたら5時間経ってたこととか。
ね?仕方のないことだ。
そう仕方のないことなんだ。




