表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/11

東京探訪_アキバ編6

 狭い入り口の脇には千石電商、リニアLEDが売っていた。

 リニアLEDはLED素子を一列に並べて線状に光る電子部品だ。

 よくあるものは家の間接照明やインテリア照明に使われている。


 ここに売っているものは手の小指ほどの長さで最近の車のウィンカーのように流れるように光っていた。

 流れるウィンカーは正直見づらいからやめて欲しいんだけど、ここまで小さく、制御できるリニアLEDは初めて見た。


 やはり店頭で部品を見ると技術の進展が肌でわかるからいいな。


 アキバで有名な電子機器販売店の一つである千石電商は某バンドアニメに倣って結束バンドをメンバーカラー全種そろえて売っていたり、麻雀牌を1個単位で売っていたりと電子部品どころか何でも売っているジャンク屋みたいな風体で何でも売っているのが特徴だが、ラジオデパートではまともに電子部品を売っているようだ。


 本店ではないがゆえに治安がまだいいが私は治安の良さを求めているわけではない。


 、、、逆じゃないか?


 しかしまぁ、私はもっとマニアックで誰も買わないだろう変な部品を売っている店を求めている。


 ぱっと見まともな店を通り過ぎ、これまた激狭なエスカレーターに乗って一つずつ店を見て回る。

 18650バッテリーや他では見ないようなモバイルバッテリーの中に入っているような円柱状のリポバッテリーがバラで売っていたり、もう一般に出回っていないようなリレースイッチや抵抗素子、マニアックな半導体素子がショーケースに入っていたりと私の求めていた秋葉原がここに確かにあった。


 一時期長ネギツインテール歌姫とコラボして有名になったお玉杓子を模った楽器を作った非常に前衛的な会社も出店していた。


 地下にはジャンクショップまであるようで、型落ち品から何でここにあるのかわからないものまであり、やはり東京秋葉原、サブカルと電気の街を名乗るにふさわしいほどに私の求めた混沌がそこにはあった。


 この中で私、久留島が一番目を引いたのが最上階にあった電子部品屋にあった高電圧部品。

 7セグメントLEDが出る前まで文字を表示すると言ったらこれしかなかった真空管の一種。



 ニキシー管。



 某アニメで登場した某ダイバー何たらジェンスメーターを見てからずっと気になっていた電子部品の一つである。

 今はもうすでに製造されておらず、中古品を漁るか、どこかに眠っている在庫品を手に入れるかしかないものが今目の前に広がっているではないか。


 ひとつ当たりの値段は安くて3000円か、、、うん。

 高いな、オーディオ用の真空管とか工業用の真空管とかは1000円くらいだったから行っても2000円くらいなものだと思っていたのだけれど、まさかここまでとは。

 隣にあるVFD管の方が小さいけど1個500円で売っている。

 見た目は全く違うが仕組みとしては似通っているし、何よりこれはこれでサイバーパンク感が溢れている。

 しかし、ロマンに欠ける。

 ニキシー管はその味のある見た目と優しい光、そこからは想像できないほどの高電圧での駆動が心をくすぐるのだ。

 ニキシー管の駆動電圧は170〜200VのところVFD管の駆動電圧は30V程度、これでは全くもって波が立たない。

 代理品にならないのだよ、私の求めるものとしては!!


 しかし今後の予算もある。

 ここでロマンを捨ててVFD管を四つ買うか、奮発してニキシー管を一つ買うか、、、悩みどころだ。


 四つ買っておけば時計とかにはなるけど果たして妥協して作ったものを見てすっきりとした日常を送れるだろうか?

 その時計を見るたびに「あの時妥協して買った部品だ」とならないだろうか?

 生活に彩りどころか大事な場面に一歩を踏み出せない自分を度々想像して鬱にならないだろうか

 私はそんな鬱屈とした生活はしたくないぞ。


 しかし、ニキシー管を買うとなると明日の朝ごはんがなくなるぞ。

 今晩のご飯は割り箸を折った牛タン弁当だぞ?耐えられるか私の胃袋は。

 否、それは否だ。

 耐えられるわけがない。

 駅弁の量で明日の昼まで耐えられる私を想像することができない。

 必ずどこかで間食を入れるぞ。

 間食とは言えない量をな!!!


 、、、いや、ちょっと待て

 ここで買わずに我慢したところで、今後ここでニキシー管を買えるとは限らない。

 駅を出てそれはすぐに感じたじゃないか。

 時代とともに古いものは淘汰され新しいものに変わっていくその姿を。

 昔繁盛していただろう電気街はシャッターで閉ざされて閑散としていたではないか。

 ここも同じなのではないだろうか?

 切れかかっている電光看板に時代を感じるエスカレーター、所狭しと並んだいつからあるかもわからない電子部品たち。

 商品はあるのに店主の姿が見えず電気もついていない店もあった。

 この店もエスカレーターの目の前まで商品が野積みされている。

 正直安全性に疑問を感じる治安の悪さに若干の興奮を覚えたのだけど、少し考えればわかること。

 在庫がそれだけあるということだ。

 売れない商店は稼げない、稼げない商店は続かない。

 ここは秋葉原、サブカルチャーの最先端をいく街だ。

 人やものの流れは私の暮らす田舎の比ではないだろう。

 いつもの感覚で物事を考えてはいけない。

 自らの直感を信じなければならない。

 欲しいと思った時に手に入るのは今しかないのだから、、、。


 一旦落ち着こう。

 もうすでにニキシー管一つが手中にあり、お財布が幾分か軽くなってしまった後だけども。

 これ以上の暴挙に出る前にここを離れようではないか。

 そういえば3階あたりにクレーンゲームがあった気がする。

 詳しくは見れていないけどやけにぎっちり景品が積まれていて少し気になったんだ。

このお店もうなくなってたんですよね、、、悲しい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ