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第二話

早苗が駅に着いたとき、淳はすでに近くのベンチに座っていた。

「待ったかい?」

淳を見つけた早苗は駆け足で近寄り隣に座る。

「いえ・・・」

口数は少ないけれども目には何かを決したような表情を受かべた淳。すでに緊張はマックスに達している。がちがちの体を何とか早苗に向けようと目を向けた時、

「ほいよっ」

「うわっ」

早苗がおでこにホットの缶コーヒーを当てた。淳がいつも飲むやつだ。

「まぁこれでも飲んであったまろうよ。う〜寒っ」

そう言って早苗は自分の分のコーヒーを開けて飲み始めた。



「やっぱ寒い時はこれだよね〜」

そう言って笑顔を淳に向けた。

「早苗さんには勝てないっすね。」

その言葉で淳もどっと緊張が剥がれ落ちたようだ。笑顔が自然とこぼれる。いつもの・・・早苗と会って作られた笑顔だ。


淳が心に決めていた決意が、早苗と会ってようやく完成した瞬間だった。緊張・迷い・・・そう言ったものが早苗の笑顔一つで全て拭い去ることが出来た。これなら・・・



「早苗さん・・・」

淳が早苗の目を見る。


「ん〜?」

早苗はコーヒー缶を見ながら耳を傾ける。


沈黙が流れる。


「好きです」



淳は・・・日本語の言葉の中で一番シンプルで一番深い愛の言葉を早苗に伝えた。口から自然とこぼれ落ちた言葉だった。



まるで今の言葉で世界が止まってしまったようだ。いや、止まったのは彼ら二人だけなのかもしれない。遠い所で車が走っている音が聞こえる。遠いところでシャッターが閉まる音が聞こえる。しかし彼らには届いていない。



早苗は・・・泣いていた。淳の顔を一度も見ずに・・・。

今まで泣いた顔なんか想像できない位笑顔が張り付いたような人が・・・泣いていた。


「早苗さん・・・」

淳にはそれ以外言葉が出てこなかった。








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