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勇者召喚に巻き込まれた俺は第二の人生と思って楽しむ事にする  作者: 望


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5/10

勿論ギブアンドテイクです

 

 ワースレス国からの脱出をする為、ワースレスの南にあるリヴァブルという国を目指している俺は、人の行き交う街道を歩いており、

 俺「そろそろ昼か・・・」

元の世界と同じく空に浮かぶ太陽の位置が頂点に来ているのを見てお昼時なのを確認すると、

 俺「確か1日歩いた位の所に簡易的な休息所が設置されてるって話だったからそこまでは行きたいんだよな・・・、口の中の水分を持っていかれるが手軽に栄養補給の出来るこいつを食べながら歩くか・・・」

マイホームの自室に何時でも食べれるようにと置いてあった一箱に2袋、袋の中に2本入っているブロック状の少しパサつくフルーツ味を旅に合わせて購入した肩がけのバッグから取り出すと、特徴的な黄色の箱を開け1袋取り出し破き2個あるうちの1個を食べると口の中の水分が若干持っていかれるのを感じながらも、口の中に広がる程良い甘さと細かく砕かれたドライフルーツの味を感じ、

 俺「美味いけどコーヒーか紅茶が欲しくなるから・・・、こういう時の為にマイホームから持って来たこいつの出番だ」

マイホームから持って来た保温効果の高い魔法瓶をバッグから取り出し、中に入れておいたティーパックの紅茶を飲み、

 俺「ふ~・・・、多少腹も膨れたし午後も頑張って歩きますか」

ゴミをバッグに入れておいた袋に仕舞い魔法瓶も仕舞うと街道の先にあると思われる休息所を目指して歩き続けるのだった。


 足に疲労が溜まっているのを感じながら街道を歩き続け、日が暮れ暗くなり始めた時にやっと街道の傍に立つ屋根だけあり壁の無い建物が見え、

 俺「あれが休息所か・・・」

ここ数日水宮さんと森に狩りに行っていたので慣れてきたとはいえさすがに一日中歩くのは初めてだったのでかなり疲労を感じながら休息所に辿り着くと、先に着いていた冒険者や商人、一家で国を離れるのか家族と思われる子連れの親子等が休息所の周りでそれぞれ野営をしており、先に着いていた人達からの視線を感じながら俺は空いている場所を探すと腰を下ろし、

 俺「はぁ~・・・結構疲れたな・・・」

腰を下ろすと歩き通しだった脚に蓄積された疲労が抜けていくのを感じ、それなりに安全とは言え野盗や魔物のいる世界、思ったより体に疲労が来ているのを感じながらこちらの世界で買った水を入れられる水筒の様な役割の水袋を取り出し喉を潤すと、

 俺「夜ご飯はこいつで済ませるか・・・」

傍に置いたバッグの中をゴソゴソと探りこれもこちらの世界で買った布袋を取り出すと、その中に入れた酒は基本飲めないけどおつまみは大好きなので買ってあったビーフジャーキーを一枚取り出し口に運ぶと、

 俺「塩分が体に滲みるわ~・・・」

天狗の顔の付いたパッケージのビーフジャーキーの濃い味が疲れた体にちょうど良く、噛む度に拡がるジャーキーの味に、

 俺「ジンジャーエールが欲しくなるな・・・」

濃い味をサッパリさせ喉を刺激する炭酸が欲しくなり、次マイホームに入った時に炭酸飲料も箱買いしないとと考えながらジャーキーの夕飯を食べていると、

 女の声「ねぇ・・・、それ私にもくれないかしら?」

 男の声「おいっ!それ俺にもくれないか?」

何時の間にか俺の前に二人の人物が立っており声を掛けられたのであった。


 俺「はい?それって言うと・・・、これですか?」

俺は食べていたジャーキーを二人に見せると、

 女「そうっ、それよっ」

 男「そうだっ!それだっ!お前がここに到着した時から妙に美味そうな匂いがして来たと思ってたら、お前がそれをバッグから取り出した途端俺の自慢の嗅覚の鼻にズドンよっ!この国の味気ない食事に飽きて移動する俺には我慢出来ねぇ匂いだっ!金なら出すから譲ってくれよっ!」

 女「私も同じ様な理由よ、この狼獣人の彼より鼻が利く訳じゃないけどそんな私でも感じ取れる程のこの匂い、この国に来てから味気ない食事ばかりだったから是非とも頂きたいわ」

既に二枚目を食べているので袋の中には5,6枚位しか残っていないのだが、女の人が言った通り男の方は2m近い身長のファンタジー世界と言えばの獣人の様で、こちらは男の後ろの離れた所に同じパーティーの人と思われる人が3人いる様でそのパーティーメンバーからの視線も感じ、女の人はこちらもファンタジー定番の美男美女で有名な耳の尖ったエルフと思われるサラサラの金髪が月明りを反射させている美女で、こちらはどうやら商人の護衛をしているがお一人の様で、エルフさんの後ろに目を向けると商人さんがこちらを見ているのが分かり、俺は目の前に立つ二人に、

 俺「売るのは構わないんですけど、後・・・6枚しか無いんですけどどうします?」

袋の中に残っているジャーキーを全て取り出してみると6枚有りそれを拡げながら見せると、

 狼獣人「間近で嗅ぐと更に暴力的な臭いだな・・・」

 エルフ「結構長く生きてるけど初めて嗅ぐ匂いね・・・」

狼獣人は今にも涎を垂らしそうになり唾をゴクリと飲み込み、エルフさんはジャーキーに綺麗な顔を近付け鼻をスンスンと鳴らし匂いを嗅ぎ、

 狼獣人「それでいくらだ?」エルフ「いくらかしら?」

同時に聞かれた俺は、元値は確か銀貨2枚分も無いんだけどこっちじゃ醤油なんてあるか分からないし、このジャーキーの味ってほぼ食べれないだろうから値段をどうしようかと考え、

 俺「私じゃこれの値段が付けれないので、袋の中に残った切れ端があったのでそれを食べてお二人でいくら出すか決めて貰えます?」

そう言って袋の中に残っていた切れ端を二人に差し出すと二人はそれぞれ切れ端を手に取り口に運び、口に入れた瞬間二人は目を大きく開き、

 狼獣人「なんて美味い肉に口の中に拡がるこの芳醇な香りッ!?欠片だけでも分かる程のこの味わった事の無い美味さッ!?」

 エルフ「このお肉は何のお肉かしら・・・?家畜の豚は違うし魔物だとブル系の魔物の肉に近いかしら・・・?それにこの味・・・やはり食べた事の無い調味料な気がするわね・・・」

一口食べ天を仰ぐ狼獣人と口の中の味を解析するかのように味わうエルフさん達に、

 俺「食べた上でいくら出しますか?」

俺が再度聞くと、二人は一度互いに目を合わせた後、

 狼獣人「1枚金貨1枚でどうだッ!?」エルフ「私は金貨1枚と銀貨2枚出すわ」

 狼獣人「クッ」

狼獣人よりもエルフさんの方が高値を提示したのでそれ以上は出すのが苦しそうな狼獣人が悔しそうな表情を浮かべているのを見ながら、

 俺「それではえっと・・・」

 エルフ「フレイよ、見ての通りエルフ族で冒険者をしているわ」

 俺「それではフレイさん何枚買われます?」

エルフさん改めフレイさんは惚れちゃいそうな綺麗な笑みを浮かべると、

 フレイ「勿論全部よ」

フレイさんは狼獣人が絶望の表情を浮かべるのを気にせず俺に6枚分の代金である金貨7枚と銀貨2枚を渡して来たので、俺はジャーキーを袋に戻し袋ごと渡すのだった。

  

 ジャーキーの入った袋を上機嫌に持ちながら護衛相手と思われる商人の元へと戻って行ったフレイさんを見送ると、

 狼獣人「兄ちゃんよぉ・・・、俺は分かってんだぜ?」

ズシリと重みのある狼の爪の生えた手が肩に乗せられ、狼獣人は俺のバッグを見ながら俺に言うと、

 狼獣人「さっきの肉に比べたら弱い匂いだがそれでもバッグから漏れだす美味そうな肉の匂いがよぉ・・・」

俺は力を込められたら肩が無くなりそうだなと思いながら、成程さっきのは演技だったのかと、

 俺「成程・・・、気付いていたから悔しそうにしながらもあっさりと全部買わせたんですね」

 狼獣人「ああ・・・、実際あの肉は美味かったからちゃんと食いたかったがな・・・、あのエルフの方が金を持ってるのはなんとなく分かってたからな、鼻の利かないエルフは気付かないだろうバッグの中のブツを確実に手に入れる方向にシフトしたのさ、勿論売ってくれるよなぁ?」

更に重みを増す肩に置かれた圧に、

 俺「売りますから力入れるのは勘弁して下さい肩が壊れます」

売ると言うと肩に置かれた手がどけられ、犬歯を見せながらニヤリと笑い、

 狼獣人「そうこなくちゃな兄ちゃんッ」

迫力のある笑みに愛想笑いを浮かべながら、

 俺「売るのはいいんですけど頼み事を聞いて貰っても?」

 狼獣人「お?なんだ?」

 俺「もし同じ方向に行くならお金の代わりに次の街まで護衛して貰う事ってお願いできますか?」

 狼獣人「兄ちゃんは何処へ向かうつもりなんだ?」

 俺「とりあえず最終的な目的地は南にあるリヴァブルなんで、リヴァブル方向に向かう次の街ですね」

 狼獣人「そうなるとチョウト街か・・・、いいぜ俺達は護衛依頼を受けて移動している訳じゃないし味気の無い食事に嫌気が差して別の国に向かう予定だからな」

 俺「それじゃこれが護衛代の物です」

俺はジャーキーと同じく好きなおつまみであるよく買うカルパスの不揃い品を入れた明らかにジャーキーよりも量の多い袋を渡すと、

 狼獣人「さっきのよりも明らかに量が多いじゃねぇか・・・、こりゃこっちの方がお得だったな」

袋から漏れだす匂いを嗅ぎジャーキーよりは弱いが美味そうな匂いにニヤリと笑いながら言うのに、

 俺「元の値段は同じぐらいですけどね」

 狼獣人「さっきのアレはそれだけ高級品って事か・・・、まぁいいさこっちも肉みたいだからなぁ、兄ちゃんも一緒に来いよ、護衛すんなら一緒に居た方がいいだろ?」

そう言うと狼獣人は俺を引っ張り自分のパーティーへと連れて行くのだった。


 狼獣人のパーティーの元へと連れていかれると、

 狼獣人「おうっ、お前等次の街まで護衛する事になった・・・、兄ちゃんの名前聞いてなかったな?」

俺は他3名の視線を集めながら、

 俺「士門です、一応Fランク冒険者です、リヴァブルを目指して旅をしています」

 狼獣人「オレは狼獣人のアクセルだッ、パーティーのリーダーでアタッカーだッ」

狼獣人のアクセルが名乗り、次にドワーフっぽい感じの小っちゃい髭モジャおっさんが、

 ドワーフ?「儂はアイアン、見ての通りドワーフ族じゃパーティーの前衛をやっておる」

やはりドワーフだったようでアイアンと名乗り、次にエルフっぽい美男子が、

 エルフ?「俺はハーフエルフのウインドだ、役割は弓を使っての遊撃だ」

エルフでは無くハーフエルフだったようだが正直見分けがつかなそうだと思っていると、最後の明らかに魔法を使いそうな、

 魔法使い?「私は人族のフリドーだ、魔法で攻撃する後衛だ」

 アクセル「オレたちゃワースレスが勇者を召喚して魔族と戦争おっ始めるって噂を聞きつけて名前を売る為にこの国に来たんだがなぁ・・・、おっ!コイツはうめぇなぁ・・・、さっきのに比べたら味のインパクトは落ちるし何時迄も噛んでられるような硬さはねぇが、さっきのに比べると柔らかい分脂を感じるぜッ、お前等もよく味わって食えッ、久しぶりの美味い飯だ」

 アイアン「どれッ、儂も一つ・・・、ぬおぉッ!?なんと濃い味じゃッ!コイツはエールが欲しくなるのぉ・・・」

 ウインド「どれ俺も一つ・・・ッ!これは美味いなッ」

 フリドー「そんなに美味いのか・・・?ッ!これはッ・・・こんな物実家でも食べた事無いぞッ!なんと味の凝縮された肉なんだ・・・、只々塩辛い燻製肉とは比べ物にならないぞ・・・」

焚き火を中心に車座になりカルパスの入った袋を隣の人へとリレーをしていると話どころでは無く、俺を除き皆自分に回って来た袋からカルパスを1本取り出し口に咥えると次へ回しを繰り返す度に袋の中身が減って行き遂に全て無くなり空になると、

 アクセル「チッ、もう無くなっちまった・・・」

悲しそうに空になった袋を逆さに振り無くなった事をアピールするのだった。


 アクセル「しゃーねぇがラッシュボアの燻製肉を食べるとするか・・・、さっきのを食った後じゃ塩辛さしか感じないぜ・・・」

 アイアン「酒があればコイツも悪くは無いのだがの」

一回旅に出る前に携行食として売っていたので買おうかと思ったが、試食した段階で余りの塩辛さに買うのを止めたラッシュボアのジャーキーをガジガジと噛みながら食べる二人とは別に、焚き火の中で焼いていたジャガイモを取り出し、岩塩が取れる山が近くにある為安く手に入る岩塩を振ったジャガイモを食べるウインドとフリドーに、

 ウインド「君も食べなよ、君の保存食は俺達が頂いてしまったから食べる物が無いだろ?」

本当はマイホームに旅の途中で行くつもりだったので、確かに食べる物が今は黄色の箱の物しか無いと思い有難くジャガイモを頂く事にし、

 俺「有難うございます、頂きます」

皮ごと焚き火に放り込んだだけのジャガイモとは言え、適当に放り込んだ訳では無さそうで、皮は焦げているが中身にもちゃんと火が通っている、少し日本のジャガイモに比べるとホクホク感のないジャガイモを食べ、マヨネーズかバターが欲しいと思うのだった。


 食事を終えたアクセル達は他の冒険者達と何かの話し合いに行き戻って来た所で話を聞くと、

 アクセル「こういう休息所で人数が多い時は持ち回りで夜の警戒をすんのさ、ここはもう街の外だから魔物も出るし野盗もいるからな、まぁ街が近いここだとそうそう出るもんじゃないけどな、シモンは今回護衛対象だから参加しなくていいぜ」

Fランクな上に探知系の能力を持っていないし夜目も利かない俺が一人で夜番など出来ないので助かったと思いながら、

 俺「助かるよ、私は気配探知も出来ないし夜目も利かないからやれと言われても多分出来ないからさ」

 アクセル「やらせるとしてもFランクの冒険者に一人でやらせはしないぜ、やりたいならうちの誰かと一緒にやらせてやれるぜ?」

今日は一日歩き詰めだったのでゆっくり休んだ方がいいと思い、

 俺「今日はやめとくよ、街に着くまでの数日何処かでお願いするかもしれないけど」

 アクセル「オーケー、やりたい時は言ってくれ」

食事を終えた休息所の周りにいる人達はそれぞれ寝る準備に入っており、アクセル達のパーティーも焚き火の周りに陣取りそれぞれ休む体勢になっているので、俺もそれを真似てバッグを枕に地面に横になり、初めての異世界での野宿を経験するのだった。


 初めてソロキャンプをやった時に寝袋は買ったがエアマットやコットと言う物を知らず硬い地面の上で寝た事を思い出す一夜を明かし目を醒ますと、

 アクセル「起きたかシモン?身支度を整えたら出発するぞ」

夜やる事が無い分早寝し早く起きる異世界の朝は早く、空が明るみ出した頃には皆出発支度が終わっており寝起きは良い方の俺も起きると体に付いた土を手で落としバッグを肩に掛けると、

 アクセル「それじゃ出発だ、ちょっと歩いたら川があるからそこで水の補給をするぞ」

周りを見回すと他の休息所を利用していた人達も出発するか準備をしており、家族で移動している親子はなるべく冒険者達にくっ付いて移動するつもりなのか何時でも出発できる様に待機しているのを見ながら

アクセル達にくっ付いて俺も歩き始め、しばらく歩きアクセルの言っていた川で水の補給や洗顔を済ませる出発すると、

 フレイ「おはようシモン」

アクセル達の最後尾を歩く俺に昨日の夜ジャーキーを買い取って行ったエルフ美女のフレイが話しかけて来て、

 フレイ「あの燻製肉に比べたら下でしょうけどまだ美味しそうな物を隠していたとはね、もしかしてまだコレみたいなのがあるのかしら?」

昨日全て食べきらず残しているフレイさんが指で挟みながらジャーキーを振り聞いて来たので、フレイさんの後ろを歩く商人さんがこちらの話に聞き耳を立てている気がしながら、

 俺「もう無いですよ」

 フレイ「それじゃ何処で手に入れたかを聞いてもいいかしら?」

その質問にどう答えようか少し迷うが、勇者召喚の事はワースレスは大々的に発表しており異世界から勇者が召喚された事はこの国や近辺の人はアクセル達の様に知っているので、

 俺「あまり他の人に知られたくないので失礼しますよ?」

 フレイ「ええどうぞ?」

俺はフレイさんの尖った耳に口を近付け、

 俺「実は私は勇者召喚に巻き込まれてこちらの世界に来てしまった異世界の人間でして」

フレイさんはなんとなく予想していたのか驚く事無く、

 フレイ「成程、そういう事ならもう手に入らないという事ね、トビーさんコレを商品にするのは無理そうよ?異世界産の物を運良く手に入れられたみたいよ?」

フレイさんの言葉にトビーと呼ばれた商人が肩を落とすのが見え少し離れたのを確認し、

 俺「驚いて無かったですけど分かってたんですか?」

 フレイ「いえ、故郷の書物で昔の勇者召喚や時たま現れる異世界の人の事を知っていたから驚かなかっただけよ、それにこの国が勇者召喚をしたのも知っていたしね、それじゃ次の街までは多分一緒だろうからまた機会があればお話ししましょうね?」

フレイさんはこれ以上俺から美味い物が出ないと分かると少し離れた所を歩くトビーさんの元へと戻り、俺はアクセル達の後ろを黙々と付いて行く事になるのだった。


 早めに歩き始めた事も有り余裕があるのか太陽が真上に来た所で休憩を挟み、昨日の夜焼いた余りのジャガイモとラッシュボアの燻製肉の昼食を食べ出発すると陽が落ち始める前に次の休息所に辿り着き野営の準備をし、またジャガイモとラッシュボアの燻製肉で夕食を済ませ就寝するというのを繰り返す事6日、途中初めて見る人型の魔物のゴブリンが現れる事があったが冒険者達は難なく撃破するという事もあったが無事にチョウト街に到着する事が出来ると、

 アクセル「ここがチョウト街だ、これでシモンの護衛依頼は完了になるぜ」

チョウト街の中に入った所でアクセルに言われ、

 俺「有難うアクセル、アイアン、ウインド、フリドー」

 アクセル「久しぶりに美味い物が食えたし、向かう方向は一緒だから俺達に取っちゃ何の不利益も無かったからな、俺達の方が感謝してるぐらいだぜ」

 俺「フレイさんにジャーキーを売ったお金で次の街へは乗合馬車で行けそうだから、ここまで無事に辿り着けるだけで感謝なんだよ」

 アクセル「シモンはリヴァブルに向かうんだったよな?俺達は魔王領から離れる方向に行っちまうと稼ぎが悪くなるからな、ここから東か西にある国に向かう予定だ、また縁が有ったら何処かで会うかもしんねーからそん時はよろしくなっ」

そう言ってアクセル達は多分冒険者ギルドか宿を取りに行き、俺は一人になると、

 俺「とりあえず宿屋を探すかな・・・」

俺も陽が落ち始めたチョウト街を歩き始め宿を探す事にするのだった。


 ワースレスの首都であるワースレスの城下町よりも若干活気のある気がする街を歩き、街の中心近くまで来た所で冒険者ギルドを見つけ、もしやと思いギルドの向かいを見ると酒場と宿屋の看板が出ており、どこの街も大体造りが同じなのかなと思いながら酒場兼宿屋に入り受付を見ると、見覚えのあるおばちゃんが受付業務をしており何でここにおばちゃんがいるんだと俺が驚いていると、

 おばちゃん「何を驚いてるんだいあんた?そんなに驚くほどアタシがキレイかい?」

 俺「いや・・・、ワースレスから来たんですけどワースレスで泊った宿の女将さんとそっくりなもので・・・」

 おばちゃん「なんだあんた首都から来たのかい、その首都の宿にいたのはアタシの双子の姉だね、ウチの家系は代々冒険者ギルドの運営する食事処兼酒場兼宿屋を運営しているのさ」

 俺「そうなんですね・・・、それに双子ならそっくりなのも納得です」

 おばちゃん「それで宿泊かい?」

 俺「はい、とりあえず一泊お願いします」

 おばちゃん「そうしたら銀貨5枚、冒険者ギルドカードの提示が有れば銀貨4枚だよ」

バッグから冒険者カードを取り出し見せると、

 おばちゃん「ふむ、ギルド員だから銀貨4枚だね」

バッグから今度はお金を入れた袋を取り出し銀貨4枚を手渡すと、

 おばちゃん「確かに銀貨4枚だね、そうしたら部屋は3階の一番手前の部屋だ、体を拭くタオルは必要かい?銅貨3枚で貸し出すよ、お湯が必要なら追加で銅貨2枚だ、水で拭くなら宿の裏庭の井戸水を使いな」

マイホームに行けばお風呂に入れるので全て必要ない俺は、

 俺「タオルは自前の物があるので大丈夫です」

 おばちゃん「そうかい?食事はあっちの酒場スペースが空いていれば何時でも注文できるからね?」

 俺「分かりました、有難うございます」

俺は部屋の鍵を受け取ると自分の部屋へと向かうのだった。


 宿の部屋の中に入り鍵を閉めると、

 俺「はぁ~・・・、疲れた~・・・」

バッグを椅子の上に置き硬いベッドに倒れ込むと、6日間の旅の疲れが体から抜けていくのが分かり、

 俺「運良く護衛付きで旅が出来たけど・・・、ご飯が正直辛かったな・・・」

ジャガイモと燻製肉だけの食事にうんざりする6日間の旅だったがこの国ではこれが当たり前の様で、別の国に行けば違ったちゃんとした保存食が有るらしいのだが、

 俺「乗合馬車を使えば大体街から街が3日みたいだから・・・、リヴァブルに入るまで後二つの街を経由・・・、そうすると国境に着くまで後9日、そこからリヴァブルの最初の街に着くまで3日かかるから最低でも12日はご飯がこんな感じになるのか・・・」

ジャガイモと燻製肉だけの食事を思い出しげんなりとしながら、

 俺「とりあえず今日は前回頼んだもので美味い物を食おうっ、風呂にも入れるしっ」

俺は起き上がるとバッグを肩に掛けマイホームを使って自宅のある空間へと移動するのであった。


 6日ぶりとなるマイホームの空間は特に変わった様子は無いのだが、玄関の前に大量の段ボールが積まれており、

 俺「凄い量だな・・・、それに冷蔵品か冷凍品買ってなかったっけ・・・?」

大量に買った品の中に冷凍の餃子とか味付きの肉とかを買ったのを思い出し、5日は外に放置していた可能性に、

 俺「次の日マイホームに来るつもりだったけど予定外の護衛ゲットで完全にマイホームに入れるタイミング失くしたんだよな・・・、勿体ない事したなぁ・・・」

とりあえず大量の荷物を玄関の中に入れると、

 俺「これは調味料・・・、これは飲み物だし・・・、お米に、これがつまみや菓子類、レトルト食品にインスタント系、おっ・・・、これが冷凍食品だな・・・、おぉ?凍ったまま・・・?どういう事だ?」

冷凍品のテープが貼ってある段ボールを開けてみると、予想に反して中身の食品が凍ったままであり、向こうと同じく時間が流れているはずなのに凍ったままの商品に疑問を抱きながらも、段ボールの中身を冷凍庫に入れる事にした俺は台所に行き冷凍庫に全て仕舞い終えると、

 俺「まぁ細かい事は気にしないでいいかっ、駄目になったと思った物が大丈夫だったからラッキーという事でいいな」

考えても分からない事はとりあえず置いておいて冷凍品を仕舞った俺は自動湯張りのボタンを押してから届いた荷物を整理する事にするのだった。


 あらかた荷物を整理し終えた俺はとりあえず湯張りの終わった風呂に入るのと、6日間着たきりだった臭う服を洗濯し、

 俺「ふ~・・・、やっぱり温泉の素を入れた風呂はいいな・・・、旅の疲れが大分取れた気がするぞ」

風呂上がりの俺は冷蔵庫からまだそんな冷えていないジンジャーエールの缶を取り出し、プシッと音を出しながらプルタブを引き開けると氷を入れたグラスに注ぎ、

 俺「くぅ~・・・、風呂上がりの火照った体に染み渡るなぁ・・・」

ゴクッゴクッとグラスに注いだジンジャーエールを飲み干すと缶に残った分をグラスに注ぎ、

 俺「夕飯はさっきの冷凍味付き肉のうち冷凍庫に入れずに冷蔵庫に入れておいたこいつだな・・・」

結構いい値段のした味付き国産牛ハラミ肉の袋を冷蔵庫から取り出し、ご飯はさすがに炊いている時間が無かったのでチンして食べれるバックご飯を電子レンジに入れ温めると、フライパンを取り出しIHの上に置き温め薄くサラダ脂を引き、フライパンが温まった事を教えてくれる最近のコンロに感謝しながら袋を破り牛ハラミ肉をフライパンに投入すると、ジュゥゥ~と言う音と共にタレに漬けられたハラミが焼けるいい匂いが漂い、その暴力的な匂いにお腹が鳴り始め、

 俺「タレが焼ける匂いってなんでこんなに腹を刺激するんだ・・・、あのしんどい6日間の食事の後にこの匂いはヤバすぎるぞ・・・」

俺はお腹を鳴らしながら牛ハラミをフライパンで焼き、電子レンジがチンッと音を出しパックご飯が温まったのを確認すると、フライパンの上で焼ける牛ハラミを裏返し、

 俺「今度こっちに来る時は野菜を買ってこないとな・・・、今回は一日1本で必要野菜が摂取できる奴を飲むけど・・・」

異世界に召喚されてから全然バランスの取れた食事が取れていない事に気付き頼んでおいた野菜ジュースと一緒に食べる事にし、

 俺「そろそろいいかな?」

俺はフライパンから焼けた牛ハラミを皿に移すと、水宮さんと食事した時は和室で食べたが今日は一人なので、折り畳み式のテーブルを取り出し展開し設置し、同じく折り畳み式の椅子を置くと、電子レンジからパックご飯を取り出しテーブルの上に乗せ、焼いた牛ハラミの皿も置き、野菜ジュースとインスタントのわかめスープを用意すると、

 俺「昨日の野営飯とは比較にならない程の豪華な食事だな・・・」

目の前に揃うほぼ完ぺきな食事に自然と手を合わせ、

 俺「頂きますっ」

俺はまずはハラミに行きたい所だが、

 俺「まずは野菜ジュースからだな・・・、歳のせいかハラミでも油が多いとしんどいからな・・・」

少し冷えた野菜ジュースを開け一口飲み、胃の中に野菜ジュースが拡がっていくのを感じ半分程飲んだところで、

 俺「これで次こそ肉だな・・・、うん・・・、うん・・・、柔らくて美味いなぁ~・・・、次はこうしてっと、やっぱり焼肉と米は最強の組み合わせだなっ、本当ならサンチュも欲しいが・・・、異世界に似たような野菜があればいいんだけど・・・」

俺はまずは肉をそのまま味わい、漬けられた事でしっかりと味の付いた牛ハラミは柔らかく簡単に歯で噛み切れ、口の中に拡がる牛の旨味とタレの味を楽しんだら今度はパックご飯の上に一度バウンドさせ、肉を口の中に放り込んだ後にご飯も入れると口の中に最強の味が完成し、肉とご飯、時折わかめスープを飲みながらの食事に、サッパリ食べる為にもサンチュやレタスと言った葉物野菜が欲しいと思いながらあっという間に完食し、最後に野菜ジュースを飲み切ると、

 俺「美味かった~・・・、次に食べれるのは街を出たら最短で3日後か・・・、目立たない向こうに持っていける食べ物って何か無いかな・・・」

俺は久しぶりの満足のいく食事を食べ終え幸福を感じながら、また始まる憂鬱な旅の食事を回避する方法を考えるのだった。

 


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