356話 魔を祓うは召喚されし勇者たち2
「お疲れ様です、皆さん」
「レアもお疲れ様!見てたよ、その装備すごいね!」
「それはこちらのセリフですよ。確認の時にも見ましたが、やはりその武器はすごいですね?」
私は私に続くようにして戦闘が終わった皆さんへと声をかけると、ルミナリアが代表として私の言葉にそ
う返してきました。
確かに、私の武器であるこの手袋の能力は今回が初披露なので驚きはあるのかもしれませんが、それでも驚くのはこちらもですよ!
ルミナリアが扱う武器は銃剣と呼ばれる銃と剣が合わさった武器らしく、それを自在に扱って剣による近接戦闘をしたり銃撃による遠距離攻撃など、実に多彩な戦い方だったのです!
それに、驚くのはルミナリアだけではありません!マキさんは自身の背丈ほどもある大斧を自由自在に扱って敵を粉砕しており、ラーニョさんは普段と変わらないような糸を武器とした戦闘スタイルでした。
とはいえ、その二人が扱う武器も単なる武器ではないため、それだけではありません。マキさんは時折さらに巨大化させた大斧を振るっていたので、敵が多い場合は頼りになること間違いなしです。
対してラーニョさんが扱う糸については、様々な属性を乗せることが出来るらしく、炎や雷、氷といった多数の属性を纏わせながら攻撃をしていました。
そしてルーンさんに関しては、どこぞの名探偵が狙っている怪盗のようなトランプ銃を使っており、前に見たように様々なカードを活用して戦っていたのですよね。
とまあそういった具合で皆が皆特殊な武器の力を存分に活かした戦闘スタイルであり、味方にしてみればなかなかに心強いこと間違いなしと言えるでしょう!
…しかし、この手袋の能力は本当に便利ですね?短剣を主に使うことになるかと思ってましたが、これほどまでに便利だとこちらがメインとなりそうです。
「とりあえず、この調子で進んで行くとしようか!」
「ですね。今のところは順調ですし、これを維持しつつ、です!」
戦闘も無事に終わったことを確認したルミナリアはそう言って森の中を進んでいくので、私たちもそれに追従する形で同様に歩き出します。
「…ここ、かな?」
「多分、そうなはずですね」
「ふむ、まるで要塞だな」
「ん、面倒くさそう」
「…これ、私たちだけでいけるの…?」
そうしてそこからも数時間をかけて森の中を歩き続け、時折遭遇する多数のモンスターたちを倒しながら進んでいた私たちは、森の中をしばらく進んだ後に見つけたものを気配を殺しながら視界に捉えます。
…私たちが見つけたものとは、今まさに言葉にしている通りまるで木で出来た要塞らしきものであり、明らかにこれがこの森にあるとされる魔王配下の拠点なのだと容易に想像がつきますね。
…けど、これはどうしたものでしょうか。流石に正面突破をしてはこちらがやられる可能性が極めて高いため、どうにか策を練ってここの攻略を目指すべきですが……なら、ここは私が暗殺者として敵の数や配置、備えられている防衛装置の確認といきますか…?
「…まずは私が潜入して、その後に作戦を練ってから攻めますか?」
「うーん、それが一番……かな?」
「レアちゃん、大丈夫なの?」
私の提案に対して気遣わしげな様子でそう声をかけてきたマキさんでしたが、それに続くようにしてルーンさんとラーニョさんの二人からも心配そうな視線が向けられます。
が、今の状況ではそれがベストなはずなので、ここは私に任せてほしいのですよ!それに、私はここでやられるつもりは毛頭ないのですからね!単に敵の調査を行うだけなので、そこまで心配しなくても大丈夫……なはずです…!
「…そういうわけで、行ってきます!確実に情報を持って帰ってきますよ!」
「お願い、レア!悪いけど頼むよ!」
「レアちゃん、気をつけてね!」
「お願いね、レアさん?」
「ん、気をつけて」
こっそり木々に隠れながら敵の拠点を見ていた皆さんに向けてそのように声をかけた後、私は早速とばかりに【暗殺者の極意】スキルに内包されている隠蔽能力を発動させ、そのまま気配を殺しながら周囲にある柵を跳び越えて敵の拠点へと侵入します。
「…ふむ、要塞と言ってもそこまで防衛設備があるわけではないのですね」
拠点へと無事に侵入した私は、拠点の内部よりも高めな位置になっているそこから内部を見渡してそう呟きます。
やはり森の中だからなのか、あるいは単に用意をしていないだけか。はたまたそれを考える知能もないのかわかりませんが、これなら攻める時に気をつけるべきは頭上からの攻撃とモンスターの数と言えるでしょう。
…というか、ルミナリアたちとこの拠点を攻める時は私だけが唯一持っている二つ目のスキルの【死者の呼び声】を使うのも悪くないかもしれませんね?
このスキルは未だに本格的な使用はしてませんが、どういった内容のスキルかはわかるので試さないのは勿体無いと思えるので!
「なんにせよ、次は敵の配置と数を調べていきますか」
私はそう声に出して次の動きを決め、そこからさらなる情報を得るために拠点内部へと駆け出します。
「お待たせしました!」
「あ、レア!待ってたよー!」
それからも敵の拠点内を回ってある程度の情報を得た私は、敵に見つかる前にとルミナリアたちの元まで戻ってきました。
いやぁ、結構疲れましたが、その分の成果はありましたねぇ?普段のスキルがなくてもバレることなく敵についての情報を得ることも出来ましたし、やはり私は暗殺者としての才能があるのかもしれません…!
とまあそれはともかくとして、ひとまずは私の確保してきた情報を皆に共有するのが先決ですね…!
「…なるほど、敵はゴブリンやオーク、コボルトにオーガかぁ」
「つまり、人型のモンスターがメインということだね。しかも、数もそれなり、と」
「ん、それに手懐けられているモンスターもいるみたい?」
「加えて防衛設備もないなら、攻めるのは比較的やりやすいかも?」
そういったわけで情報共有を済ませると、それを聞いた皆さんはそれぞれが思い思いに敵についての言葉を口にします。
私が得た情報は皆さんが口にしていることからもわかる通り、モンスターの種類と数、配置に防衛設備の有無です。
種類や数はともかく、配置に関しては調べたところだと基本的に拠点内でバラけているみたいなので、私たちが固まって攻めればおそらくは敵も一箇所に集まってくるとは予想が出来ます。
なので、攻めるのならばある程度はバラけた方が良いはずです。普通に攻めるとしたら、防衛設備がないとしても少々手こずる可能性もありますからね。
「なら、私とルーン、マキの三人と、レアとラーニョの二人で別れて攻めよっか?」
「そうですね、それが一番でしょうか?」
「私も反対意見はないよ。それに賛成だね」
「ん、同じく」
「私も同意見かな。その振り分けなら問題はないでしょ!」
「よし、ならこれで決まりだね!」
そのような感じで私たちのこれからするそれぞれの動き方は決まり、ルミナリアの一声で私たちは隠れていた地点で立ち上がります。
さて、この後の私の動きはラーニョさんとの共同みたいですし、一人で突っ走るのではなく二人で協力して戦闘に参加しなくては…!
私は暗殺者で、ラーニョさんは軽戦士です。そのため、ルミナリアたちとは違って遊撃として臨機応変に動くのが良いはずですね…!
「では、私とラーニョさんはこのまま柵を超えて中で破壊工作をするので、ルミナリアたちも気をつけてくださいね!」
「うん!それじゃ、作戦開始だよ!」
私の言葉にそう返してきたルミナリアの声を聞き、私とラーニョさんは二人して再び柵を跳び越え、そのま敵の拠点の中へと侵入します。
「ラーニョさん、まずは私たちで暴れますよ!」
「ん、了解!」
ラーニョさんとそのように言葉を交わした私は、そこから自身の武器である手袋と糸を二人して構えた後、そのまま私は潜入していた時に使おうと思っていた【死者の呼び声】を発動させます。
すると、次の瞬間には私の周囲から多種多様なアンデッド型モンスターが次々と溢れてきました。しかもそれらのアンデッドはそのどれもが単なる雑魚ではないらしく、なかなかの強さを持っているのがわかります。
…このスキル、使ってみた感じからしてかなり強力に見えますね?私だけが唯一持っていた二つ目のスキルなので、特殊なスキルだとはわかりますが……それにしたって凶悪です。
まあこちらからしてみれば強力な僕を作り出せるのはとても助かるので、これについては気にしなくてもいいですか。それよりも今は、これらのアンデッドを使ってモンスターたちの相手をするまでです!
「さあ、攻めるのですよ!」
「あ"あ"あ"っ!」
「カラカラ!」
「キィイイッ!」
そうして私が出した指示を聞いたアンデッドたちは、そこから一気に敵の拠点内を駆け出してモンスターたちへと襲いかかるために動き出しました。
…それにしても、使ってみてわかりましたが、このスキルは少しだけ外聞が悪いように見えますね?普通の人であればアンデッドは忌避するものであり、それを従えて操るのは悪役と言えるでしょう。
そのため、これは時と場合を考えて使った方が良さそうです。人目のあるところで使ってしまえば、勇者として呼ばれた私でも責められる可能性が極めて高いので!
「…ん、まさに魔王」
「…いや、魔王は私たちの敵ですよ?」
私たちのところから駆け出したアンデッドたちを見てラーニョさんがぼそりとそう呟きますが、私は魔王ではありませんよ…?た、確かに魔王の如き所業とはいえ、それと同じには見られたくないのですけど…!?
「…なんにせよ、私たちもいく」
「…そうですね、行きますか」
むぅ、ラーニョさんからは魔王として呼ばれたので少々凹んでしまいましたが、今はそれは気にしないでモンスターたちの相手をしないとですね…!後からルミナリアたちも来るのですから、それまでにある程度は減らしておきましょう!




