350話 VSプライド・ウルフ2
「ガルアァ!」
「っと、そちらのスピードも先程よりも上がっているのですか!けど、まだまだです!〈第三の時〉!」
「……!」
「キュッ!」
私はお互いに踏み込んだことによって一瞬にして距離が縮まったタイミングにて、突撃した状態から放たれた右手による振り下ろしを空中に跳び上がりながらゆらりとした回転軌道の動きによって紙一重で私は避けます。
そのうえそこですれ違いざまに剣の姿に変えた両手の武器で白狼の身体を切り裂き、クリアとセレネによる攻撃も加わることで白狼のHPが削れており、いい感じに戦えていると言えるはずです。
…そして、そのまま白狼の背後に回る結果となったの確認した私は、続けて〈飛翔する翼〉によって空中を蹴ることで再び白狼へと加速した動きの状態で肉薄していきます。
白狼のスピードも私の目のおかげである程度は抑えられているみたいですが、それでも早くなっていることには変わりありません。
が、それは私も同じであり、こちらのスピードの方がまだ優っているらしいのです。なので、この強化を維持している間はそう簡単に攻撃を当てれるとは思わないことですよ!
「グルアアアッ!」
「ふふん、スピードで上回れたことは初めてですか?動きが単調ですよ!〈第二の時〉!」
「……!」
「キュゥ!」
白狼は迫ってくる私を見てその大きな口を開き、噛み砕かんばかりに連続した噛みつき攻撃を放ってきました。
とはいえ、スピードで優っている私がそれを易々と受けるはずがなく、ゆらゆらとした不規則な動きによってその全てをギリギリで躱し、それによって生まれた隙を逃さずに遅延効果を与える武技を発動させて撃ち込みながら、私のすぐそばを通り過ぎていく白狼の頭部へと両手の双銃による弾丸も続けて撃ち込みます。
やはりスピードでは私が優位に立てているのですから、それを活かさない手はありません!そこに遅延効果を与えることも出来ているので、この調子でもっと攻めていきますよ!
「このまま……っ!」
「キュゥ!」
「ガルアッ!」
そうして白狼から放たれる連続した攻撃を避けつつ反撃として剣を振るって切り裂き、双銃による弾丸を撃ち込んでダメージを稼いでいたのですが、白狼がその右手を徐に振り上げたと思ったら、突如セレネがそのように声を上げながら私を左へと引っ張ってきました。
…おそらくはセレネの持つ【因果律予測】によって危険な未来を見たから私を引っ張って回避しようとしたのだと私は分かりました。
そのため、それに抗わずに……というか、むしろ自分からそちらに移動するように動くと、次の瞬間には私がつい先程までいた地点を見えない何かが切り裂いたかのような斬撃跡が地面に現れました。
…地面に現れたこの痕跡からするに、どうやら白狼が右手を振り下ろすのと同時に見えない斬撃を飛ばしてきた、といったところですかね?
なるほど、レアモンスターと言うだけはあってやはり特殊な能力を持ち合わせていたみたいですね…!しかもその攻撃は普通の攻撃と同じ動きなため、これは少々手強いと言わざるを得ません…!
この攻撃の何が辛いか言うと、それは簡単で見えないことですからね。今の一撃はセレネのおかげで避けられましたが、次も同じように躱せるかは自信がありません。
まあ一度そんな攻撃があるとは分かったのでそれに対して警戒は出来るので、ここからはそれに注意しつつ攻撃をしていかなくて…!
「…なら、少しでも惑わすために〈第零・第七の時〉を使って翻弄するとしますか!セレネ、セレネはもしもの時に【因果律予測】をお願いしてもいいですか?クリアは……そうですね、狼の姿での遊撃をお願いします。出来ますか?」
「キュッ、キュゥ!」
「……!……!!」
「ふふ、いいみたいですね。では、いきますよ!」
「ガルアアァ!」
私は一旦様子見をしていたらしい白狼に向けて〈第一の時〉と〈大罪を背負う者〉を併用することで生まれたスピードを活かして走り出します。
そしてそんな私のすぐ隣では、スライムの姿から狼の姿に変化させた後に走っているクリアの姿も確認出来るので、頼りにさせてもらいますよ!
まあクリアだけではなくセレネの力も貸してもらいますが、これはこの戦闘を乗り切るのに必要なことなので仕方ないですよね…!二人は単なるモンスターではないので、期待をしてしまうというものです!
「グラアアッ!」
「キュッ!」
「おっと、いきなり見えない斬撃ですか!」
「ガルゥ!」
そんな事を考えつつも足を動かしていた私でしたが、そこにセレネの警戒を促す声と共に再び見えない斬撃が私たち目掛けて飛んできました。なので、それを咄嗟にクリアと二手に分かれる形で動くことによって回避します。
…しかし、最初は見えない攻撃なのかと思っていましたが、こうして警戒を強めつつ確認してみればその姿は意外と簡単にわかりましたね。
とはいえ、目で見えているわけではないですよ?単純に、その攻撃が放たれる直前に白狼の腕に魔力が集まっているのが分かったため、そのような感想を持ったというわけです。
なんにせよ、これならセレネの力に頼りっぱなしでもなく戦えそうですね!流石に【因果律予測】をずっと使っていてはセレナも疲れるので、最初に決めたようにもしもの時に頼るとしますか!
「とりあえず、狙いを惑わします!〈第零・第七の時〉!」
「グルルゥ!」
私は見えない斬撃を回避した次の瞬間には無数の幻影を生み出す武技を自身に使用することで、白狼の周囲には私の幻影たちが溢れ出します。
一度見せてはいますが、だからといってそう易々と対処は出来ないですよね…!そのうえ幻影たちに紛れる形で私たちも潜んでいるため、白狼は周囲一帯に意識が向くことで隙が生まれているように感じます。
では、ここは幻影たちと一緒に攻めさせてもらいますよ!近づけば攻撃を放たれるとは確信が持ててますが、それでも攻撃をしないことには進みませんからね!
「…〈第二の時〉!」
「ガウッ!」
「ゴガアァ!」
私は幻影に紛れる形で姿を隠しながら動きを鈍くする武技を右手の長銃から放ち、対して狼の姿をしたクリアは私の幻影と合わせた動きで近づきながら、その右手の爪を振るって攻撃を放ちます。
クリアは近接スタイルの戦闘方法なので、幻影を活かして姿を隠す私とは違って幻影と共に攻める形で動いてもらっているのです。しかも、幻影に紛れている間でセレネも一緒にさせているため、やわな攻撃では捉えることも難しいでしょう!
まあそれでもクリアたちだけではタンクの役割は難しいと分かるので、クリアたちに意識が向いたこの瞬間に私もコッソリと近づいてから攻撃をすることで、こちらに意識を強制的に向けさせますが!
「ガルァ!」
「キュゥ!」
「グルゥ!」
「クリア、ナイス動きです!私も続きますよ!〈第三の時〉!」
クリアからの攻撃を受けたことによってそちらに意識が向いたらしく、白狼はその右腕を振るうことでクリア目掛けて見えない斬撃を放ちました。
が、それはセレネの持つ【因果律予測】によってクリアに伝えられ、地面へと伏せることでなんとか躱しているのが私の視界に映ります。
そしてそこに続くようにして、クリアたちを狙って白狼はその両腕と巨大な顎による攻撃を繰り返していますが、それらもセレネの力もあってかなんとか捌けているみたいですね?
一応サポートとして〈第二の時〉や〈第零・第十八の時〉を影から放っていたとはいえ、二人が辛そうなのには違いありません。
…クリアとセレネの二人も頑張ってくれていますし、私も負けていられませんね!幻影と同時に隠蔽スキルを使っていたのでこちらの姿は見失っているようなので、ここは白狼の頭上から落下の勢いを乗せて攻撃を、です!
「ガルァ!?」
「よし、これはなかなかいいダメージになりましたね!」
そうして空中を〈飛翔する翼〉を使って蹴ることでつけた勢いのまま、私は右手に持つ細剣をガラ空きだった白狼の左目を狙って突き刺しました。
すると、いくらレアモンスターのボスであるとしてもその痛みには耐えられないらしく、そのような悲鳴の声を上げながら怯んでいます。まあ、いきなり目を潰されてしまえばそうもなりますよね。
私は目潰しをされた経験がないので心の底から分かるとは到底言えませんが、それでもかなり辛いものであるとは予想がつきます。だって、それは視界が奪われるのと同時に激しい痛みが走るでだと分かるので。
…しかし、今の一撃によって白狼のHPは残り僅かとなり、怯んでこちらに反撃をするのも難しい様子です。なら、ここは苦しみを少しでもなくすために倒してあげるべきですね!
「貴方はなかなかの強敵でした。ですが、これで終わりです!〈第九の時〉!」
「ガルゥ…!」
私はそう声に出しながら白狼の頭上から頭を下にして落下しつつ、そのまま一つの武技を発動させながら身体を力一杯捻ることでつけた勢いを乗せて振るうことで、白狼の首へと深い裂傷を与えます。
そしてそれによって赤いポリゴンが撒き散らされることで白狼のHPは底をつき、それによって倒すことが出来たのがわかりました。
「…よし、倒すことは出来ましたね!」
「……!」
「キュゥ!」
そうして倒れ込んだ白狼を見て私はガッツポーズを取ると、そこにスライムの姿に戻ったクリアとセレネが私の元まで戻ってきます。
今回の戦闘では二人の力もあったからこそ問題なく倒すことが出来たので、本当に感謝しかありません!やはりテイムモンスターは頼りになりますし、これから先ももっと呼んで一緒に攻略を目指すのよさそうですね?
とはいえ、その力を頼りっぱなしにはしませんが!私だって二人の主人なのですから、恥ずかしいところは見せられませんよ!




