349話 VSプライド・ウルフ
「ガルアァ!」
「っと、危ないですね…!はっ!」
「……!」
「キュゥ!」
私目掛けて飛びかかってきた白狼でしたが、武技の影響で動きが遅くなっているおかげでだいぶやりやすいですね!
なので、私はそれを確認した次の瞬間には白狼から見て後方に下がることで攻撃を躱し、そのまま後退しつつ双銃に変えた両手の武器を白狼に構えて弾丸を乱射します。
もちろんそこにクリアとセレネによる魔法や棘などの攻撃も放たれたのですが、それを見た白狼は動きが鈍っているのにも関わらず、飛んでくる無数の攻撃に対してすぐさま空中に跳び上がることで避け、そこからなんと私と同じように空中を蹴りつつその大きな口を開けて迫ってきます。
…まさか、この白狼も私と同じように空中を足場にすることが出来る能力を持っていたのですか…!ですが、その動きはこれまでにたくさん経験しているのです!
であれば、その動きをするにはおそらくは私と同じように多少のリキャストタイムがあるはずなので、そこを突くのが良いでしょう!
とはいえ、まずは今まさに迫ってきている白狼の対処を、ですね。白狼はその巨大な口で私を喰らおうとしているのですから、そう易々と食べられるわけにはいきません!
「…〈舞い散る華〉!」
「ガルゥ?」
そう判断した私は瞬時に地面を蹴ることで勢いをつけ、最初の時と同様に自ら白狼へと近づいていき、噛みつかれる次の瞬間には自分の身体を花びらに変える効果の能力を発動させることでそばにいる二人ともどもその噛みつきを回避します。
しかも、それによって私が白狼の頭上を取ることでこちら側が有利な場面にもなったため、ここが狙いどころですね!攻撃を直前で避けられたことによって敵の動きはほんのわずかとはいえ止まってしまっているのですし、それを見逃しはしませんよ!
「攻めますよ、二人とも!〈第三の時〉、〈第十三の時〉、〈バレットシャワー〉ッ!」
「……!」
「キュッ!」
「ガルアアァッ!」
その状態から私とクリア、セレネの三人は頭上から白狼目掛けて次から次へと攻撃の雨を放ちますが、そのタイミングで与えていた遅延効果も切れてしまったらしく、白狼は体格の割に過敏な動きでボスエリアを走られることでそれらのほとんどは当たることが出来ませんでした。
むぅ、やはりレアモンスターであるエリアボスなんですし、そう簡単にダメージを与えることも出来ませんか。しかも白狼は思ったよりも早いため、これは少々手こずりそうですね…!
「グラアアッ!」
「っ、今度はそちらの番ですか!ですが、そう易々とはやられませんよ!〈第零・第七の時〉!」
そうして空中からの攻撃を止んだのを見た白狼は、すぐさま動きを変えることで私たち目掛けて再度駆け出してきたので、私はそれ対して即座に無数の幻影を生み出す武技を自身に使用して、白狼の動きを翻弄していきます。
流石のレアモンスターといえど、ワールドモンスターにも効いた経験のあるこの動きを見極めることは難しいですよね!
今の私はその幻影たちに紛れて隠蔽スキルも発動させているため、いくらボスモンスターといえどこちらの動きを捉えることは出来ないはずです…!とはいえ、効果時間は決まっているのですぐに攻撃には移りますがね!
「ガルアッ!」
「残念、それは幻影ですよ!〈第二の時〉!」
「……!」
「キュッ!」
そう考えた私はすぐさまそれらの幻影に紛れながら銃弾を撃ち込むことで攻撃をしつつ、攻撃を避けるために動いていた白狼に向けて出来る限り気配を殺しながら再び接近していたのですが、そのタイミングで白狼が自身へと近づいてきていた私に向けてその左腕を横薙ぎに振います。が、残念ながらその狙われた存在は幻影です!本物の私は、そのすぐ後ろでした!
私は目の前で消し去られた幻影を尻目に一瞬にして白狼の懐まで踏み込み、そこから左手の逆手に持つ短剣による攻撃を武技の効果を乗せながら放ちます。
すると、それは攻撃をした瞬間だったせいだったからか躱されずに当てることができ、その効果が遺憾なく発揮します。
よし、もう一度動きを鈍らせる武技を当てることが出来ました!しかも、そこにクリアの触手とセレネによる魔法攻撃まで加えることが出来たため、さらにダメージを稼ぐことにも成功しています。…なら、ここは攻める手は緩めません…!
「グラアアッ!」
「ちっ、流石に攻撃を受けて反撃をしないはずがありませんか…!」
しかし、私の呟いた通り懐に踏み込まれたのを白狼がそのままにするはずがなく、目の前にいる私目掛けてその強靭な顎を向けて噛みつきを放ってきました。
そのため、咄嗟に私は二人を連れて後方に大きく跳びながら幻影に紛れ込み、そこから両手の双銃にて白狼を狙って弾丸を連続して撃ち込みます。
今の白狼は動きが鈍くなっている状態なので、これらの攻撃の全てを対処するのは難しいとは思いますが……さて、どう動くか…!
「グガァアアッ!」
「…まさか、咆哮ひとつで全てを消し去られるとは…!やはり、レアモンスターなだけはあるみたいですね!」
「……!」
「キュゥ…!」
その様子を幻影に紛れながら見ていた私だったのですが、白狼は咆哮と共に魔力を発すことで、一瞬にして周囲に溢れていた私の幻影たちと銃弾の全てを消し去られてしまいました。
いや、流石に全ての幻影を消し去られるとは思いませんでしたよ…!?魔力の反応があったので今の咆哮は単なる技ではないのはわかりますが、それにしてもそう簡単に対処されてしまうとは思わなかったです…!
「グルゥ」
「…幻影も消されてしまいましたし、ここからは自分の力だけで対処するしかないですね。クリア、セレネ、その力を貸してもらいますよ!」
「……!」
「キュッ!」
私はそうクリアとセレネに向けて声をかけた後、様子見をしているらしい白狼目掛けて〈第一の時〉を併用したことによる素早い動きで踏み込んでいきます。
このまま相手と同じように様子見をしていても時間がただ過ぎていくだけなので、攻めるに限ります!それに、遅延効果もすでに切れてしまっているため、早めに攻撃に移るのが良いですよね…!
「ガァアッ!」
「甘いです!それは効きませんよ!」
近づいてくる私を見て白狼自身も即座に動くことで私へと肉薄してきて、フィールドを縦横無尽に駆け巡りながらその両手を交互に振るうことで連続した攻撃を繰り出してきます。
しかし、その動きはこの白狼よりも遥か上の実力であるワールドモンスターなどと比べると劣るため、そう簡単に当てられるはずがありません!
私は突進と共に放たれた白狼の右手による振り下ろし攻撃を軸足を起点にして半歩ズレることで躱し、横に回り込むようにして近づいて剣を振るった私狙いで続けて放たれた左手の横薙ぎも、即座に剣を引いてから姿勢を限界まで背に逸らすことですぐ目の前を通り過ぎていきます。
そしてそこで一度後退した後、このボスエリアの周囲に生えている樹木と空中を足場にしつつ駆け巡りながら銃弾をお返ししていた私でしたが……白狼は受けるダメージを気にしない様子で私を追いかけるようにして、空中を足場にしながら連続で噛みつきを放ってきました。
そのため、私はそれらをフェイントを組み合わせた足捌きと不規則な三次元的動きによって回避していき、そのすれ違いざまに剣と銃弾を放つことでダメージを稼いでいきます。
しかも、肩と首にいるクリアとセレネの攻撃も追撃として与えることが出来ているため、いい具合にHPを削ることが出来ているのがわかります。
この調子なら、このまま白狼を倒せるでしょうか?まあエリアボスであり、尚且つ敵はレアモンスターなので簡単にいかないとは思いますが、油断をしなければいけるはずです…!
「グルゥ、アオオオオオン!!」
「…っ、ここで発狂状態ですか…!」
そうしてボスエリアを空中をも足場にしながらお互いに駆け回り、あちらから放たれる無数の攻撃を躱して攻撃を繰り返していた私たちでしたが、白狼のHPが残り半分を超えた瞬間、一旦距離をとった白狼が雄叫びをあげながら特殊行動を開始します。
いよいよあちら側も本気みたいですし、ここからはさらに警戒を強めつつ戦闘に励まないとです!特殊行動がこれから始まるので、何がきても不思議ではありませんが……さて、この白狼は何をしてくるか…!
「ガルアッ!」
「…ふむ、純粋なステータス強化、といったところでしょうか。それだけなら、私の目のおかげで強制解除出来るため問題はないですが……他にも何か隠された何かがある可能性もありますし、油断はダメですね…!」
「……!」
「キュゥ!」
私は青白いオーラを纏い出した白狼を見てそう呟きますが、その言葉通りそのオーラは私の持つ〈嫉妬の眼〉のおかげでそれは即座に解除することは出来ています。
しかし、それと同時で新たに使われる能力も当然あるはずなので、油断は厳禁、です!相手はエリアボスなうえにレアモンスターなんですよ?であれば、他のモンスターとは違うなんらかの行動をしてくるのは目に見えると言えるでしょう!
そのため、ここからは先程のようにはいかないと考えるべきですね。まあ私は一人ではなくクリアとセレネの二人がそばにいるので、二人の力も借りればなんとかなる……と、いいですね!
「ガルアアァ!」
「おっと、考え事をしている場合ではなかったですね。白狼も本気みたいですし、私もそれに答えるとしますか!〈大罪を背負う者〉!」
私はそう瞬時に決めて切り札の一つである大罪スキルの持つ全ステータスを強化する能力を発動させ、続けて〈第一の時〉も使うことで生まれた超スピードのまま、こちらへと肉薄してくる白狼に向けて駆け出します。




