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342話 欲するは貪欲なる静寂6

「甘いです!そのくらいは問題ありません!〈第十八の時(アハツェーン)〉!」

「グガァ!」


 そんな無数の攻撃が嵐の如く放たれますが、私は特に気負った様子もなくフェイントを混ぜた不規則なステップを踏むことでそれらを難なく避けていき、そこに放たれた連続した噛みつきも〈第十八の時(アハツェーン)〉による転移する武技の力も時折混ぜることによって紙一重で避け続けます。


 そして、その回避したことによって生まれた隙を私が見逃すはずがなく、すぐさま剣に姿を変えた両手ですれ違いざまに切り裂き、その瞬間で即座に変えた銃による攻撃も加えて静海へとダメージを与えていきます。


 が、その状況は先程と同じなせいで静海も学習したらしく、そのタイミングで新たな触手を身体から生やしたかと思うと、次の瞬間には私目掛けて水による激流と青色をした無数の弾丸が飛んできました。


「そのくらいは……っ!?」


 なので、私は即座に水による激流をゆらりとした動きで身体スレスレを通ることで避け、続けて放たれた連続した青色の弾丸についても、手に持つ細剣でその全てを切り捨てたその直後。


 私の身体に錘がかかるかのようにして動きの速度が鈍り、突如自身の身体を動かすのすら難しくなってしまいました。


「…この攻撃、もしかして私の使っていたユニークスキルの〈第二の時(ツヴァイ)〉……でしょうか?」

「ちっ、レアのスキルは本当に厄介だね!」

「まさか、あの凶悪な武技の対処をしなくてはならなくなるとはね!」


 私はマリアナさんたちの声を耳にしつつ、鈍くなった身体を何とか動かして静海による攻撃をギリギリで避けながら考えます。


 動きがいきなり鈍くなったのは、間違いなく先程の青色をした弾丸を切り捨てたせいなのは明らかです。しかし、その武技が使えるのは本来私だけなはずなので、いきなりその武技を静海が使えるたことに疑問が生じます。


 …あ、もしかして、先程静海が発動させていた【深層解放】らしきスキルの効果がそれ……とか?もしその予想が当たっているとすれば、私の使うユニークスキルなどをあちらが使えたことには納得出来ますが……スキルまでコピー出来るなんて、流石はワールドモンスターの一体、ということですね。


 ただ、私の普段から愛用している〈第一の時(アイン)〉や〈第七の時(ズィーベン)〉によるバフ効果は私の瞳のおかげで効果は発揮していないみたいではありますが。この点に関しては不幸中の幸い、と言えるでしょう。


 とはいえ、コピーしたのはどうやら私の扱うそれらの武技だけではないらしく、マリアナさんの使っていた水による攻撃までさっきの攻撃には混じっていたのです。…であれば、ここからは静海の使える攻撃だけではなくそれらにも気をつける必要があると確信が持てますね。


 どう考えても静海もそれらを活用してくるに違いないですし、何が起きてもいいように警戒は強めつつ、です!


 …それに、静海から放たれる無数の武技にマリアナさんたちも何とか対応をしているのが私の視界の端に映りますが、そちらも大変な様子でした。な、何だかすみません…!


「…しかし、敵として使われるとこれほどまでに厄介なのですね…!」


 そんなマリアナさんたちをチラリと確認しつつも、私は動きが鈍くなっている間は〈第零(ヌル)第七の時(ズィーベン)〉によって生み出した幻影を活かして回避に専念していたため、特に被害もなく遅延効果の時間が終わるまで耐えることが出来ました。しかし、今も私の口にしている通り、動きを鈍くさせるその武技はかなり厄介なのがひしひしと伝わってきます。


 …カムイさんや私と戦ったプレイヤーなどの皆さんは、これを掻い潜りながらこちらへと攻撃をしていたのですか。私は敵としてそれを対応することはなかったのでわかりませんでしたが、まさかここまで厄介だとは…!


 今私が相手をしている静海は普段から使っている私とは違い、触手の先に生やしている銃口からその武技を撃ち込んでくるため、対処は容易です。


 が、そのユニークスキルの本来の持ち主である私と戦ってきた人たちは、私の動きはそこまで単純ではないのでこれよりも苦戦していたことは言わなくてもわかりますよね。


 なるほど、道理で今まで戦ってきた人たちは皆が皆面倒そうにしていたわけです。…まあそれについては今は関係ないので置いておくとして、集中すべきは目の前にいる静海に、です。


 今も静海は無数の触手やモンスターのパーツ、あるいはその巨大な身体によって私に向けて次々と攻撃を放ってきていますが、すでにその動きは把握しているのです。

 そのため、一番警戒すべきである銃口の生えた触手に注意しつつ私はそれらの攻撃をゆらゆらとした動きで避けながら反撃として攻撃を繰り返します。


 武器の生えた触手は細剣や短剣によって逸らしたり受け流したりすることで捌き、モンスターのパーツによる攻撃はこちらへと迫る前に双銃で撃ち抜くことで妨害をします。


 加えて、近くまで肉薄しているためなのか、静海は私をその強靭な顎で噛み砕かんばかりに連続して噛みつき攻撃も放ってきました。

 なので、それに関してもフェイントと〈飛翔する翼(スカイ・ステップ)〉を織り交ぜた三次元的動きで触手などと同様に避けて、そのまま私の身体スレスレを通っていく静海の身体に向けて連続で細剣や短剣の攻撃を放つことで切り裂き、続けて銃弾も次々と撃ち込むことでダメージを稼ぎます。


 そして何よりも警戒すべき銃口の生えた触手やマリアナさんのスキルを発動させるための三叉の槍が生えた触手などには、それが動くのを瞬時に判断してから銃弾を放つことでその動きを防ぎます。


「グルルゥ、グラアアアッ!」

「むっ、また新たな行動……っ!」

「レア、危ない!」


 そんな風にして静海の攻撃を捌き続け、時折隙を見せた静海へとマリアナさんたちと共に攻撃を加えて静海のHPを削っていたのですが、HPが七割を超えたタイミングで静海が再び咆哮をあげた次の瞬間。


 【第六感】スキルによって感じた直感とマリアナさんの焦ったような声を聞き、私はすぐさま姿勢を地面へと深く沈めます。すると、そんな私のすぐ頭上を何やら青黒い触手らしきものが通り過ぎていくのが私の瞳に映りました。


 …その触手から察するに、どうやら私の死角から一切の音も魔力も、何なら気配すら感じさせない不意打ちが放たれたみたいですね?

 直前に【第六感】スキルに反応があったので何とか避けることが出来ましたが、もしそれがなければ今頃は攻撃を喰らって吹き飛ばされていたこと間違いなしです。


 あ、危なかったです…!咄嗟にマリアナさんの声と感じた感覚を信じて伏せましたが、何とかなったようで一安心ですよ…!

 …しかし、静海はそのような音を消した攻撃まで使えるのですか。ふむ、その二つ名にある"静海"は伊達ではないとわかります。確実にそれが今の能力に関係しているとわかるので!


 ということは、ここからは音などで攻撃に対応するのではなく、その目や感覚を頼るのが良さそうです。


「グガァアアッ!」

「っと、ここからはさらに注意しないとですね!〈第一の時(アイン)〉!」

「あんたら、ここからは音だけで判断するんじゃないよ!防御はしっかりと、だ!」

「我々も防御を第一で行動するように。気を抜けば即座にやられるよ!」


 そうして私たちはそれぞれが警戒を強めながら、全ての音が消えたせいで無音の動画を見ているかのような気分になりつつも、嵐の如く放たれる攻撃に対応していきます。


 そうすると、ここからは再度分身を使うことでヘイトを分散させ、それによって生まれた隙に攻撃をしていきますか。分身は別にやられても不利になることはないため、囮に使うのがベストなはずです…!


「…領域の効果が続いているうちに決めないとですね。〈第七の時(ズィーベン)〉!」

「ガアアアァ!」


 そう口にしながらも二体の分身を生み出した私は、そのまま三方向に分かれることで意識を分散させてから、静海の間合いに踏み込みつつ攻撃を開始します。


 …私が今も発動させている【領域解放】スキルの効果時間はすでに半分を切っているため、出来ることならそれが終わってしまう前に決めたいところです。


 というか、もう戦闘も最終局面に移っているのですから、このタイミングで私の切り札である【心力解放】も使うべきでしょうか?このまま使わずにいても時間がかかること間違いなしなので、ここが使い時……ですかね!


「レアに頼りっぱなしでなんだし、ここはあたしも切り札を切るぞ!カスピアン、前衛は任せるよ!」

「了解した、その間は任せてもらうとしましょう」


 私がそう決めてそのスキルを発動させようとすると、それと同時にマリアナさんもそのように口にして何やら切り札を切るみたいです。…もしかして、マリアナさんも私と同じように【心力解放】スキルを持っている……のかも?


 確かに、マリアナさんもユニークスキルを持っているので使えても不思議ではないですけど、まさかすでに獲得していたとは。まあ何にせよ、ここが使い時なのに違いはないので早速詠唱を開始しましょう!


「森羅万象、時は移り変わる」

「統べるは海原、揺蕩いゆらめく水の女王」


 そのようにして詠唱を開始した私とマリアナさんでしたが、やはり静海もそれには警戒心をむき出しにしているらしく、全身から生えている触手やモンスターのパーツによる攻撃を次から次へと放ってきます。


 なので、私は攻撃の手を一度止めて回避に専念し、フェイントを混ぜた不規則なステップを踏むことでそれらを躱していきます。

 対してマリアナさんの方はというと、そちらはマリアナさんのや仲間やカスピアンさんたちが盾を構えて防御に専念することで対処しているみたいです。


 まあ私よりかは攻撃を放たれる数は少ないため、このくらいならまだ何とかなるのでしょうね。


「刹那の流れは止まらず、この歩みも阻まれはしない…」

「流れを支配し、征服せしは水天一碧の水槍なり…」

「グラアアッ!」

「ちっ、攻撃が重いねっ!」

「けど、ここが踏ん張りどころだ!」

「あの二人さえ動けば、戦況も変わるわよねっ!」


 私たちが詠唱を続けている間にも放たれる音を消した連続攻撃を、私はスキルの【第六感】を頼りに躱し続けますが、そんな私とは違ってマリアナさんを守るようにして動いている皆さんは少々辛そうにしているみたいです。


 けど、詠唱は次で終わりなのですから、これで行動に移りますよ!先程までは回避と防御に意識を割いていましたが、今度は私たちが攻撃に移る番、です!


「世界に刻め、刻の旋律!〈心力解放・時空より旋律を謳う者ザ・クロノス・ルーラー〉ッ!」

「大海を掌握し、その威光を示せ!〈心力解放・さざめく海原の波濤槍(オーシャン・ブルー)〉ッ!」

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