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341話 欲するは貪欲なる静寂5

「…だとしても、攻める手は止めません!〈第一の時(アイン)〉!」


 そんなことを呟きながら、私は次から次へと飛んでくる棘や魔法、砲撃といった攻撃を加速した動きを活かしつつ不規則なステップを踏んで分身と共に避けていると、そこで静海がその巨大な顎を開けながら私に向けて迫ってきます。


 しかも、今度はさっきとは違って身体中から生えている触手やモンスターのパーツによる攻撃を放ちながらなので、これは油断していてはバクッとやられること間違いなしでしょう。


 が、もちろん私がそれを見て無抵抗で食べられるわけがありません。

 分身と共に〈第零(ヌル)第十一の時(エルフ)〉を使ってさらに動きを加速させた後にこちらからも踏み込み、触手などによる攻撃の数を最小限に抑えることでその全てを躱しながら静海の間合いへと滑り込みます。


 そして、その間合いに入ったタイミングで本体である私目掛けて迫ってくる静海のすぐ横にズレ、そのまま身体の側面を左手の逆手に持った短剣で撫でるように切り裂きながら通り過ぎることで、私を狙っていた噛みつきも同様に回避します。


 …ここまで近づけば、どうしても私に向けて放てる攻撃は少なくなってしまいますよね!だって、身体中から触手やモンスターのパーツが生えているとしても、その全てが私から見て正面にあるわけではないのですよ?

 であれば、この距離まで踏み込まれては噛みつきや体当たり、あるいはその数少ない触手やモンスターのパーツに頼る必要があると言えるはずです。


 現に、静海は噛みつきを避けられたのを見て咄嗟に前へ進むのを止め、私と分身の四方八方から攻撃をしていますからね。


「…まあ動きを止めて攻撃に集中したとしても、私を捉えさせはしませんよ!」

「グルアアッ!」


 周囲から飛んでくる武器の生えた触手やゲル状の触手、骨で構成されている腕に植物らしき蔦や武器を持っている強靭な腕などなど。


 実に多彩なモンスターのパーツによる攻撃でしたが、私は加速した状態のままゆらゆらとした不規則な動きで捌いていき、スレスレで通っていくそれらを剣によって切り裂きながら、わずかに距離が空いていた静海に向けてさらに踏み込んでいきます。

 当たり前ですが、私とは違う場所から攻撃を行っている分身も同様に、です!


 …やはり、こちらから踏み込んだからか、はたまた二体の分身がいるおかげで攻撃をする対象がバラけているからか。

 理由はわからないですけど、意外にも攻撃の数が少なく感じるため対処がしやすくていい感じですね?


「ガアアァ!」

「っと、今度は武技も混ぜてくるのですか…!本当に【強欲】という名に相応しいですねっ!〈第二の時(ツヴァイ)〉!」


 そうして無数の触手やモンスターのパーツによる攻撃を避けつつ、かつ手に待つ剣によって対処しながら踏み込むと、すぐそこまで近づいたことによって静海から立て続けに連続した噛みつきまで本体である私へと放たれました。

 そのため、私はそれも同様にゆらりゆらりとした動きで避けながらすれ違いざまに細剣や短剣で切り裂き、追撃として双銃による弾丸を食らわせます。


 そのように、攻撃の合間でこちらからも攻撃を繰り返しながら対応をしていたのですが、そのタイミングで静海の身体中に生えている多数のモンスターのパーツなどから何やら赤や青の光が集まったと思ったその直後。


 その光と共に斬撃や刺突が四方八方から飛んできたため、私は咄嗟に地面スレスレまで身体を深く沈めることでなんとかそれらを避け、そのまま反撃として動きを遅くさせる武技を長銃へと持ち替えた右手から静海に向けて撃ち込みます。


 …それにしても、スキルや特性を得る力を持っているとはすでに知っていましたが、まさかこちらが使うような武技まで使ってくるとは…!私の口にしたように、本当に【強欲】と言わざるを得ませんよ…!


 とはいえ、そんな武技を使えたからといって当たらなければ良いだけなのですし、尚且つユニークスキルのような強力な武技をあちら側は使えないみたいです。

 だとすると、最大限注意をしておく必要がありますが、そこまで意識を向けておく必要はなさそうですね。


 まあ油断をしてやられては目も当てられないので、倒し切るまでは注意を向けておきますが!


「レアに任せきりにしないよ!〈流水刺突(コリエンテ・ランス)〉!」

「私もお忘れかな?〈ブレイクスラッシュ〉!」


 そうしてそこからは、武技も織り交ぜられた連続して放たれる様々な攻撃を分身と共に不規則な動きで避け、その合間に双銃で弾丸を放つことで静海による攻撃の出だしを妨害したり、細剣と短剣で受け流しつつ切り裂くことで攻撃を加えていきます。


 すると、それによって生まれた隙を見てマリアナさんやカスピアンさんたちも静海に向けて攻撃を与えていくのが私にも確認出来ました。


 静海も一番の脅威である私ばかりに意識を向けていたらしく、マリアナさんたちのことは疎かになっていたみたいですね?しかも、それによって静海のHPゲージがさらに削れているうえに、ほんの一瞬とはいえ私から意識がそれたのを私は見逃しません!


 先程まではタンクの役割として攻撃を受け続けていた私でしたが、今度はこちらからも攻めさせてもらいます!分身はこのタイミングで消えてしまいましたが、その武技のリキャストタイムはちょうどよく終わっています。


 であれば、それを使ってこちらの姿を捉えられなくしてから、です!攻撃を避けながら反撃をしていたため、フラストレーションがたまっているのですよっ!


「私も攻めますよ!〈第零(ヌル)第七の時(ズィーベン)〉!」


 そんなマリアナさんたちに意識がほんの一瞬逸れた静海でしたが、その瞬間に私は無数の幻影を生み出す武技を使用した後、それに紛れる形で隠蔽系のスキルを発動させます。


 そして、すぐさま私は気配を殺しながら静海の死角へと素早く回り込み、そこから空高くへと跳び上がった後に静海の姿をその瞳に捉えます。…どうやら、私の作戦通り静海は私の姿を見失ったみたいですね?今も幻影たちを一掃しているのがわかるので。

 …なら、このまま頭上からの攻撃と洒落込みますか!静海のHPゲージはすでに三本目の終わりに差し掛かっているため、これを持って一気に削るとします…!


「… 〈飛翔する翼(スカイ・ステップ)〉!からの、〈第一の時(アイン)〉!一気にいきますっ!〈第三の時(ドライ)〉ッ!」


 そうして空中に足をついた私は、即座にそれを力一杯蹴ることで勢いを乗せ、そのうえ動きを加速させる武技も自身に使ってから超スピードで静海へと迫っていきます。

 その超スピードによって一瞬にして間合いが縮まった私は、そのまま武技を発動させて細剣に変えた右手を思いっきり突き出し……避けることが出来なかった静海の身体へと深く突き刺します。


「ゴガアァッ!?」

「よし、手応えバッチリです!ふっ!」


 流石の静海といえどいきなりの激しい痛みには耐えられないらしく、そんな雄叫びのような悲鳴を上げながら怯んだため、私はすぐに細剣を引き抜きながら力強く静海の身体を蹴ってから一度距離をとります。 


 …何故わざわざ近づいたのに一度離れたかというと、今の一撃によって静海のHPゲージはすでに四本目へと突入していたからです。

 前に戦った天災との経験からするに、この最後のHPゲージからはワールドモンスター特有の切り札と思われる【深層解放】を使うとわかっているのですよ。であれば、近くにいた場合に巻き込まれる可能性も考慮して離れた、ということです。


「グルゥ、グラアアアッ!」


 そのように私たちが警戒を強めながら離れた位置から静海の様子を確認していたところ、そのタイミングで静海が激しい雄叫びをあげました。


 しかも、それと同時に私たちを含めた全方位へと青色のオーラを撒き散らしたため、明らかに何らかの能力を使ったのがわかりました。

 おそらくは今の青色のオーラが静海の持つ【深層解放】スキルの効果なのでしょう。とはいえ、そのスキルの効果がどういったものかはまだ把握出来ていませんがね。


 だって、このスキルを見たのはこれが初めてなのですよ?であれば、そんな一瞬でスキルの効果を知ることが出来るはずがありません。まあ何となくの予想としては、静海の持つ【強欲】に因んだものではあると睨んでいますが。


 …とまあそういったことで、そのスキルの効果がハッキリとはわかってはいないため、警戒は最大限強めつつ攻撃をしていく必要がありますね。マリアナさんたちの力も確実に必要になるでしょうし、ここからはさらに集中していきましょう…!


「では、いきますか!〈第一の時(アイン)〉!」

「レアに遅れはとらないよ!〈揺蕩う波(アクア・ムーブ)〉!」

「なら、私たちもだね!」


 そんなことを考えつつも、私たちは【深層解放】らしきスキルを発動させた静海に向けて駆け出します。もちろん、先頭に走っている私は両手の双銃から弾丸を乱射しながら、です!


「グガァアア!」

「っと、またもや近接戦ですか!それはこちらも望むところですし、このままラストスパートを突っ切りますよ!」


 静海は幻影がいないことによって本体である私をその瞳に捉え、その大きな顎を開きつつ全身に生えている触手などをこちらへと差し向けてきました。


 そのため、私は今もまだ効果を残している領域で強化されている〈第一の時(アイン)〉による超スピードを活かし、先程のように再びこちらからも踏み込みます。


 が、静海もそうした動きは予測済みだったのか、身体中から生やした触手やモンスターのパーツを連続で振るうことでこちらの動きを制限し、その巨大な口をもって喰らいつこうとしてきました。

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