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338話 欲するは貪欲なる静寂2

「なっ!か、回避…!」

「ちっ、いきなりかい!」

「流石にそれは予想外だね…!」


 こちらに向けて無数に放たれた水の刃を確認した私は、即座に分身と二手に分かれることでそれを回避し、マリアナさんたちも同様にその水の刃を回避していましたが……まさか、物理攻撃だけではなく魔法まで扱えるのですか…!?


 …いえ、もしかするとこれらは今までに奪い取ってきた生物の持つスキルの一部、の可能性もなくはないですね?

 まあ今まさに放たれたのは水魔法らしきものなので、普通に静海が最初から所持しているスキルなのかもしれないとはいえますが。


 だとしても、やはり静海の獲得している神様の悪心……【強欲】の名に恥じない力に違いはありませんか。とすると、おそらくは今の水の刃だけではなく、他にも様々なスキルや能力を使ってくる可能性が極めて高いように感じますね。


 今はまだ様子見なのか、水の刃と触手による攻撃のみみたいではありますが、HPゲージを削っていけばその【強欲】の本領を発揮されると間違いなくわかります。


 …なら、ここはそういったスキルや能力に警戒を強めつつ戦うしかありませんね。私以外にも攻撃を放たれているのですから、私が静海の意識をこちらに向けなくては明らかに危険なので!


「全く、面倒なことこの上ないですよ!」

「けど、そのくらいならまだ余裕です!」

「グガァアアッ!」


 私は次々と振るわれる触手による攻撃を半歩ズレることで避け、薙ぎ払いを姿勢を低くすることで回避し、刺突を身体を捻ることで分身と共に躱していきます。


 そして私と分身のすぐそばまで肉薄してきて噛みつきや体当たりなども放たれますが、もちろんそれらもフェイントを混ぜた不規則な動きで避け続け、反撃として同じく分身と共に静海へと双銃と細剣、短剣による攻撃を繰り返していきます。


 当たり前ですが、マリアナさんやカスピアンさんたちもこのタイミングで攻撃は加えていってますよ!私が静海の注意を主に惹きつけ、そこにヒット&アウェイの動きで攻撃と離脱を繰り返しつつ、です!


 そんなこんなで攻防を続けていた私たちでしたが、それらによって徐々に静海のHPゲージを削る事が出来ており、もう少しで一本目のゲージを削り切ることが出来そうなところまでやってきました


 …私たちが今も相手をしている静海のリーブトスは、前に私が戦って倒した経験のある"天災のゾムファレーズ"と同じワールドモンスターなため、まず間違いなく特殊行動に移ると確信が持てています。


 そのため、一本目のHPゲージが削り切れるからといって油断は出来ません…!今の段階ですら触手や水魔法による攻撃と共に近接戦闘まで行われているのですから、次のゲージに移ればそれ以上に攻撃は激しくなるでしょうし、まずは慎重に、ですね…!


「グルウゥ、グラアアアアァッ!!」


 そうして私たちが警戒をしつつ攻撃を繰り返し、ついに静海のHPゲージが二本目に突入したのを見た私は、すぐさま静海から一時的に距離を取ります。


 すると次の瞬間には静海がそのような雄叫びをあげ、そのまま静海の周囲から溢れんばかりに無数の剣や槍、斧に杖などなど、実に多種多様な武器が姿を現します。


 おそらくは、これが静海の持つ【心力解放】スキルなのでしょう。私が見たことのある"天災のゾムファレーズ"が使っていたものとは違い、純粋なステータス強化ではなく様々な武器を操って戦う、といったところですかね。


 であれば、ここからはそんな無数の武器にも警戒を強めておかなくては危険だとわかります。しかも、そこに静海による攻撃も放たれるのですよね?これは、思っていたよりも手強そうです…!


 だとしても、諦めるわけがありませんが!私たちはこの場にて静海のリーブトスを倒すためにここまでやってきたのです!なら、負けることは考えずに攻めるまで、ですよっ!


「…自身の力の一端を使うみたいですが、絶対に負けません!〈第一の時(アイン)〉、〈第七の時(ズィーベン)〉!」

「ガァアアッ!」


 私はそう声に出して気合を入れ直した後、切れていた二つの武技を自身へと撃ち込んで強化と分身生成を済ませてから、再び静海に向けて駆け出します。


 この場における私の役割は回避盾としたタンクなため、マリアナさんやカスピアンさんへと無数の攻撃を放たれないためにも一番の脅威だと示し、意識を惹きつける必要があります。


 …なので、私は相手が本格的に動く前にと静海へ踏み込んで攻撃を開始しようとしたのですが……やはり相手はワールドモンスターの一体である静海のリーブトスです。したがって、そう簡単にやらせてはくれないらしく…


「…バカですか!?それ、あれじゃないですか!金髪の英雄王の代名詞とも言える、アレですよね…!?」

「ガアアアァ!」


 周囲に生み出された無数の武器の先端が私に向けられ、そのまま空を切るかの如く私目掛けて次々と飛んできたからです。


 いや、流石にその攻撃方法は予想外なのですが…!?…もしかして、製作者にそのファンか何かがいたのでしょうか…?

 っと、それについてはどうでもいいので頭の隅にでも放り投げておくとして、今も駆け巡っている私に向けて雨霰と武器が降り注いできているため、躱すのに精一杯で攻撃に移るのが少々難しくなってしまっています…!


 まあ躱しながら双銃に変化させた武器で静海に攻撃はしていますが、このままではジリ貧となるのは間違いなしです。


「…このままではダメですね。なら、ここは幻影を使って懐に潜り込むのが正解ですかっ!〈第零(ヌル)第七の時(ズィーベン)〉!」


 逃げ回っているうちに消えていた分身の代わりとして無数の幻影を生み出した私は、そんな幻影たちに紛れるように隠蔽系のスキルを発動させてから、息を潜めつつ静海の元まで接近していきます。


 とはいえ、相手の攻撃方法は大量の武器による砲撃なので、生み出した無数の幻影はすぐに消し去られはするはずです。

 …しかし、今の私の狙いからするとそれだけでも十分と言えます!私の目的はこの隙に静海の懐に踏み込むことであるため、ほんのわずかな隙でも役に立つのですよ!


「隙だらけです!〈トリプルスラスト〉!」

「グガァアッ!?」


 そうして多数の武器の射出にて一瞬にして消しさられた幻影たちでしたが、その間にて静海の懐に潜り込んだ私は、そこから細剣に変えた右手で武技を発動させて三発の刺突を静海目掛けて繰り出します。


 すると、意識外からの攻撃だったせいなのか、あるいは受けたダメージが大きかったからか。静海はその攻撃を受け、思わずといった様子でそう声をあげました。…ふむ、遠隔攻撃スタイルになっているからか、防御力は先程よりかは落ちているみたいですね?


 今の攻撃だけでも先程よりダメージを与えることに成功しているため、やはり形態変化のせい……でしょうか。まあこちらとしては攻撃が通りやすくなっているのは好都合ですし、こちらに対応される前にもっと攻めますよ!


「グガァアアッ!」

「ふふん、甘いですよ!〈舞い散る華(フロース)〉!」


 そんな思考を巡らせつつも、両手に持つ細剣と短剣を構えて再度攻撃に移ろうとした直後。


 静海は後退しながら私を囲むようにして武器を構え、即座に攻撃に移ろうとしていた私へと全力で武器を射出してきます。が、もちろんそれは想定内です!


 私による攻撃が与えられたのですから、それを危険視してこちらに意識が集中してしまうのも無理はないでしょう。しかし、それではマリアナさんたちへの注意はおろそかになりますよね?


「隙だらけだよ!〈舞い上がる波槍(ハイドロ・ウェーブ)〉!」

「私も、だね!〈ソードピアサー〉!」

「グォオオッ!」


 マリアナさんとカスピアンさんを筆頭としたメンバーからの攻撃が次々と静海に放たれ、私へと意識の大半が向いていた静海の身体に命中することでさらにHPを削り取っていきます。


 そして私自身も、装備しているゴスロリドレスについている能力を使って静海からの攻撃を回避したので、当然被害は皆無です!

 これなら、私が敵の気を引いておけば皆も戦いやすそうですし、このまま攻めるのが吉でしょう!それに、今の静海になら攻撃も入りやすいので、ここが攻め時なはずです…!


「グゥ、グラアアアッ!」

「むっ…!」


 そうして後退しつつ私に向けて武器を構えていた静海でしたが、私が攻撃に移ろうとした次の瞬間。


 突如静海が雄叫びをあげたと思ったら、いきなり静海の周囲から津波の如き大量の水が押し寄せてきたため、私は咄嗟に空中に跳び上がってそれを回避しました。

 が、マリアナさんたちは流石に私と同じ動きは出来なかったらしく、押し寄せる波によって距離を取られているのが空中にいる私の視界に映ります。


 …一旦戦況を変えるために波を起こして距離を取った、といったところでしょうか。だとしても、それだけではすぐに同じ状態になるとは思いますけど……ワールドモンスターである静海がそれだけで済ますはずがないですよね。


 ということは、確実に次で何かしらをしてきそうとわかります。…それならこのまま空中から攻撃を……っ!?


「グォオオッ!」

「ちっ、そう簡単にはいきませんかっ!」


 私はそう判断して〈飛翔する翼(スカイ・ステップ)〉を使用することで空中を蹴り、それによって生まれた勢いのままに静海へと踏み込んだのですが……そんな私が静海の間合いまで入った直後。


 またもや突然、今度は水ではなく激しい突風が巻き起こり、空中にて迫っていた私を後方へと吹き飛ばします。が、私は即座に〈飛翔する翼(スカイ・ステップ)〉を再び使用してから地面へと降り立ったため、そこまでの距離を取られはしませんでした。


 …しかし、そんな一瞬ともいえる時間で静海は次の行動を済ませていたらしく、静海の周囲には先程まで浮かんでいた武器はその全てが姿を消しており、代わりとして静海の身体から生えている無数の触手の先にそれらの武器が姿を現していました。

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