274話 海洋騎士団
「美幸、そろそろ帰らないか?」
「おっと、もうそんな時間でしたか!」
「私も月白さんとの会話に夢中で気づかなかったのです…!」
そんなこんなで早乙女さんと一緒に取り止めのない会話をしている私たちでしたが、そこに悠太が声を挟んできました。
確かに、すでに帰る時間になっているのに話すのに夢中で忘れていました…!今の時刻は十一時半くらいであり、お昼の時間に近くはなっているので、このまま皆でどこかに食べに行くのも良さそうですね?まあその前に兄様を向かえにいく必要がありますが、それを二人にも伝えてみますか。
「ふむ、確かにそれも悪くないな」
「ですね!私ももう少しレアさんと一緒に会話をしていたいのです!」
私の提案を聞いた二人もどうやら賛成のようですし、このまま兄様も連れてどこかでお昼を食べていくことにしますか!アリスさんもとい早乙女さんと現実世界で会うのら初めてなのですから、この機会にもっと仲良くなりますよー!
「…よし、では今日の予定はどうしましょうか」
あの後は校門前で待っていた兄様も連れ、近くの飲食店でゲーム内やリアルに関した会話をしながら大いに食事を楽しんだ私たちでしたが、そこから時は流れて今の時刻は一時となっています。
そして現在は再びゲーム世界へとやってきたわけですが、さて、この時間は何をして過ごしましょうか。特に早々にやらなくてはいけない予定もないですし、のんびりと攻略を目指すのも悪くはなさそうですけど……そうですね、まずは新たなユニークスキルの武技を確認してから、ワールドモンスターを討伐するための情報集めと行きますか。
最近はあまりそういったことをすることが少なかったですし、ワールドモンスターを倒したのも結構前なのでこの機会に励むのがよいですよね!いずれは全てのワールドモンスターを討伐しなくていけないのですから、この何もない空いた時間に目指しましょうか!
とりあえず、討伐を目指す二体目のワールドモンスターはどの個体にしましょうか?私が知っている範囲では、深森のアビシルヴァが深界の大森林エルフェリンの最奥であり、人業のメラスクーナが氷の山脈の奥、そして静海のリーブトスが海の中で世喰のエルドムンドは世界中のどこか、でしたっけ。
私の宿敵でもある深森のアビシルヴァや人業のメラスクーナ、世喰のエルドムンドなどは今すぐにどうこう出来るものではないので後回しですが、今のタイミングで目指せると思われるワールドモンスターといえば、まあ海にいるという静海のリーブトスに決まりますよね。
他のワールドモンスターである霊庭のルルリシアと機械神エクスゼロは時期尚早であるため、やはり討伐を目指す二体目のワールドモンスターは静海のリーブトスで良さそうです。
というか、ルルリシアさんはともかく機械神エクスゼロという存在の生息地であるらしい近未来都市なんて今までに聞いたこともないのですから、後回しになるのは当然ということですよ!なんですか、近未来都市って!?この世界にはそんなものまであるのですか!?ま、まあそれについてはいいとして、ひとまずの目標も決めたのですし、早速行動に移りますか。
一応静海のリーブトスについての情報はある程度集めているとはいえ、それも完璧ではないので、まずは静海のリーブトスの生息地を聞いて回りますか。討伐を目指すのならば、その情報は確実に必要になりますからね!
「それでは、まずはユニークスキルの確認ですね!」
私はこの時間の予定を決めた後、そうそうに港町ルーイまでやってきて、広場にあるベンチに座りながらユニークスキルの確認を始めます。さて、どんな武技が増えたのか…!出来ることなら使いやすい武技が増えているといいですね!
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〈第十六の時〉 消費MP 中 リキャストタイム三十秒
・武技を当てた対象の魔法を十五秒間封じる
・反転時は武技を当てた対象の武技を十五秒間封じる
〈第十七の時〉 消費MP 中 リキャストタイム四十五秒
・武技を当てた対象のバフを奪う(ユニークスキルのバフは除く)
・反転時は武技を当てた対象に自身のデバフを与える
〈第十八の時〉 消費MP 中 リキャストタイム一分
・武技を当てた場所に転移できる
・反転時は着弾点に武技を当てた対象を十秒間拘束する罠を仕掛ける
生物に着弾した場合即座に拘束する
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ふむふむ、今回増えたの武技も前と同じように三種類みたいですね。それぞれの武技はこれまた個性的であり、尚且つ使いやすいものと見て良さそうです!
しかもその中には転移系の武技も存在しているため、その武技である〈第十八の時〉はこれから先も愛用するかもしれませんね…!もう二つの〈第十六の時〉と〈第十七の時〉も共に結構強い効果を持っているみたいですし、これらはきっと戦闘に置いて役に立つこと間違いなしですね!
「よし、確認はこれで済みましたし、今度は静海のリーブトスの情報集めといきますか!」
これでやるべきことは終わりましたし、二体目の討伐を目指すためにもしっかりと情報を集めていかないとですね!情報がなければ対峙することも出来ないのですから、頑張りますよー!
「…それにしても、まさかアリスさんが私の通っている学校に来るとは思わなかったですね」
私は次の予定を決めた後、早速港町ルーイを歩き出して情報集めのために様々なところで住人の方たちに聞いて回っていたのですが、その道中でふとそのように呟きます。
アリスさんは親の都合で転校してきたと言ってたのですが、その先がたまたま私の通う学校になるなんて、すごい偶然ですよね!まあ私的には仲の良い人とゲーム内だけではなく現実世界でも会えるというのは嬉しいのでいいですけど、本当に思いがけないことでした…!
「でも、これのおかげで学校でも会えるのですし、悪いことではないですが」
偶然とはいえアリスさんとも一緒に学校へと通えるようになったのですから、これから先はもっと学校が楽しめそうですよね!今までは悠斗くらいしか一緒に行くことがなかったのですが、この先ではアリスさんや宮里さんと一緒だと考えると、やはり気分が高まってしまいます…!
本当に、私は悠斗だけではなくアリスさんや宮里さんたちも大好きです!もちろん、恋人してではなく友人として、ですけどね!ま、まあ悠斗だけは恋人として好意を持っていますが、それでもアリスさんたちがそれよりも下というわけではないので!
「そこのお嬢さん、なんでも静海の情報を集めているらしいですね?」
そんなことを考えつつも街中を歩いていた私でしたが、そこへ突如声をかけられました。なのでそちらへと視線を向けると、そこには黒色をした全身鎧を纏っている一人の青年が立っていました。
この青年は私が静海のリーブトスについて調べているのを知っているみたいですが、一体この人は何者でしょうか?それにわざわざ私に声をかけてきたのですから、何か用があって来たのでしょうけど……対面しただけではすぐにわかりませんね。
とりあえず、この人の正体について問いかけてみますか。いきなり話しかけてきたのですから、それを聞かなければ警戒は下げられないので!
「…貴方は誰ですか?」
「おっと、まだ名乗ってませんでしたね。私はカスピアン、この港町ルーイで海の治安維持や敵対勢力の排除、海路の安全保障などを担っている海洋騎士団の団長です」
そう言って自己紹介をしてくれた青年もといカスピアンさんでしたが、なるほど、海に関係する騎士団のメンバーだったのですか。しかもその騎士団の団長さんとは、流石に驚きを隠せませんよ…!
しかし、この街には海にまつわる仕事をしている人たちがいたのですね。船乗りや漁業者などならいるのは当然ですけど、治安維持をしている騎士団がいるのにも言われてみれば納得です。それらの人たちがいなければ海が齎す影響は計り知れないのですし、とても重要なポジションともわかりますからね。
しかし、騎士団の団長さんが何故私に話しかけてきたのでしょうか?この人は私が静海の情報を集めていると知っていて話しかけてきましたし、おそらくはそれに関係した何かがあるのだとは予想がつきますが……一体なんの目的があるのですかね…?まあそれはともかく、自己紹介をしてくれたのですから、こちらも名乗らないとですね。
「私はレアと申します。それで、私に何か用ですか?」
「実は、私たち騎士団も長年"静海のリーブトス"の討伐を目指していたのです。しかし、そこに異邦人である貴方が情報を集めていると聞き、やってきたのです」
ふむ、それで私に声をかけてきた、と。しかし、それだけで私に声をかけてくるほどなのですか?言ってはなんですが、私なんてただの一般人ですよ?確かに異邦人と呼ばれる立場にはいますけど、それでも私に声をかけるほどの理由にはならなそうですが……あ、もしかして私にも静海のリーブトスの討伐をするための協力をしてほしい、ということですかね?
確かに、実力についてはそれなりにあるものだとは思えますけど、それでもその情報だけで私に声をかけてくるとは到底思えません。他にも何かしらの理由があるのでしょうけど、流石にそれについては私では予測もつきませんね。
「どうやらお嬢さんも静海のリーブトスの討伐を目指しているみたいですし、ここは一つ協力しませんか?」
カスピアンさんはそう言葉を続けて私を静海のリーブトスの討伐に誘ってきましたが、どうしましょうか?
別に断る理由もないのでそのお誘いに乗っても良いですけど、まだ少しだけこの人のことを信用は出来ないのですよね。いえ、この人が悪人であるとは一切思っていませんが、それでもワールドモンスターを相手にするのにそう易々と引き受けるわけにはいかないのです。
…ですが、ここは引き受けるのがベスト、ですかね?私一人ではどう考えても討伐まではいけないとわかりますし、ここは協力者を作るのが一番ですね。加えて静海のリーブトスがいるのは海の中だとはすでに知り得ているため、そこに向かうためにも船も必要なので、カスピアンさんのお誘いは受けるとしますか!
「…では、私にも協力させてもらってもいいですか?」
「もちろんですよ。なら、早速私は騎士団の船で生息地域などの調査をしてきますが、レアさんも一緒に来られますか?」
ふむ、カスピアンさんはこの後すぐに調査にいくのですね。なら、今日は私もご一緒させてもらいますか!今の時刻はまだ一時半近くで夜ご飯までの時間も大いにあるのですから、私が着いて行っても大丈夫ですよね…!
一応七時までには現実世界に戻らないといけないので、それも伝えはしますがね。私にも現実世界での生活があるので!またなんにせよ、私も一緒に行くと伝えますか。時間にも余裕はありますし、ここは私も行かせてもらいます!まあ調査を開始してすぐに見つけることは出来ないとは思えるので、気長にこなすのが一番ですよね!
「よければ、私もご一緒したいです!ですが、七時くらいにはあちらに戻る必要がありますが…」
「大丈夫ですよ。私たちもずっと海にいるわけではないので、そのくらいになったら街に戻るとしますか」
「わかりました!」
よし、この後は船で海に行くことになりましたし、何が起きてもよいように気をつけながら取り組むとしましょうか!さっきも考えた通り、そう簡単に見つけることが出来るとは思っていないので、焦らずゆっくりと、ですね!




