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273話 転校生

「んー…っと、もう朝ですか」


 そうしてあの後は砂漠の街に戻り次第ログアウトをして現実世界に戻ってきた私でしたが、そこからすぐに寝たおかげですでに日付は次の日である月曜日となっています。


 よし、今日からは久しぶりの学校なんですし、さっさと朝の支度を済ませて行く準備をしないとですね!寝るのが遅れたとはいえ、今の時刻はいつも通りの六時半なので余裕がありますが、先に済ませておけば楽ですからね!ということで、早速朝の支度を終わらせますよ!




「そういえば美幸、美幸は昨日の夜に砂漠の噂を調べに行ったんだっけ?」

「あれ、よく知ってますね?もしかして、兄様から聞きましたか?」

「いや、俺は言ってなかったはずだが」


 あの後はすぐさまベッドから降りた後、いつものやることを全て終わらせてから兄様と一緒に家を出て、その足で悠斗を迎えに行ってから学校へと向かっているところです。


 そしてそこで悠斗から突如そう声をかけられましたが、一体どこでそのことを知ったのでしょうか?兄様も教えたわけではないのに知っているようですし、誰かから聞いたのですかね?あそこには私たちの共通のフレンドはいなかったはずですが、悠斗は知っているようですけど…


「ああ、誰かから聞いたのではなく、掲示板を見てな。そこで二人のことが載ってたんだ」

「なるほど、掲示板か」


 私たちの疑問を感じたのか、悠斗はそう教えてくれると兄様は妙に納得した様子で頷いています。…そういえば、二人は掲示板を時々見たりしているのでしたっけ。私はそういう系は見たことがないので知りませんが、そこに私たちのことが載っていた、と。


 うーむ、それを直接言われると少々気恥ずかしくなってしまいますね…!あちらの世界において私たちは以外にも有名人となっているので、おそらくは一緒に行動をしていたあのプレイヤーたちの誰かがそこに書いたのでしょう。


 別に載せられて悪くなることはないのでいいですが、少しは教えてほしかったです!まあ悠斗の反応を見る限りは悪いように書かれているわけではなさそうなので、気にしないのが正解ですね。


「それで、どうだったんだ?」

「そうですね、最悪に特殊なモンスターがいて、それを討伐したくらいです」

「そして、それの報酬として蘇生アイテムをもらったのもだな」

「へぇ、蘇生アイテムですか」


 悠斗からの問いかけに対してそう答えた私と兄様でしたが、悠斗も蘇生アイテムと聞いて羨ましそうにしています。


 まあ戦闘を生業としている私たちにとっては喉から手が出るほどに欲しくなるのもわかりますし、その反応も当然ですよね!一応使い切りのアイテムなので無限に使えないのが難点ではありますが、それでもあって困る物ではないので手に入れられたのは運が良かったです!


「っと、気づいたら着いていたみたいだな」

「あ、本当ですね!では兄様、また帰りに!」

「ああ、また帰りにな」


 そんな会話を続けているといつのまにか学校へと到着していたようなので、私と悠斗は兄様にそう声をかけてから二人で自分たちの教室へと向かいます。


 さて、今日は久しぶりの学業なんですし、張り切っていきますか!この夏休み中は悠斗以外とは会うことがなかったですけど、クラスの人たちは元気でしょうか?それに、宮里さんもです。


 宮里さんとはゲーム内で何度か一緒に行動をしたとはいえ現実世界では会ってなかったので、元気だといいのですが…!なんせ、友達なんですからね!そんな心配をしてしまうのも当然です!まあゲーム世界のようにリアルでもモンスターがいるわけではないのですし、そこまで心配する必要もないのかもしれませんが、そう思ってしまうのは仕方ないのですよ…!


「あ、月白さん!おはよー!それに深剣さんも!」

「おはようございます、宮里さん!」

「おはよう、宮里さん」


 そんなことを考えつつも教室へと入った私と悠斗でしたが、その教室の中にすでにいた宮里から挨拶をされたので、私たちはそう返しました。


 この様子を見る限り、宮里さんも元気なようですね!現実で会うのは結構久しぶりではありますが、変わらないようでよかったです!


「宮里さん、あれからはどんな感じだったのですか?」

「私は特にこれといったことはなかったよー!そういう月白さんは?」

「私は砂漠の噂を確かめてきたくらいですね!」

「へー、そうなんだ!」


 まあ私一人で行ってきたわけではないですけど、それでもそこに行ったのは事実ですからね。それに砂漠の噂をこの目で確かめもしてきたのですし、本当に行って良かったですよ!


 そのうえ十二星座と呼ばれる特殊なNPCとも出会うことが出来たので、なかなか良い体験でありましたね!この先も攻略していけば会える可能性はありますが、それも絶対ではないので!


「お前ら、そろそろ始まるから席につけよー」


 そこからも私、悠斗、宮里さんの三人でゲーム内についてのお喋りをしていると、そこに私たちの担任である先生から声をかけられました。


 おっと、もうそんな時間でしたか。今日は始めに始業式があるのですし、それに遅れないようにしないとです…!それと、今日の予定は始業式だけであり、お昼に学校は終わるとのことでしたっけ。なら、きちんと先生の指示に従って動かないとですね!


「さて、まずお前らに先に言うことがある」

「なんですか?恋人でも出来たんですか?」

「はは、そうだと嬉しいが、違うぞ。…実はこのクラスに、転校生が来るんだ」

「へぇ、この時期に転校生ですか」

「まあちょうどいい時期だもんな」


 朝のホームルーム内で発した先生の言葉に皆が少々ざわつきますが、まあそれも仕方ないですよね。別にこの時期に来るのが珍しいというわけではないですかど、それでも転校生と聞けば気持ちが昂るのも当然のことです。


 というか、この学校にやってくる転校生はどんな人なのでしょうか?男なのか女なのか……流石に今初めて聞いたのですから、どのような人かは分かりませんね。まあどんな人だとしても仲良くするのに変わりはないですけど、私も周りの人たちと同じように気になってしまいます!


「よし、皆も良いようだし、早速紹介するぞ。早乙女、入ってくれ」

「わかりました!」


 そして先生の合図で入ってきた転校生でしたが、その人物は肩まである漆のように黒い髪にくりくりとした同じく黒い瞳をした少女であり、身長は150cm前半くらいでしょうか。


 転校生は、そんな可愛らしい少女だったらのですけど、この人、なんだか見覚えがありますね…?んー…あ、思い出しました!もしかしなくても、ゲーム内でもよく会っていたアリスさんじゃないですか!?あちらと姿がほとんど変わっていないですし、おそらくは合っていますよね…!


早乙女(さおとめ)有栖(ありす)です!これからよろしくお願いします!」

「むっちゃ可愛い子じゃん!」

「超絶美少女の月白さんもいるのだから、このクラスはかなり当たりだよな!」

「ほんとほんと!このクラスに入れて良かった…!」


 そうアリスさんもとい早乙女さんが自己紹介を済ませると、周りにいた生徒の皆さんが口々に感想を言いながら拍手をして向かい入れています。


 いやぁ、最近にはソフィアさんとも偶然会いましたけど、まさかアリスさんとも会うことになると思いませんでしたよ…!そういえばアリスさんはゲーム内で"親の仕事の都合で違う高校に転校してしまう"と言ってましたね。


 なるほど、それでここにやってきたというわけですか。それにしたって偶然が過ぎますけど、狙ったわけではないはずなのでたまたま……ですよね?明らかに狙い澄ましたように出会いましたが、本当にすごい偶然ですねぇ…


「それじゃあ、早乙女。お前はあそこの白髪の女の子、月白の隣でいいか?」

「問題ないのです!」

「よし、ならそこに行ってくれ。…では、この後は始業式があるから、早速いくぞ」


 転校生である早乙女さんが私の隣に荷物を置いたタイミングで、先生はそう言って生徒を連れて教室の外へと出ていきました。


 よし、ならなら私たちもさっさと行くとしますか。いつまでもここにいても仕方ないのですから、手早く行動に移りますよ!早乙女さんと会話をしたいですけど、今はそれよりも先にしなくていけないことがあるので後回しです!


 別にこの機会でないと話せないというわけでもないのですし、同じクラスなのでいつでも話せますからね!なので、お喋りに移るのはひとまず始業式が終わってからです!では、行きますか!




「…レアさん、ですか?」

「そうですよ。そういう早乙女さんはアリスさん、ですよね?」


 そうして始業式も終わって教室に戻り、帰る時間となったこのタイミングでふと隣にいた早乙女さんからそのように声をかけられました。


 早乙女さんも私のことをレアだとわかっているようでそう聞いてきましたが、まあそりゃあわかりますよね。なんせ私の髪と瞳はゲームと同様に白色と金色をしているのですから、誰がどう見てもわかるものなので。


 私、ゲーム内と現実世界での姿は全く変えていないので、もう少し変えたほうが良かったかもしれませんね?今のところは現実世界で目立ったことはないですけど、こうしてフレンドである早乙女さんやソフィアさんに容易にバレているのですし、少しは捻るべきでした。


 まあそれについては今更なのですから、気にしないでもいいですか。別にそれで困っているわけでもないのにですしね。


「なのです!まさかレアさんがリアルでもそんな見た目だとは思わなかったのですよ!」

「そういうアリスさんだって、あちらと変わってないじゃないですか」

「いやぁ、キャラメイクがちょっとだけ面倒でして…」


 ふむふむ、早乙女さんはそれでこちらと同じ姿にしたのですか。というか、キャラメイクが面倒って……普通はしっかりと考えるものだとは思いますが、まあそういう人もいるのでしょうね。私だって髪型を変えたくらいなんですし、そういった人は意外といるのかもしれませんね。

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