270話 真なる鼓動の眠り姫3
「それじゃあ、いくぞ!」
「わかりました!」
そう兄様は声をあげながら手に持っていた刀で正眼の構えを行い、そのまま続けて詠唱らしきものを開始します。兄様もどうやら特殊なスキルを発動させるみたいですし、私もそれに続いて詠唱といきますか!
…というか、もしかしなくても兄様がこれから使うスキルも私と同じ【心力解放】スキルでしょうか?それならここで使うのにも納得ですし、切り札とも言っていてのでおそらくはそうなのかもしれませんね…!
っと、それはいいとして、私たちの詠唱をしている間は無数のゴーレムたちを使って壁にさせておきますか。流石に詠唱をしている間に攻撃をされてしまえば面倒なのですから、きちんと動かして私たちの邪魔はさせません…!
「素は鉄、何者にも阻まれない強靭な刃なり」
「森羅万象、時は移り変わる」
「なら、僕たちは」
「それの援護に回るね!」
そうしてゴーレムたちの背後にて詠唱を開始した私たちを見て、ジェミニさんたちはゴーレムに紛れる形で援護に回ってくれるみたいです。
まあジェミニさんたちでは私たちのように有効的な何かを行えるわけではないようですし、私たちを立ててくれているのでしょう。なら、その期待を裏切らないためにも活躍しないとですね!とりあえずはこの【心力解放】スキルを使用してから、それを活かしてあの肉塊の討伐を目指しますよ…!
「ガルゥ!」
「キィイッ!」
しかし、そんな私たちへと襲いかかってくる多数のモンスターたちですが、それらは全てゴーレムが壁となることで何とか阻止することは出来ています。加えてそこにジェミニさんも混じってモンスターたちを倒してくれてはいますが、やはり早めに詠唱を終わらせて私たちも攻撃に移らないとですね…!
このまま頼りきりではいつまで待つかもわからないのですから、早めに済ませなさなくては…!ですが、詠唱がどうしても必要なため時間が少しだけかかってしまうので、なんとかそれまでは持ち堪えてほしいです…!これさえ済めばこの状況を打破出来ると思いますし、それまで頑張ってください!
「切り裂き、穿ち、叩き斬り、その身を持って存在を示せ」
「刹那の流れは止まらず、この歩みも阻まれはしない」
「くっ、やっぱり!」
「数が多くて大変!」
「ガァアッ!」
私たちの詠唱は続き、その間にもジェミニさんと無数のゴーレムたちへと次から次へとモンスターが襲いかかってきていますが、これで詠唱は終わりなので、早速私たちもスキルを発動させて参加しますよ!
「己は全てを切り裂く刃となり、世界に刻む者なり!〈心力解放・万象を断ち切る真なる剣〉!」
「我が意志によって世界に刻め、刻の旋律!〈心力解放・時空より旋律を謳う者〉!」
それを最後に私たちは同時に【心力解放】スキルを発動させると、それと同時に私と兄様の身体に溢れんばかりの力が漲ります。よし、これにてスキルの詠唱は完了したのですから、ここからは私たちの出番ですね!先程まではジェミニさんとゴーレムたちに前線を任せっきりだったのですから、今度は私たちが自分の役目を果たす時です!
それにジェミニさんたちが私たちの詠唱中にも敵の意識をそちらに向けてくれていたおかげで発動出来たのですから、深く感謝します!おかげで問題なく発動が出来ました!とりあえず、待たせてしまったので一度謝罪をしてから攻撃に移りますか!
「ジェミニさん、お待たせしまいました!」
「悪い、待たせたな!」
「「待ってたよ、二人とも!じゃあ私たちは少し下がるから、あとはお願い!」」
「お任せください!きっちりとここで倒させてもらいます!」
「このスキルを使ったんだ。後は任せろ!」
そう言って下がってきたジェミニさんたちと交代する形で前へと動き出した私たちは、その後を追うようにして襲ってきたモンスターたちを視界に捉えながら早速ユニークスキルを発動させます。
私のEXスキルである【心力解放】の効果は、自身の使う時属性と空間属性のスキルのMP消費とスキルのリキャストタイムをなくすのと、自身の使う全ての【時空の姫】の効果を2倍にする効果であり、さらには周囲にいる仲間が受けている傷を一度だけなくなるまで巻き戻す効果とてんこ盛りですが、今回注目するのは"消費とスキルのリキャストタイムをなくす"というものと"【時空の姫】の効果を2倍にする効果"です。
これによって私の持つユニークスキルが使い放題となり、尚且つ効果も高まるので、ここからはこれで生み出せる超スピードを活かして攻めに回りますよ!敵である肉塊と無数のモンスターがいるとはいえ、この速さには追いつかないですよねっ!
「いきます!〈第一の時〉、〈第零・第一の時〉!続けて〈第零・第十一の時〉に〈第七の時〉!そして〈第零・第七の時〉と〈第六の時〉!おまけに〈大罪を背負う者〉!」
私は今の自分に出来る強化をありったけ自身へ撃ち込んだ後、それによって生まれた凄まじいスピードのままにこの空間内を〈飛翔する翼〉を使用しながら分身と共に飛び交い、これまた無数に生まれている幻影に混じりながら両手の銃を乱射し、一気にモンスターたちの弱点を撃ち抜いて次々とポリゴンに変えていきます。
うんうん、やはりこれならモンスターたちの数が多いとしても対応が出来ないみたいですね!やはり戦闘においてスピードはとても重要な要素なんですし、これに対応される前に倒してみせます…!とりあえず、周りのモンスターたちをある程度片付けてから、ボスである肉塊に、ですね!
「レアには負けないぞ!〈秘剣・風断〉!」
そんな私を見て兄様も気合い十分なようで、そう口にしながらいつもより遥かに巨大で力強い風の刃をモンスターの群れへと放っています。
これを見るに、兄様のEXスキルである【心力解放】の効果は攻撃の拡大と威力増加、ですかね?そのうえ敵の防御を難なく貫いてもいるので、防御無視の効果もありそうに見えます…!明らかに強すぎるように見えますが、見る限りだとその分デメリットもあるみたいです。
それはというと、兄様は敵から放たれる攻撃の全てを避けることで捌いているため、おそらくは攻撃全振りのEXスキルであり、刀を使った防御が出来なくなっているのかもしれません。攻撃一辺倒とは、まさに兄様らしいスキルと言えるでしょう!
というか、一体どこでそのスキルを手に入れたのでしょうね?このスキルの獲得方法はおそらく感情の昂りとこの世界での経験の二つだと思うので、兄様もそのような経験をした、といことなのでしょうけど、ちょっとだけ不思議に感じてしまいます。
まあ何はともあれ、私たちの切り札であるこれの効果時間は決まっているのですから、それまでに決めないとですね…!相手は再生能力持ちなんですし、回復する隙を与えずに攻め続けますよ!
「ちっ、やっぱりその再生能力は厄介だな!」
「これさえなければ楽だったはずですし、それには同感です!」
それからも時折ゴーレムを盾にしながら攻撃を繰り返し、周りにいた無数のモンスターたちを粗方倒し終わった私たちはそのままボスである肉塊にも攻撃を開始したのですが、今私たちが口にしている通り、どうしてもその再生能力のせいで決定打に欠けてしまっています。
私とその分身、兄様による攻撃が立て続けに放たれているのにも関わらず効いた様子がないので、これはどうしたものか…?一応ダメージは入っているのですが、それと同じ速度で回復しているため、このままでは倒すまでに【心力解放】スキルの効果時間が切れてしまいそうです…!
今はEXスキルがあるので何とか出来ているのですし、これが切れてしまえば先程の状況に戻ってしまうのでどうにかするべきですが、一体どうしましょうか…!
「「なら、ここは私たちの出番だね!神様から授かった力、今こそ見せる時だよ!!」」
そのように悩んでいた私たちでしたが、そこにジェミニさんたちの声がかかりました。どうやらジェミニさんはこれをどうにかする策を持っているようなので、ここはお願いしますか…!
攻撃に関しては存分に頼りにしてもらってもよいのですが、この再生能力に関しては私たちではどうしようもないですからね。ジェミニさんたちはこの監獄を管理していただけはあってそれをどうにかすることが出来るみたいですし、その力を借りさせてもらいます!
神様から授かった力と口にしているので、おそらくはここの管理を頼まれるのと一緒にいずれかの神様から何かを渡されていたのでしょう。そうでなくてはこれをどうにかするのは難しいはずなので、頼りにさせてもらいますよ!
「「鎖よ、目覚め、縛り、解いて刻め!〈神域封鎖〉!」」
そうして二人で短い詠唱を済ませて何らかのスキルを発動させると、次の瞬間には肉塊を縛り上げていた鎖が白い光をあげながら一気に輝き出します。
すると、それの影響でなのか先程よりも明らかに再生速度が遅くなったのが私たちにもわかりました。スキルの名前的に神様の領域で使える封印系のものなのでしょうけど、これは凄まじいですね…!
おそらくはこの監獄内だからこそ使えるのだとは思いますが、それにしたって強くないですか?これがあればここに封じなくても倒せていたのではと思ったしまいますが、まあここだからこそ使えたスキルなのでしょうね。私の推測ではありますが、これと戦った時は他のモンスターたちも周りにいたと思えるので!
っと、色々と言いたい方はありますが、とりあえずこれによって再生能力が落ちている間に攻撃をして倒すとしましょうか!効果時間がどのくらいかがわからないのですから、手早く倒しちゃいますよ…!




