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269話 真なる鼓動の眠り姫2

「兄様、撹乱します!〈第零(ヌル)第七の時(ズィーベン)〉!」

「ナイスだ、レア!〈秘剣・焦土〉!」


 あれからも次々と肉塊から生み出されるモンスターをゴーレムたちも交えながら二人で協力しあって倒し続けていた私と兄様でしたが、しばらく攻防を続けているにも関わらずモンスターの数がなかなか減った気がしません。


 ここまでで結構な数を倒しているはずなのですが、それでも生み出されるスピードが倒すのと同じくらいなのか、どうしても倒し切ることが出来ていないようですね?


 確かに、ジェミニさんからはこの肉塊の主な戦闘方法は無数の生命体による物量で敵を押し潰すやり方と聞いていましたが、まさかここまでとは思いませんでした…!一応は封印のおかげで生成速度は落ちているのかもしれませんが、それでも生み出されるスピードと倒すスピードが同じのようなので、これはどうしましょうか?


 流石にこのままではこちらがやられてしまう可能性が高いので、何か良い策があればよいのですが……そう簡単には思いつきませんよね。先に考えていた作戦もとにかく手数で攻めるというものだったため、ここはなんとかする必要がありそうです。


 …とりあえず、数を減らさないことには先が見えないので倒し続けはしますけど、これではジリ貧ですね…?倒しても倒してもキリがないのですから、これを何とかしなくては肉塊の討伐は程遠い気がします…!


「…まさかここまでとは思いませんでしたね」

「だな。だが、倒さないことには始まらないし、どうしたものか」


 私たちはモンスターを倒す手は止めずにそう呟きますが、本当にどうするのが良いでしょうか?ゴーレムがいるのにこの状態では、大元である肉塊に到達する前にこちらの体力が尽きそうなので速いところ何とかするべきだとは思うのですが、いかんせん良い策が浮かびません。


 うーむ、やはりここは多少の被害は許容して強引に攻めるべき、ですかね?このままここで立ち往生していても変わらないのですから、それが一番だと私は思いますが……兄様はどうでしょうか…?これを実行するとしたら主に動くのは前衛である兄様なのですから、兄様の同意を受けなくては行えませんが……ひとまず、それを聞いてみることにしますか。


「…兄様、ここは強引に攻めるのが良いかと思えますが、兄様はどうですか?」

「俺も同じ意見だ。が、それで決まらなければこちらがやられる可能性はあるし、大丈夫なのかどうかだが…」


 兄様は私の言葉を聞いて少しだけ悩んでいるみたいですが、それは仕方ありませんね。だって、ここでやられてしまえばクエストは失敗となり、尚且つ私たちにも迷惑がかかるとわかっているため、そう易々と実行に移すのは危険ですからね。


 しかし、そうでもしないとこの状況を変えることも出来ないのですから、これがベストだと思いますが……さて、どうしたものか。兄様の気持ちも痛いほどわかるのですし、無理に頼むのはやめてここは他のやり方を模索してみましょうか?


「「なら、ここは()たちに任せて!」」

「むっ、何か策があるのですか?」


 そんなことを考えつつ、襲ってくるモンスターたちを倒し続けていた私たちに向けてジェミニさんたちはそう声をかけてきましたが、何をする気でしょうか?何か策があるみたいですが、敵は弱いとしても数が数なのでそう簡単に対応するのは難しそうですけど…


 …本当に、こうした大量の敵を相手にするときはもっと人手が欲しくなりますね。今回はここにいるのが私たちだけだったのでこうなりましたが、後から考えてみると他のプレイヤーが来るのを待ってからこの肉塊の討伐を目指せばよかったとも思ってしまいました。それなら手数も増やすことが出来たはずですし、少しだけ後悔してしまいますよ…!…まあ後から後悔しても意味がないのですから、今はこちらに意識を向けなくては…!


 とりあえず、モンスター相手にジェミニさんたちが何かをするみたいなので、少しだけ心配になってしまいますがここは頼りにさせてもらいますか。このままではいけないうえに何か策があるとのことですし、そちらは任せて私と兄様は攻め続けるとしましょう!一応、何が起きてもいいように警戒しつつ、ですが!


「「そうなんだ!だから、一気にいくよ!〈双日月〉!」」


 そんな声と共に片手を掲げてとある武技を発動させたジェミニさんたちでしたが、その次の瞬間には二人の掲げていた手のひらから、まさに太陽と月の如き二つの光球が生まれ、そのままそれが肉塊によって生み出されたモンスターたちへと高速で飛んでいきます。


 そしてその二つの光球がモンスターに当たると、そのタイミングで光球が突如膨張することで周囲にいたモンスターを全て飲み込む形でポリゴンへと変えていき、固まっていたモンスターたちを消し飛ばしました。


 これは、なかなかすごい光景ですね…?あんなにいたモンスターが一遍に片付きましたし、それによって大元である肉塊が見えました!というか、こんな武技を使えたのなら最初から使って欲しかったですけど、発動に何か条件でもあったのでしょうか?それか消耗が激しい、とか?現にジェミニさんたちは少々疲れた様子なので、その予想は的外れではなさそうです。


 まあ何はともあれ、今の一撃によって生み出されていたモンスターの数は大幅に減ったのですから、この好機を逃さずに攻撃に移りましょう!モンスターは単なるおまけであり、狙いは奥にある肉塊なのですから、このタイミングで攻撃を加えていきますよ…!あと、ゴーレムは一旦下げておきますか。攻撃の邪魔になりますからね!


「兄様、一気に攻めますよ!〈第七の時(ズィーベン)〉!」

「言われなくてもそうするさ!〈秘剣・風断〉!」


 そうしてジェミニさんたちの活躍によって生まれた空間を私たちは駆け抜け、そのままお互いにユニークスキルの武技を使用しながら肉塊に向けて攻撃を放ちます。


 私は走りながら生み出した分身と共に〈第三の時(ドライ)〉を、兄様は私に続くように風の斬撃を放つ武技を使用して攻撃を放つと、それらは縛り上げられているせいで躱すことが出来ないのか、特に避けられたりすることもなく見事に命中してダメージを与えることに成功します。…よし、どうやら肉塊の防御力については高くないようで攻撃はいい感じに効いているみたいですね!これなら攻撃を続けていけば倒せそうです…!


「このまま攻めて攻めまくりますよ!」

「警戒は怠るなよ、レア!」


 そんなことを口にしながら攻撃を続けていく私でしたが、そこに兄様からそう声を投げかけられました。兄様の言う通り、隙だらけとはいえ油断はダメでしたね…!この調子なら倒せそうとはいえ、警戒はしておかなくては…!


 この肉塊は再生能力を持っているとジェミニさんたちは言っていたのですし、これで終わりではないのですから、まだまだ攻め続けてトドメを刺すまでは決して油断はしませんよ!


 それに今のうちに攻撃を加えておかないと、また生み出されたモンスターたちに邪魔をされる気がするので、邪魔をされる前にもう少しだけダメージを稼いでおきたかったのですが、そう簡単にはいかないみたいでした。


「ガァ!」

「シャア!」


 何故なら、そんな私たちに向けて肉塊の身体から零れるように現れた大熊と蛇のモンスターを筆頭として、様々なモンスターたちが私たちへ襲いかかってきたからです。


 別にこのくらいのモンスターに遅れをとる私たちではありませんが、それでも勢いと数が凄まじいせいでどうしてもゴーレムを前線に立たせて壁にしながら肉塊との距離を空けるしかありません。そして距離が空いて私たちの攻撃が緩んだと思ったら、そこからすぐに肉塊に与えたダメージが一瞬にして再生したため、やはり生命力が凄まじいのは封印されていても健在みたいです。


「むう、やはり再生能力は厄介ですね…!」


 これを見るに、ジェミニさんが言っていた"倒し切れずに封印するしかなかった"というのは伊達ではないみたいですね?確かにこの生命力は脅威ですし、モンスターたちによる波も加わってかなり手強い相手とみて間違いなさそうです…!


 というか、ボス的存在であるモンスターが自動回復を持っているなんて、少しだけ酷くないですか!?どんなに攻撃しても回復されてしまえば意味がなくなるのですから、少しだけその能力には面倒に感じてしまいます…!それがなければもう少し簡単だったとも思えるので、本当に面倒な相手ですよ…!


 それにしても……うーむ、これでは決め手に欠けますし、ここは私の最後の切り札である【心力解放】を使うべきですかね…?この切り札を使えば今の状況をもう一度変えることが出来そうですし、それがよいとは思えますが……よし、このスキルは一日に一度しか使えないとはいえ、その分強力なスキルであるためここが使い時でしょう…!


「ちっ、そう簡単に倒すのは無理か。…ならば、ここはアレを使うべきだな。レア!今から俺の切り札を切るから、そこで攻めるぞ!」

「何をするつもりかわかりませんが、了解しました!では、私もここで切り札を使わせてもらいます!」


 肉塊から溢れてきた無数のモンスターたちを片っ端から倒しつつ、そんな思考をしながらジェミニさんたちとも協力して肉塊へと何とか進もうとしていた私たちでしたが、そのタイミングで兄様ふとそのように声をあげます。


 兄様もこの状況で切り札を切ろうとしているみたいですが、一体何をするつもりなのでしょうか?まあ十中八九このモンスターたちを対処するためだとはわかるので、とりあえず私もそこで一緒に切り札を使わせてもらいますか!このままでは状況が悪いのですし、戦況を変えるべきですからね!

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