268話 真なる鼓動の眠り姫
「…ふむ、最初に見た通り、やはり物量がメインなのか」
「しかも、再生能力もあるのですね」
「うん、だから回復される前に」
「攻めきるのが一番だと思うよ」
そうして近くにあった部屋で四人揃って作戦会議を始めた私たちでしたが、そこでジェミニさんたちから聞いた情報に対して、私と兄様は思わず険しい表情をしてしまいます。ですが、それも仕方ありません。なんたって、ジェミニさんたちから聞いた情報によるとあの肉塊の主な戦闘方法は無数の生命体による物量で敵を押し潰すやり方であると聞かされたからです。
確かに、ジェミニさんたちと会う前にもチラリと見たあの肉塊は全身から次々とモンスターを生み出していたのですから、その情報には納得が出来ます。あれはどう見ても数で攻めるタイプでしたしね。むしろ、あの姿から武器や拳を使って襲ってきては違和感がすごいですし、それも当然です。そのうえ肉塊には生命力が強いだけはあって再生能力もあるとのことなので、これはかなりの強敵かもしれませんね…?
…というか、あの肉塊自身の武器は何なのでしょうね?戦闘方法は数で攻めるものと聞きましたが、本体であるアレの戦い方は聞いてないですけど、何か知っていたりしますかね?これから相手をする存在の情報なんですし、それについてもしっかりと聞いておかなくては…!聞きそびれてピンチになってしまう可能性は大いにありますからね!
「…そういえば、本体の戦い方は」
「…私たちも知らないね?」
「あれ、そうなのですか?」
「「うん。というか、倒せなかったから封じ込めただけで、細部まで詳しいわけではないの」」
ふと気になったそれについて聞いてみた私でしたが、なんとジェミニさんたちもそれについては知らないとのことでした。それに倒すのが難しかったために封じ込めたとのことなので、あの肉塊との激闘を繰り広げていたわけではない、ということでもあるのでしょうか。
うーん、知らないのなら仕方ないですし、これについてはこの後の戦闘中に調べることにしますか。ジェミニさんたちによれば戦闘方法は無数のモンスターによる物量が主とのことなので、そこまで警戒は強めなくてもよいのかもしれませんしね。まあ油断はしませんが、そう思っても良さそうとはなんとなく想像が出来ます。
「「ともかく、私たちが知り得ている情報はこのくらいだけど、何か役に立てたかな?」」
「はい、これだけの情報を先に聞くことが出来ましたし、とても助かりました!」
「俺からも言わせてもらうが、情報提供感謝する」
「「このくらいは気にしないで!こちらから頼んでいることなんだし、これは当たり前だから!」」
私たちからの感謝を受けてそう返してきたジェミニさんたちでしたが、こちらとしても先にあのモンスターについての情報を聞くことが出来たのは助かりました!あのモンスターの戦闘方法やどういう存在なのかも聞けたのですから、これを活かしてこの後の戦闘に取り組まないとですね…!
今回の討伐において、参加出来るプレイヤーは私と兄様の二人だけであるため、これは気を緩めないでおかなくては…!これから相手をするのは数多の軍勢のようですしね!…出来ることなら他にも参加してくれる人がいればよかったのですが、ここにいるのは私たちだけなので仕方ありませんか。
とりあえず、話を聞いて敵の情報を前もって知ることが出来たのですから、早速あの肉塊の討伐を目指して行動に移るとしますか!こんな暗いところにいつまでもいたくないので、さっさとジェミニさんからの頼みを終わらせて帰るとしましょう…!
…ちなみに、今回の討伐には十二星座の一人……二人?まあどちらでもいいですね。ともかく、その立場にいるジェミニさんたちも参加してくれるみたいなので、その力は存分に借りさせてもらいますよ!流石に二人だけではキツそうですからね!あ、そういえば聞いてませんでしたが、二人の武器は何なのでしょうか?…肉塊のところに行く前に、先に聞いておきますか。
「聞いてなかったですけど、二人はどんな武器を使うのですか?」
「武器?私はこれで」
「僕はこれだよ」
そう考えた私は、肉塊のいる部屋まで向かう途中でそれについて問いかけてみると、ジェミニさんたちは特に隠すことでもないようで、そんな軽い調子で自身の武器を取り出して私たちへと見せてくれました。
二人が私たちへと見せてくれた武器なのですが、それは白色をした長杖と黒色をした片手剣の至って普通に見える武器だったのです。
これを見るに、ジェミニさんたちもそれぞれが前衛と後衛と別れているようですし、私たちを含めてもどうやら綺麗にポジションを分けることが出来るみたいですね。なら、この後の肉塊との戦闘ではそのように分かれて開始するのがベストでしょうか。今回の討伐には四人しかいませんし、それぞれがきちんと活躍しないといけませんね。
「よし、二人とも」
「準備はいい?」
「っと、問題ありません!いつでもいけます!」
「俺も大丈夫だ。準備は出来ている」
そんなことを考えつつも歩き続けていると、気がついたら先程も入った巨大な肉塊が封じられている部屋の前までやってきた私たちでしたが、そこの入り口で投げかけられたジェミニさんたちの言葉に私と兄様はそのように言葉を返します。
さて、これからあの肉塊との戦闘に移るんですから、集中して取り掛かるとしますか…!すでに敵である肉塊の戦闘方法を聞いて作戦も立てているので、張り切って倒しますよ!
ジェミニさんたちが言うには、今も有り余る生命力があるのに変わりはないとしても、封印を行っているおかげでその力は多少抑えられているとのことなので、その言葉は信用させてもらいますからね…!まあ完全に抑えることは流石に出来ていないみたいですが、それでもある程度は封じられているようですし、私たちで倒せるように頑張りましょう…!
「それじゃあ」
「いくよ?」
「はい!」
「了解!」
そうしてジェミニさんたちの合図で巨大な肉塊が封じられている部屋と再び足を踏み入れた私たちでしたが、その先には最初にも見た通り無数のモンスターが溢れて共食いをしている地獄絵図が広がっていました。
うーむ、相変わらず酷い光景ですが、私たちはこれらを相手にするのですよね?なら、こちらに気がついていないうちに攻撃開始といきますか!作戦も考えてはいますが、それはとにかく手数で攻めるというものなので、早速行動開始です!
「皆さん、行きますよ!〈第一の時〉!」
「なら、俺も行くか。〈秘剣・雷切〉!」
「「それじゃあ、私たちもいくよ!〈双魔双剣〉!」」
私のあげた声を開始の合図として、皆が行動を開始します。まずは大量にいるモンスターから片付けないといけないのですから、私も最初から本気でいきますよ!本体である肉塊によって次々と生み出されるとはいえ、少しでも削っておかないと本体の方への攻撃に移れないですからね!
私と後衛タイプであるジェミニさんの二人は少しだけ離れた位置から攻撃を始めましたが、兄様と近接タイプのジェミニさんは我先にとモンスターたちに向かって駆け出しています。それを見て思いましたが、そこまで怖くはないのでしょうか?まあ兄様はこれまでの経験で慣れているのかもしれませんが、私的にはこのモンスターたちはグロすぎて少々気が引けるのですよね…
っと、それはいいとして、戦闘に集中しないとですね!今も兄様と黒色の剣を持つジェミニさんの片割れが片っ端からこちらへと襲ってくるモンスターたちを倒しまくっていますし、私たちもそこに混ざらないと…!とりあえず、私の武器は銃ですし、離れた位置に生み出されているモンスターたちの相手をしますか。
「ガァアッ!」
「やらせませんよ!」
そう判断した私は、兄様たちに襲い掛かろうとしている肉塊から生み出された三体の狼の群れに両手の双銃の銃口を向け、そのままトリガーを引いて銃弾を連続して発射します。
すると、それらは兄様たちに意識が向いていたおかげなのか、特に躱されることもなくその頭部を正確に撃ち抜き、そのままポリゴンへと変わっていきました。…よし、生命力が高いとはいえ雑魚敵なら弱点である頭部を撃ち抜けば倒せるみたいですし、この調子で私たちも兄様たちのサポートをする感じで参加していきますか!このまま雑魚敵をある程度片付けてから、大元である肉塊の相手をしますよ!
「助かった、レア!」
「このくらいは気にしないでください!兄様、前衛は任せるので、援護の方は任せてください!」
「了解!なら、頼む!」
兄様からかけられた言葉にそう返した私でしたが、その言葉通り私は兄様のサポートに周りながら敵の対応をしていきますか!ジェミニさんたちの方、ですか?そちらは双子というだけはあるのか、私が入るほどもないくらいに息がぴったりだったため、やめておいたのです。
流石に即席のパーティで息を合わせるのは難しいですからね。とりあえず、私は今回の戦闘では兄様と組むことにしたのですから、きちんと援護はしていきますよ!私と兄様も兄妹なので息を合わせるのはいい感じですし、これがベストなはずです!
とりあえず、まずは〈第七の時〉を使用して分身を生み出してから、兄様と一緒に攻撃といきましょうか。モンスターの倒すペースは早いですし、このままなら本体である肉塊の相手をすることも出来ますかね?まあ何にせよ、まずはある程度片付ける必要がありますし、さっさと倒してみせますよ!あ、ついでにこのタイミングでゴーレムたちも呼んでおきますか!数には数で対抗です!




