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262話 配信者

「あの、もしかして【時空姫】さん……ですか?」

「んむ?」


 私が兄様とのメッセージのやり取りを終わらせてさあ動こうとしたタイミングで、ふと私に対して女性らしき人から声がかけられました。


 なので声のした方へと視線を向けると、そこには初心者装備を身に纏っている銀髪青目をした一人の女性が立っていました。


 おそらくは私に声をかけてきたのはこの人なのでしょうけど、一体何のようですかね?私が【時空姫】と呼ばれているのを知っているみたいですし、何か目的があって声をかけてきたのだとわかりますが……流石にその目的はわかりませんね。別にこの人からは悪意や敵意などは感じないため、私的には何かを聞かれても答えるのにはやぶさかではありませんけどね。


 っと、それはともかくとして、まずは返事を返さないとですね。このまま無視をしていては失礼なのですから、声をかけられたのなら反応くらいは返さなくては。


「一応、そう呼ばれてはいますね。そういう貴方は、どちら様なのですか?」

「あ、いきなりでごめんなさい!私は音無(おとなし)ルイ!見ての通り配信者です!」


 そう言って女性……ルイさんが示してくれたのは、ルイさんの少し後ろに浮遊してこちらを撮影している赤い光を放つ球体でした。


 …実はこのゲーム、今もルイさんがしているようにこの世界の映像を映して動画サイトなどに投稿することが出来るのですよね。そしてその動画に映りたくない人は映らないように出来るシステムもあり、意外と配信をしている人は少ないみたいですが、いなくはない……と、兄様が前に言ってました。


 それで私に関してになりますが、私は特にそういったものは気にしていなかったので、おそらくは普通にルイさんの動画に映っているはずです。別に撮られて困るものもないので。


 …それにしても、動画配信者と会ったのはルイさんが初めてですが、少しだけ緊張してしまいますね…!私を撮るためにカメラが動いているわけではありませんが、これは仕方ないのですよ…!ま、まあそれについては一旦置いておくとして、まずは私に声をかけてきた理由について聞いてみますか。


「ルイさん?は、何故私に声をかけてきたのですか?」

「それはですね、【時空姫】を見つけたってコメントを見て、つい声をかけてしまったんです!」

「ふむ、コメントのせいで話しかけてきたのですか」


 特に忙しいわけではないのでいいですけど、ルイさんといいコメント主といい、やはり私はこの世界において有名人ではあるみたいです。


 ということは、別に何か目的があって話しかけてきたわけでもなさそうですかね?偶然見つけたから声をかけてきたとも言っているのですし、私に対しての用事はない、と。…こうしてみると、有名人として知られているのは少しだけ恥ずかしくなってしまいますね。初心者であり、尚且つ第三陣でもあるルイさんなどにも知られているようなので、どうしても目立っているみたいです。


「…あの、もし【時空姫】さんがよければ、この世界の案内をしてくれませんか?私、初心者なので詳しくないのですよね!」

「私が、ですか?んー…そうですね、特に急ぎの要件もないですし、私としてもルイさんから動画配信者としての活動も聞いてみたいのでいいですよ」


 私がそう考え込んでいると、ルイさんがそうかけてきた言葉を聞いて私は少しだけ悩みましたが、結局はそう返してその提案を受け入れました。


 加えてそう発した私のこの言葉にも、嘘偽りはありません。なんたって、動画配信者と会うのはこれが初めてなのですから、自分でやらないとはいえ気になるものは気になるので!それにルイさんは第三陣みたいですし、コメントで教えられるとはいえ案内してくれる人はいるに越したことはないですしね。


「よかった!なら、お願いします!」

「わかりました。では、早速行きましょうか。まずは、街の外にいきますよ」

「はい!…皆、ここからはあの【時空姫】の案内だぞ!これは楽しみだよね!」


 私が先導をしてルイさんを連れて初期の街を歩き始めましたが、それに対してルイさんはカメラがわりである赤い光の球体に視線を向けてなにやら話しかけています。


 一応配信をしているとわかっているのですが、こうしてみるとやばい人にしか見えませんね…?誰にともなく話しかけているのですから、赤い光の球体がなければ周りの人も驚いてしまう気がします。


 …というか、これ、住人から見たらどんな感じなのでしょうか?普通にやばい人と認識されるのか、それともそういうものだと納得されるのか。うーん、気になりますが、別にそれは気にしなくてもいいですね。どうせ私がするわけではないので。


 まあ何はともあれ、ルイさんから動画配信者としての活動を聞かせてもらいながら街の外に広がる草原までやってきたわけですが、ルイさんの武器はなんなのでしょうか?そういえば聞いてませんでしたし、ついでにこのタイミングで聞いてみますか。


「ルイさん、ルイさんの武器はなんなのですか?」

「ふふん、私の武器はこれだよ!」


 私の問いかけた質問に対して、ルイさんはインベントリから一つの武器を取り出して私に見せてきました。


 その武器とは、実にシンプルな構造をしている初期装備である片手剣でした。ふむ、ルイさんは片手剣を主に扱うみたいですね。なら、まずはそれに慣れるためにもこのエリアにいる兎さんを倒すように言いますか。


「ルイさん、まずはこのエリアにいる兎を倒してみましょうか」

「オッケー、頑張るよ!」


 そう言ってルイさんは片手剣を構えながら近くにいた兎さんに向けて駆け出しましたが、おそらくはそう苦戦することもなく倒せるはずです。


 このエリアの兎さんは初心者がまず初めに相手をする、いわゆる竜を倒すRPGゲームでお馴染みのスライム的存在なので、やられることはない……ですよね?流石にこの兎相手にやられていては先が思いやられますが、さて、どうなっているでしょうか…


「…って、これは一体どういう状況ですか?」

「あ、レアちゃん!いやぁ、可愛くってつい…!」

「キュッ!」

「キュゥ?」


 私が思考を巡らせてルイさんから意識を外していた少しの間に、何故かルイさんは兎を倒すのではなく手懐けてテイムをしていたのです。


 …この様子から察するに、どうやらルイさんは【調教】スキルを持っていたみたいですね?そして、このエリアにいる兎さんたちをテイムした、と。…まあ絶対に倒さないといけないというわけではありませんが、流石にそれは予想外でしたよ…


 なんにせよ、ルイさんが楽しめているのですから気にしないでおきますか。…では、次は森を目指してみましょうか?あそこはここの草原にいる兎よりかは手強いとはいえ、私がそばにいるのですからおそらくは大丈夫だとは思いますが……ルイさんの実力も把握出来ていないので危険ですかね…?


 いえ、このままここにいてもスキルのレベルは上がらないですし、いずれは行くことになるのですから森を目指すのは悪いことではないですね。もしやられそうになった場合は、私が参加する、であれば危険もないでしょう!


「…よし、そうしますか。ルイさん、この後は森に行こうと思うのですが、大丈夫ですか?」

「お、森かぁ!なら、気合いを入れないとね!…リスナーのみんなも、応援してね!」


 そう赤い光を放つ球体に向けて声をかけているルイさんを連れて、私は早速とばかりに森を目指して歩き始めます。


 今から行く森にいるのは主に狼や蛇などの動物系モンスターなので、少しだけ苦戦する可能性はありますが、まあ何事も経験ですよね。もしピンチになっても私が参加すればやられることもないはずですし、ルイさんの実力、確かめさせてもらいますよ!




「はぁ!」

「キュッ!」

「キュゥ!」


 そうして森までやってきた私とルイさんは、そこから森の中を進んで時折遭遇するモンスターを倒しながら練り歩いているところです。


 そして今は、ルイさんが先程テイムしていた二匹の兎を連れて狼の群れと戦っているのですが、思ったよりもルイさんの実力はあったみたいです。現に、今も私が複数の狼たちのヘイトをこちらに向けることでサポートをして一対一の状況を作っているとはいえ、特に危なげな様子もなく対面している狼を倒せていますしね。


「これで、最後だねっ!」

「お見事です、ルイさん」


 そして最後の一匹である狼を狙った片手剣による一撃を放つことで倒し終わったルイさんに向けて、私はそのように声をかけます。


 運動神経というか反射神経というか、ルイさんはそう言ったものが結構高いみたいです。これなら私がサポートをしていなくても意外と戦えていたかもしれませんし、配信者としての取れ高も撮ることご出来ていたかもしれません。まあ私がいるせいでそれらがなくなったらしているわけではありませんし、それについてはいいですね。


「いやぁ、やっぱりレアちゃんは強いんだね!」

「まあこれでも初期の頃からやってますし、このくらいは当然ですよ」


 私は第一陣であるのですから、第三陣であるルイさんよりも強いのは当然のことです。というか、それなのにこちらが強さの点で劣っているとしたら、これまでに一体何をしてきたのかと問いたくなるくらいですし、これが普通です…!


 それにルイさんだってゲームを続けて成長していけば、私くらいの強さにはなれるとは思いますよ!今はまだ始めたてなので弱いですが、それでもプレイヤーとして動いていれば自ずと成長出来ますからね!


 私だってこれまでの様々な経験を得て今の私が出来上がっているのですから、ルイさんもきっと強くなれますよ!ユニークスキルだって獲得出来る可能性もあるかもしれませんしね!…まあそちらに関してはそうは易々と手に入るものでないので、気長にプレイしていく必要がありますが。


「…よし、素材も結構集まりましたし、この辺で街に戻りましょうか。ついでに装備を作ってもらえる人も紹介しますよ」

「あ、本当?なら、お願いしちゃおうかな!」


 今の時刻はまだ十時ですが、お昼までにはレーナさんの紹介も済ませておかないとですね。早めに行動をするのに悪いことはないのですから、ルイさんの案内ついでに手早く済ませるとしましょう!


 素材もこの森で結構な数を確保出来ましたし、ルイさんの装備に回す分には申し分ないはずです…!私が頼んだ時は熊の素材でしたけど、別に狼の素材でしっかりとした装備は作れますし、頼むのなら早いほうがいいですしね!では、この辺で街に向かいますか!ルイさんの案内は最後まで果たさせてもらいますよ…!

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