257話 神の大剣
「…よし、まずは大剣の性能についての確認からですね」
初期の街の広場から外に広がる草原へとやってきた私は、まずはインベントリに入れたままである大剣の確認を始めます。
ユニーククエストの報酬なんですし、出来ることなら私でも扱えるものならよいのですが……さて、どんな性能をしているのか。心配は尽きませんが、勇気を出して確認しますよ!
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戦神の覇王剣・レプリカ ランク S レア度 神器
ATK+70
STR+60
INT+60
耐久度 破壊不可
・〈戦神の鋭剣〉 あらゆる防御を貫通してダメージを与えられる一撃を放つ。 リキャストタイム二十四時間
戦神が手に持って振るう神器である漆黒の大剣……のレプリカ。レプリカではあるが、それでも戦神の魔力を込めて作り上げたものであるため、その刃に曇りはない。
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ふむふむ、この大剣はアレスさんの扱う武器のレプリカのようですが、それでもレア度が神器ですし、性能も申し分ないみたいですね。それに特殊な能力も一つ備わっているらしく、それの効果は"あらゆる防御を貫通してダメージを与えられる一撃を放つ"といったものらしいです。
「これは、一度試しておいた方が良さそうですね」
私はそう呟きながらインベントリから大剣を取り出しましたが、やはりそれ相応の重さがあるようで構えるだけでも精一杯です。私、力ではなくスピードを出来るだけ高めたスキル構成なので、流石にそう簡単に扱うのは厳しいみたいですね。
「あ、それなら…」
しかし、そのタイミングでふと良いアイディアが浮かんできたので、私はそれをするために一つのアイテムを取り出して装備します。…そのアイテムとは、私がダンスパーティの時につけていった白色をした仮面、ノー・フェイスです。
これについている〈無貌の仮面〉という能力は"自身の姿形を自由自在に変化させることができ、その姿によって特殊な能力が発動する"というものであり、もしかするとそれを同時に使えばこの大剣も扱えるかもしれないと思ったのですよ!
何故それがそこに繋がるかというと、この仮面で大剣を扱えるくらい力が強い姿になれば完璧だと私は考えたのです。ということで、力が強い種族に変化してみせますよ!とりあえず、ドワーフにでもなってみますか。それなら力はこの姿よりも強くなりますよね?
「ふむ、この姿なら大剣も難なく扱えるみたいですね」
そうしてドワーフへと姿を変えてみた私でしたが、その姿ならば思った通り大剣を軽々と振るえるようにすることが出来ました。うんうん、やはりこの考えは当たっていたみたいです!
まあ本来の姿でこの大剣を扱うことは出来ないですけど、このドワーフに変化させた姿なら一応使えますし、これは新たなNPCのフリなどで使いますか。アレスさんから大剣を渡されたところを見られているのでアオイさんの目の前で使うことは出来ないですけど、それ以外なら問題はないですしね。
「…よし、では続いて能力の確認に移りますか」
大剣を扱う方法は確認したのですから、次はお待ちかけの特殊能力です…!この大剣に備わっている能力は強力な一撃を放つものであるため、実戦で使う前に確認をしておかないといざという時に使いこなせないので、確認は大事です!
「狙いは……そうですね、あの兎でいいですか」
その能力を使う対象を手早く決めた私は、近くにいた兎へと視線を向けて手に持つ大剣を構えます。さて、なんとなくの想像は出来ていますけど、一体どんな感じの能力なのでしょうか。
今からあの兎を狙って放ちますが、流石に兎相手にこれを使うのは少々可哀想かもしれませんね…?まあそんなことを考えても使うのをやめる気はありませんし、サクッと試すとしましょう。
「では、〈戦神の鋭剣〉!」
そう考えつつも、手頃な兎に狙いを定めて能力を発動させながら構えていた大剣を振り下ろした私でしたが、その瞬間に大剣から魔力が迸り、そのまま兎さんを両断するのと同時に地面へと深い斬撃の跡が残りました。
こ、これはかなりやばい能力ですね…?兎さんを一撃で倒したのは当然なので気にしてはいませんが、まさか地面に残るほどの一撃を放てるとは思いませんでした…!やはりレプリカとはいえ神が使う武器の模造品なんですし、それ相応の力はある、ということなのでしょうね。
「それにしたっては強すぎるように見えますけど、まあ一応は神器ですし、このくらいは普通なのかもしれませんね」
なんにせよ、これで確認しなくてはいけないことは済みましたし、お昼までの時間はこの大剣の扱いに慣れるために特訓でもしてますか!この大剣は基本ドワーフの姿で使うつもりですけど、少しは慣れておかないといざという時に使えませんからね。
ということで、さっそく特訓といきましょう!細剣や短剣はすでに経験をしているので慣れていますが、大剣は初めてなのでうまく使えるようにならなくては…!
「…よし、この時間はどうしましょうか」
あの後はお昼までの時間に大剣の特訓をした後、一度ログアウトをしてから兄様と一緒にお昼を済ませ、再びゲーム世界へとやってきました。それとお昼ご飯の時に兄様から聞きましたが、午後の一時からは第三陣が来るみたいですし、その時間に初期の街にいればログインしてきたたくさんのプレイヤーたちの波に飲まれてしまうかもしれません。
一応私はゲーム内においては有名人なので、特に何も考えずに街をブラブラするのは控えた方が良いでしょうか?別に話しかけられるのが嫌というわけではないですが、それでも面倒なことに巻き込まれる可能性もありますしね。
「…うーん、最近は会いに行くことがなかったですし、アイテムを売りに行くついでにレーナさんのところにでも行きますか」
私はそう決めた後、早速とばかりに初期の街にあるレーナさんのお店に向けて歩き出します。
フレンドリストを見る限りは今もログインしているみたいですし、会いにいってもいないということはないはずです。それにレーナさんも第三陣に向けての準備をしている可能性もありますし、おそらくはお店にはいますよね?まあいなかった場合はまた後日にしますけど、レーナさんは生産プレイヤーなのですからほぼ確実にいるはずです…!
「とりあえず、前にルミナリアと一緒に確保した白梟の素材売りに行きますが、レーナさんなら有効活用してくれますよね!」
説明を見た限りだとその素材たちは私のスキル構成的には合わないため、これまではインベントリに仕舞いっぱなしでしたし、この機会にレーナさんに売ることにします!今も言葉にした通り、レーナさんなら何かしらに有効活用をしてくれるでしょうし、レーナさんから見てもいらないわけがないですよね…!
というか私、最近はレーナさんに作ってもらったワンピースを着ることも少なかったですし、これからはもう少し使わないとですね?わざわざレーナさんに作ってもらったものなのですから、このまま眠らせてないでしっかりと活用しなくては…!
「っと、気づいたらお店の前に着いていましたね」
そうした取り止めのない思考をしながらも歩き続けていると、いつのまにやらレーナさんのお店の前まで来ていました。よし、まずはレーナさんと会うためにお店の中に入りますか…!こんなところで立っていても邪魔なだけですし、さっさと入らなくては…!
瞬時にそう決めた私は、早速とばかりに扉を開いてレーナさんのお店の中へと入りましたが、お店の中は入ってすぐに分かるくらいにはとても繁盛しているみたいでした。やはりトップの生産プレイヤーなだけはあるみたいですし、お店の中には複数のプレイヤーがいるため、相変わらず人気なお店みたいですね!
まあ、それも当然ですか。私は様々なユニーククエストによって装備を確保していましたが、普通のプレイヤーならこうした店で売っていたりする装備をメインで使うでしょうし、人気な生産プレイヤーであるレーナさんのところに来るのも当たり前です。
まあそれについてはいいとして、今はレーナさんに素材を売るのを優先しないとですね。お店のカウンターにはこの世界の住人らしき店員さんがいますし、まずはその人にレーナさんを呼んできてもらえるように頼みますか。
「レアちゃん、久しぶりね〜!」
「レーナさん、お久しぶりです!」
そして店員さんに伝えてレーナさんを呼んできてもらいましたが、カウンターへと現れたレーナさんからかけられた声にそう返しましたが、その姿に私は少しだけ驚いてしまいました。
何故なら、レーナさんの着けている装備が明らかに特殊な雰囲気を醸し出しているドレスの如き装備になっていたのですよ!ドレスのようといっても完璧にドレスになっているわけではなく、服の所々に様々なフリルや飾りが付いているため、そう思ってしまったみたいです。
まあそれはともかく、その見た目の装備はレーナさんなとても似合っていて綺麗です!見た目からしておそらくはレーナさんの手作りなのでしょうけど、今のレーナさんはそのような装備も作れたのですね…!
「レーナさん、その装備とても似合っていますね!」
「ふふ、ありがと〜、レアちゃん〜!これはユニーククエストの報酬で手に入れた素材で作ったから、性能もいいのよ〜!」
ほへー、ユニーククエストの報酬の素材で、ですか…!私もこれまでに色々なユニーククエストをしてきましたけど、生産系のユニーククエストもあるのですね…!ですが、納得は出来ます。明らかにただの装備には見えませんし、特殊な素材で作ったものみたいなので、これが生産系のユニーククエストなのでしょう。
生産を主にするプレイヤーだからなのか、装備は自分で作らせるというものまた面白い要素ですね!レーナさんのようなプレイヤーにはとても合うのでしょうし、やはりユニーククエストには色々とあるみたいです。




