表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サバイバル・ロボットマーチ  作者: ギンユウシジン
第一部 守れ、100日! 学園前哨基地小隊!!
PR
5/22

30日目:増援!新たなるパイロット!

地球ではないどこか・・・。

暗く広い荘厳な雰囲気の会議室、音声だけで会議をしている壮年の大人たちがいた。


「計画は順調か?」

「はい、ヒト化計画及び勇者計画に異常はありません。どちらも想定の範囲内です。」


よろしい。報告を受けた男は鷹揚にうなずいた。


「ただ、月の例の存在の反応がいまだ無いのが懸念されます。両計画の柱となる存在ですから。」

「あ奴はすでに目覚めている。」


会場がややざわめく。


「わしにはわかる。勇者、そして魔王がそろった今、あ奴が目覚めるのは自然の道理。すべてのピースはそろっている。計画を推進せよ。」

「はっ!」

「連絡事項はもうないな?それではもう終わりにする。」

「あ、お待ちください。最後に一点だけ。」

「なんだ?」

「護衛対象001についてです。先日無事訓練学校を卒業し、部隊に配属されることになりました。卒業写真は資料に添付いたしております。護衛対象001は危険度の低い場所に配属いたしました。配属先の指揮官は優秀で、護衛のエージェントもついております。」

「うむ、それは重大事項だったな。よく知らせてくれた。・・・ところで。」

「はっ!なんでしょうか?」


男は冷や汗をかく、何かミスをしただろうか?


「卒業祝いに第四世代機体でも送ったほうがいいかな?護衛に天龍もつけて。」

「それはやりすぎです。追加の支援物資ぐらいがよろしいかと。」

「うむ。じいじからの贈り物だと分かるようにしておくように。」

「・・・ははっ!」


いやできるか!と報告した男は心の中で呟きながら、なんとか物資を手配しようと頭の中で考え始めた。


・・・


学園前哨基地。今日は新たな仲間が配属される日だ。弓波は朝からそわそわしている。


「なあなあ、久遠。まだ来ねえのか、新入りは?」

「もうそろそろのはずよ、あと何度私に尋ねるの?」

「よっぽど楽しみなんですね。」

「遠足前の幼稚園児か。」

「だれが幼稚園児だこら!」


そうしていると彼方から一台の車がやってきた。

よく整備されている黒塗りのリムジンだった。

リムジンは基地の正門前で止まると、運転手が降りてきてじゅうたんを敷いた。


呆気に取られている部隊の皆をよそに、リムジンから二人の少女が降りてきた。


一人は明るい茶髪でツインテールのギャル。

もう一人は、髪を編み込んだ黒髪ロングのいかにもなお嬢様だった。


「ちょりーす!向坂莉音さきさか りおんだよ!よろ~!」

西園寺薫子さいおんじ かおるこですわ。よしなに。」


おいおいおい。この挨拶はさすがにまずいだろ。芥は思わず美月のほうを向いた。


「本基地の責任者の久遠美月よ。着任を歓迎するわ。」


スルーしたー!さすがは委員長!そこにしびれる、あこがれるぅ!


「簡単な自己紹介をしてきましょう。みんな、お願い。」

「芥一です。よろしく。」

「弓波奈保だ。歓迎するぜ。」

「元宮理沙です。よろしくお願いします。」

「さっそく司令室に案内するわ。ついてきてちょうだい。」

「りょ。」

「わかりましたわ。」


・・・


司令室。ここでは新人二人のための歓迎会が開かれていた。


「久遠!あれやってくれよ、あれ!キレッキレのダンス!」

「へ~、美月っち、ダンス得意なんだ~。」

「見てみたいですわ!」

「ごめんなさい、さすがに初対面の人の前でやるものではないわ。」

「あれはすごかったですよね・・・。」

「あれ以降、パーティの催し物と言ったら、委員長のダンスは外せなくなったよな。」

「委員長?」

「ああ、久遠のあだ名だよ。訓練学校時代、同期の委員長みたいなポジだったからさ。」

「へ~、そうなんだ、ウケる。」


おのおの雑談をしながら、時は過ぎていき。


「そろそろ宴もたけなわね。みんな、片づけをしてちょうだい。次は施設案内に移るわ。」

「「「「「は~い。」」」」」


・・・


「まず重要なのは、ここ、地下格納庫。皆の機体はここで預かっているわ。元宮さんが基本いるはずだから、機体や設備関連で困ったことがあれば、彼女に聞いてちょうだい。」

「そん時はたのむね~、理沙っち。」

「お願いいたしますわ。」

「はい、任されました。」


・・・


「次は図書室ね。ここにある本は基本閲覧可能よ。過去の実戦記録を見たいときは、私に言ってちょうだい。」

「はい、質問ですわ!」

「何かしら、西園寺さん。」

「この部屋で勉強をしてもよろしくて?」

「あら、勉強熱心なのね。もちろん構わないわ。好きなだけ使ってちょうだい。ただし、夜10時消灯だから、気を付けてね。」

「わかりましたわ!」


・・・


「最後はここ、食堂ね。最近設備が復興したことで料理をすることができるようになったわ。料理は持ち回りの当番制。苦手な人がいたら補助するから、安心してね。」

「あ~、そのことなんだけどさ。」

「あら、補助が必要?」

「いんや、むしろ逆。料理ならあーしに一任させてくんないかな~って。」

「莉音の料理は絶品ですのよ!」

「へへ、ありがとう、お嬢。こうみえてもあーし、料理は大の得意なんだよね。」

「へえ、それは楽しみね。さっそく今晩からやってもらっても?」

「モチのロン!かしこまり~。腕を振るっちゃうよ~!」

「頼もしいわね。今夜の料理で皆がよければ正式にお願いしようかしら。」

「わ~お、プレッシャー!でも負ける気がしないっしょ!さっそく材料を見てもいい?」

「かまわないわ。好きなだけ見てちょうだい。」


・・・


そして夜、食堂での夕食後。


「スゲ~美味かった・・・!」

「いつもの保存食であんなものが作れるのか・・・?」

「おいしかったです。」

「いつもの味ですわね、よろしかったですわ。」

「これは、もはや聞くまでもないと思うけど、向坂さんに料理をお願いするということでみんないいわね?」

「「「「賛成~!」」」」

「あはは!料理係に任命されました、莉音ちゃんです。お残しはゆるしまへんで~。」

「いや懐かしいな、そのネタ!」


・・・


翌日、司令室にて。


「昨日はよく眠れたかしら?」

「安眠できましたわ。」

「バッチし!」

「ならよかったわ。今日はあなたたちの技量を見せてもらうわね。」


美月はシミュレーターを起動する。


「シミュレーターを使って模擬戦闘をしてもらうわ。二人はバディを組んでちょうだい。相手は芥君と弓波さんよ。」

「よ~し、やったりますわ!」

「あ、あはは~、まあ、頑張る的な?」

「?シミュレーターに搭乗して。始めるわよ。3・2・1・シミュレーション・スタート」


シミュレーターが起動される。乗り込んだ4人は、まるで現実であるかのような仮想空間に放り込まれる。


「へっ!軽くもんでやろうぜ!」

「油断するなよ、弓波!」

「訓練通りにやるだけですわ!」

「・・・まあ、がんばりますか。」


フィールドは市街地。よくモンスターと戦闘する場所だ。


芥は陣風、弓波は業火に搭乗している。いつもの布陣だ。

ただ陣風は改修が進んでいるため、もはや第二世代機体に劣るとは言わせない。

他の第二世代機体の特性を受け継いでいる以上、最も厄介な機体ともいえる。


対する向坂、西園寺はそれぞれ第二世代機体の反撃特化型『深山』、機動特化型『零林』に搭乗していた。黄色く塗装された深山はボクサーをほうふつとさせるシャープな姿をしている。一方の青く塗装された零林は、戦闘機を思わせる姿をしていた。


向坂が深山でカウンター、西園寺が零林でかく乱という戦法だろうと芥は分析する。打撃力こそこちらに利があるが、相手の連携次第では、こちらは何もできないまま終わってしまう恐れがある。


「厄介な組み合わせだな・・・。」

「はっ!正面から食い破るぜ!」


3・2・1・・・、戦闘開始!


模擬戦の火ぶたが、切って落とされた・・・。


「先手必勝ですわ!行きますわよ!」


零林の機動力を生かし、西園寺は瞬時に芥たちに肉薄する!


だがしかし・・・。


「?」

「へへっ、もらいっ!」

「なな、お待ちになって~!」

「ホームランッ!」


弓波の業火の手によって零林は瞬時に撃墜された。近接二式の長刀できれいに真っ二つになったのだ。


「・・・え~?」


芥は困惑していた。それもそのはず、教本にすらまっすぐの突撃は危険だと書かれているのだ。


それをいくら機動性能が高い零林だからといって・・・。よく見れば芥でも弓波と同じことができただろう。


「いったい何がしたかったんだ・・・?」


すると陣風のコクピット内に響く警告音。

ロックオンされている!


「な、しまった!」

「もらい!」


深山の射撃二式の銃が、陣風に狙いを定めていた。

陣風はよける暇もなく、コクピットに被弾した。


「お、ラッキ~!」

「んなあ!」


陣風は撃墜判定を受けた。

これで残るは、向坂と弓波の一騎打ち。


「たしか、業火と深山って・・・。」

「そ、反撃のできるあーしのが有利ってわけ。」

「西園寺を囮にして、この状況を作り出したってわけか・・・、えげつねえことすんじゃん。」

「あー、いや。あれはお嬢の自爆なんだよね~。」


たはは、と目をそらしながら言う向坂。

なんだ、ただのバカかとあきれる弓波。


「ま、ここからは正々堂々一騎打ちっしょ!」

「ふん!やってやるぜ!」


業火、深山がともに構える。

業火は長刀を、深山は短刀と機銃の二刀流だ。


そしてどちらからともなく急接近する!


・・・


「いや~、負けちゃった!強いね、奈保っち!」

「ああ、いい勝負だったぜ、向坂!」


司令室、シミュレーターから出てきた二人は互いの健闘を称えあった。

一方、早くに脱落した二人は・・・。


「あう~、足が、足が~。」

「久遠様?そろそろ足崩してもいいんじゃないですかね?」


芥と西園寺は美月の命令で正座をさせられていた。

あまりにもあまりな戦闘結果だったからだ。


「考えなしの突撃と、周囲の警戒を怠った結果よ。反省なさい。」

「反省した反省した!だからもういいよな!?」

「足が、足が~!」


ちょうど健闘した二人がやってきた。


「あはは、お嬢ウケる!」

「よ~う、芥、足がしびれる感覚はどうだ?」


ぐぬぬ・・・、二人は足のしびれとあおりに耐えていた。


「はあ、もう楽にしていいわ。きちんと反省なさい。」


よっしゃー!足が~、足が~。・・・しばらく二人は動けそうにない。


「みんなお疲れ様。今日はここまでにしましょう。」


足が~、足が~。


「まだ言ってるよ・・・。」


弓波はあきれてそういった。


・・・


夜、美月の個室。

机の上には、今日着任した向坂と西園寺の資料が広げられていた。


「やはり西園寺さんは、あの西園寺だったのね・・・。」


西園寺グループ総帥の孫娘。この事実に美月は頭が痛くなる。

西園寺グループは、機体開発を独占している企業群だ。いたるところに多大な影響力を持つ。


「何かあったら、私の首だけでは済まないわね・・・。ショップで頭痛薬と胃薬は売っているかしら。それと・・・。」


もう一人、向坂の資料を見る。


「訓練学校の成績はすべて平凡。特出するところは料理の腕くらい、けれど・・・。」


今日の模擬戦、最後の弓波との一騎打ち、向坂は手を抜いていた。

当事者の弓波はわからなかったかもしれないが、外部から見た美月には気づくことができた。


「実力を隠していること、西園寺さんとの仲の良さ・・・、秘密の護衛?さすがに飛躍しすぎかしら・・・?」


机に広げていた資料を片付ける。


「もう寝ましょう。余計なものを背負い込むことはないわね。」


部隊の害にならない限り、好きにさせましょう。そう美月は考え眠りについた。


・・・


深夜、食堂にて。


「報告します。」


通信機を持った向坂は、昼間とは異なった雰囲気をまとっていた。


「護衛対象001は、学園前哨基地に無事着任。問題なく初日を終えました。指揮官は私の実力を疑い始めています。ええ、予想通り優秀でした。これなら護衛対象001が想定外の事態になることはないでしょう。私からもそれとなくくぎを刺しておきます。」


それと。向坂はさらに続ける。


「ほかの人材も粒ぞろいでした。鍛え上げればひとかどの人物となることでしょう。こちら側に引き込めないか、仲を深めたら打診してみます。」


通信機から次の指令が下される。


「超大型をそんなに!?いえ、わかりました、対処できるように力を蓄えます。」


通信が切れる。向坂は座り込み、ひとりごとをつぶやく。


「がんばれ、あーし。お嬢のためなんだから・・・。」


その声は闇に溶けていった・・・。


・・・


次回予告!


ええい!兵站はどうなっている!?後方からの物資がとどこおってしまった学園前哨基地。探索で食料が見つからなければ、今晩のおかずはなくなってしまう!頼りになるのは西園寺の豪運。見つかる争いの種。銃口を向けあう仲間たち。彼らは夕食を楽しむことができるのか!?


次回、サバイバル・ロボットマーチ 40日目 配給戦線異常あり

人を滅ぼすのはモンスターではなく毎日のご飯ですね、ご友人。


人物能力表


向坂 莉音


指揮:C 体力:C 整備:C 操縦:B 知性:A 

料理:A


軽い感じの料理得意系ギャル。



西園寺 薫子


指揮:E 体力:E 整備:D 操縦:C 知性:E 

家柄:SS


世界有数の良家のお嬢様。努力家。要警護対象。


面白かった、応援してもいいよという方はブックマークをお願いいたします。

執筆の励みと明日への希望になりますので、お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ